博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『大秦帝国 第1部』その2

2009年08月10日 | 中国歴史ドラマ
『大秦帝国』第8~15話まで見ました。

魏の龐涓が画策した滅秦同盟は、秦が燕・趙と結んだ異族の西豲を打ち破ったり、4カ国が同盟から抜けたりして崩壊。危機を免れた孝公は百里奚の子孫で隠士となっていた百里子の助言により、他国から人材を求めるべく「求賢令」を発布。

一方、商鞅は丞相の地位を狙う公子卬や龐涓の目をくらませるため、酒場「洞香春」に通い詰めて韜晦。そこで酒場の女主人で白圭の忘れ形見の白雪、秦のスパイとして魏にやって来た景監と孝公の妹熒玉、はたまた諸子百家の慎到や申不害といった面々と誼を結びます。

しかし龐涓はそんな商鞅を見逃さず、軟禁状態に置かれることに。白雪の手引きで魏を脱出した商鞅はまずは斉国の「稷下の学」へと赴き、孟子と論戦して言い負かしたりします。(この場面でついでに楊朱も登場。)しかし斉国で士官の見込みが無いと見るや、孝公の「求賢令」に応じて秦国へと向かうことに。旧知の景監の手引きで孝公と対面することになりますが、敢えて古くさい「王道」を説いて孝公にドン引きされてしまい……

ということでストーリーが進んでいるように見えて、実は大して進んでません(^^;) でもそれほど引き伸ばし感は感じませんね。このへんはしっかりとした原作小説があるからでしょうか。(ちなみに本作のシナリオは原作者の孫皓暉自身が担当しているとのこと。)

で、今回のツッコミ所。

○百里奚の子孫と称する百里子。作中では百里奚はその子孫に、以後士官することなく隠遁して秦国の行く末を見守れと遺言したことになってますが、実際のところ百里奚の息子孟明視は父の死後秦穆公に仕えているわけですが……

○熒玉が兄の孝公に密書を送るのに使用した謎の嬴氏部族文字。↓



秦の公族しか読み書き出来ないそうです(^^;) 巴蜀文字あたりを参考に創作したのでしょうか?
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アニメ『三国演義』第5~8話

2009年08月08日 | その他映像作品
何か話のペースが落ちてきて段々面白くなってきました。

この手の三国志物だと、貂蝉以外にも劉備の嫁あたりがヒロインになったりするものだけどなあと思いながら見ていたら、いつの間にか張飛の嫁が第2ヒロインになってました(^^;) 正史に準拠したのか夏侯淵の娘(本当は姪)という設定になっています。

で、本日放映の第8話では1話50分まるごと官渡の戦いの回でした。劉備主従の出番が全く無いなど、オーソドックスな三国志物としては割と思い切ったことをしてます。
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避暑山荘へ

2009年08月07日 | 留学
長春に戻って1週間。同学と連絡を取ったところ、大学院の講義は昨年と同じく9月より開始とのこと。で、あまりのヒマさにブチ切れたので、8月20日から25日まで北京経由で河北省承徳の避暑山荘に行くことにしました。避暑山荘というのは清朝皇帝の避暑地で、よく清朝物の宮廷ドラマの舞台となる場所ですね(^^;) 承徳という地名も古名の「熱河」の方が通りがいいかもしれません。

承徳では2泊して避暑山荘のほか外八廟を見てくる予定です。後は北京ということになりますが、恒例の本屋めぐりのほか、出来れば日帰りで秦皇島に出向き、山海関や万里の長城の東端で渤海に突き出た老龍頭を見学したいなと。

秦皇島行きの切符が確保出来ないようなら、目も当てられないほどピカピカに生まれ変わったと評判の国子監や孔子廟、あるいは今まで行ったことのない天壇公園、去年の秋に入り損ねた故宮の武英殿(『地球の歩き方 北京 09~10年版』によると、展示物の運搬などで閉館となることもあるとのよし……)、新たに一般公開されたらしい文華殿などを見て来ようかと思います。
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『大秦帝国 第1部』その1

