博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『成化十四年』その7

2020年08月12日 | 武侠ドラマ
『成化十四年』第37~42話まで見ました。

朶児拉の死のショックから立ち直れない唐泛ですが、「朶児拉を殺したのは丁満でも王憲でもない。それはお前もわかっているだろう?」という汪植の言葉に奮起します。六部などのここ数年の文書類を集めて不審点を洗い出す作業を進める一方で、重要参考人ということで投獄された王憲への聞き込みを図ります。


王憲の自閉症のような症状は、作中では「呆症」と表現されていますが、裴淮は「古来の医学者の療法には疑問がある。単に他人とのコミュニケーションが取れないだけで、治療をすれば治るとかそういうものではないのではないか?」と疑問をつきつけます。こういう台詞がさらっと出てくるあたり、『射鵰英雄伝』の傻姑とはかなり扱いが違ってきたよなあと思うわけです。


そして妻の固安郡主以外に唯一彼と意思疎通ができるという助手の章鞏柱。「こいつ女だよね?」と誰もツッコまない(´Д`;) しかし唐泛、そして李子龍は、章鞏柱=長公主の語呂合わせから、その正体が郡主であることに気付きます。ついでに彼女王憲との結婚は成化帝の深謀遠慮ではなく、王憲の才能に目を付けた郡主から言い出したことのようです。

郡主の意図が順天府の爆破にあると察した唐泛は、王憲の赦免と引き換えに「博浪」の隠し場所を知り、隋州・汪植らに撤去させます。このあたりの展開は『長安二十四時』っぽいですね。一方、郡主は李子龍に大量の「博浪」を引き渡す約束をしておりました。西廠の牢獄の守りが順天府内の「博浪」の捜索で手薄になっている隙を突き、李子龍の一党が襲撃して郡主と王憲を救出。


そして野外で李子龍に脅されつつせっせと王憲が「博浪」を組み上げ、お礼として彼の夢だった飛行装置をプレゼントされます。ここで郡主に利用されていると知りつつ彼女を愛しているという王憲の心の声が吐露される演出が入ります。そして郡主は王憲と、飛行装置に「博浪」が仕掛けられていると知りつつ敢えて乗り込み、飛び立ったのでした……


一抹のほろ苦さを残しつつも事件が解決となり、色々あって隋州はもとの百戸の地位を取り戻し、順天府に戻ることを成化帝に請うた唐泛は順天府尹に任命されます。そこへ土木の変の際に成化帝の父英宗とともにオイラートに捕らえられ、30年間抑留されていたという高義将軍が明に送還されます。しかし30年ぶりに再会した彼の妻は、彼を偽物だと言い張り……

この一件は家庭内の事情ということで解決したものの、実は高義はオイラートからある使命を託されて明に帰還したのでした。土木の変で英宗を捕らえたエセン・ハンの次男阿失帖木児は、李子龍と結びつつ、彼を成化帝暗殺の手駒として使おうとしますが、エセン・ハンの長男でその後を継いだ博羅納哈勒は、明との和のために高義にその計画を阻止させようとします。高義自身は、捕虜の身分を経て軍人としてエセン・ハンに仕えていた時も、明との和に心を砕いていたということなのですが……?

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