2009年08月06日 | 中国歴史ドラマ
このところずっと武侠ドラマ見ていて、久し振りに重厚な歴史物が見たくなってきました。ということで日本でもDVDがリリースされ、映画上映もされた(あと、チャンネルNECOでも9月に放映されるとのことですが)『大秦帝国』の第1部を鑑賞。

このドラマは同名の原作小説をもとに商鞅の変法から始皇帝死後の秦王朝の衰退・滅亡までを6部構成で描くとのことですが、『大敦煌』みたいに全50話前後のドラマを6分割するのではなく、全40話か50話ぐらいのドラマを6つ制作して6部構成にするという、頭痛がするほど壮大なスケールの作品なのであります(^^;) で、本作第1部『黒色裂変』は秦孝公と商鞅を主役に据えて戦国秦の興隆を描いています。

今回は全51話中第1~7話まで鑑賞。

物語は秦と魏による少梁の戦いから始まります。この戦いで秦は魏の重臣公叔痤を生け捕りにするものの、秦も君主の献公が毒矢に当たって瀕死の重傷を負います。で、献公は死を目の前にして後継者を次男の渠梁、すなわち孝公に決定。長男の公子虔には重臣として孝公を支えるよう誓いを立てさせます。

一方、魏では恵王の弟公子卬が敗戦の責任を公叔痤になすりつけようとしたり、龐涓が国政の主導権を握ろうとする中、公叔痤の門生の衛鞅、すなわち後の商鞅が単身秦に赴いて公叔痤の救出に尽力。この時に孝公と商鞅が初めての対面を果たします。丞相として国政に復帰した公叔痤ですが、人質生活が身に応えたのか重病に伏し、恵王に後任として商鞅を据えるよう、また商鞅を登用する気が無いなら彼を殺せと進言して死去。

……といったところまで話が進みます。映像は重厚、かつ雰囲気だけはムダに荘厳で中身はスカスカの『臥薪嘗胆』(邦題『復讐の春秋』)とは違ってストーリーもそこそこ見られる出来となっており、理想的な大河ドラマという感じです。

しかし史実的には気になるところも…… 実のところこの少梁の戦いでは献公自身は出陣しておらず、献公の死と少梁の戦いは無関係の模様。このあたりは適当に話を作っているなあという気が。あと、公子虔がロープを投てで馬上の公叔痤を生け捕りにしたり、公子卬が弩で秦献公を狙い打ちしたり、更にそれを公子渠梁が単騎救い出したりと、大雑把な展開も気になります(^^;)

気になると言えば本作のキャスティング。『レッドクリフ』の魯粛役の侯勇が主役の秦孝公を演じてますが、『レッドクリフ』つながりでこのお方も龐涓を演じてます。



今回は悪役なので、劉備というより『射英雄伝』の西毒役と紹介した方がいいかもしれませんが(^^;)
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緑豆餅とアニメ『三国演義』と

2009年08月04日 | 留学
今日街中に出て、たまたま君子蘭さんイチ押しの緑豆餅の店を発見。早速買ってみました。外側がクロワッサン状になっていてパリパリと香ばしく、中は緑豆の餡が詰まってます。小豆の餡よりあっさりしてますね。大変おいしくいただきました。ただ、箱入りのものが無いので、というか焼きたてホカホカのものが一番おいしいので、旅行のお土産には向いてませんね(^^;)

今日私が行ったのは長春の桂林路バス停付近にある支店ですが、人民広場の近辺に本店があるとのこと。

で、アニメ『三国演義』ですが、このまま第1話の超速展開が続いたらどうしようと思っていたら、第2話以降はちゃんと普通の速度になって一安心です(^^;) 本日放映の第4話で劉備が呂布に徐州を乗っ取られるあたりまで進みました。
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『武林外伝』その11(完)

2009年08月02日 | 武侠ドラマ
『武林外伝』第75~最終80話まで見ました。

第75回 李大嘴 雄鳥が雌鳥を求むるを演じるを拒み、燕小六 礼儀にかこつけて真情を託す
最近李大嘴は祝無双に気があるような素振りを見せ、燕小六もどうやら彼女が気になっている模様。そこで郭芙蓉と呂秀才は無双ら3人の気持ちを確かめ、新たなカップルを誕生させようとするが……

【今回の名言】「冬は既にやって来た。春はまだ遠いのだろうか。しかし無双の春はどこにあるのだろう?」
今回のまとめとなる呂秀才のセリフ。まあ、要するに今回も無双の恋は実らなかったということです(^^;)  あと、今回のサブタイトルはどうもうまいこと訳せない…… 他にいい訳案があったら御教示下さい。

第76回 莫小貝 路頭に誘拐に遭い、燕小六 智もて偽の誘拐犯を擒にす
祝無双に「葵花点穴掌」を習っていたずら放題の莫小貝。うっかり佟湘玉にも点穴を施してしまい、後難を恐れて家出を決行。乞食の小米と結託して自分が誘拐されたことにします。白展堂らは小貝が誘拐されたものと信じ込み、佟湘玉には内緒で捜査を進めますが……

前にも同じことを書きましたが、点穴って素人がちょっと修行しただけで身につくもんなんでしょうか。もしそうなら私も習いたい(^^;)

第77回 謝捕頭 店中の人を取り調べ、銭夫人 同福店を騙し取らんとす
前回の続き。誘拐事件のエキスパートとして謝捕頭が店にやって来ますが、彼は身内が誘拐犯ではないかと一同を訊問し…… 後半は莫小貝が誘拐されたと聞いて銭夫人が店に訪ねて来ますが、実は小貝はその銭夫人のもとに潜伏しており……

第78回 楊蘭 酒を飲みて胸の内を明かし、杜子俊 夜に同福店を訪ぬ
楊蘭が三度同福客桟に来訪。舞い上がる李大嘴ですが、彼女の様子に不審なものを感じる一同。そこへ隣町の富豪杜子俊のもとから銀子が盗まれたという知らせが届き…… 後半ではその杜子俊が店に来訪。彼は楊蘭の婚約者だと主張しますが……

第79回 李大嘴 恋敵に遭遇し、楊蘭 新しい人生に船出す
杜子俊の母親が息子と楊蘭との結婚を認めたがらないと知った一同は2人の力になろうとしますが、李大嘴はまだ蘭のことを諦めておらず…… 後半では杜子俊の母親が息子を連れ戻しに店に到来。実は彼女は白展堂の母に匹敵する武功の持ち主で……

物語の序盤から引っ張ってきた楊蘭シリーズがここに完結。しかし楊蘭から何でも願いをかなえてくれる3本の金針をもらい、楊蘭への恋を成就させるために使おうとする李大嘴の物分かりの悪さにドン引きです…… なお、この回で物語の舞台が明朝の永暦年間であることが判明。永暦というのは明朝滅亡後の南明政権の年号ですから、要するに明朝を舞台にした架空の物語という寓意を込めているんでしょうね。

第80回 燕小六 転任の辞令を受領し、凌騰雲 同福店を夜襲す
燕小六が都に転任することになり、後任として西安武林の名門出身の凌騰雲が赴任。彼は実は白展堂と因縁があり……

ということで『武林外伝』もいよいよ最終回。この回で白展堂と佟湘玉との意外な因縁も判明。ラストは一同が店の前に集合して幕を閉じますが、テレビ放映で初めてこの場面を見た時には何だかホロリときました(^^;) 



【総括】
取り敢えず全80話中のベスト3は呂秀才が壮大な哲学論(?)で「盗神」姫無命を死に追いやる第29回、白展堂と王豆豆の入れ替わりが楽しい第64回、莫小貝が影視城にタイムスリップする第9回でしょうか。正直第14回あたりまではつまらない回の方が多いのですが、そこまで我慢すると後の回は大体面白く見られると思います(^^;)

この作品、是非日本語版DVDもリリースしてもらいたいのですが、全80話という話数がネックになるでしょうなあ…… 傑作選という形にするにしても、前後の話と微妙に絡んでいる回が多いので難しいでしょうし。ちなみに話数が多いのはこの作品に限ったことではなく、大陸のコメディ作品は話数が膨れあがる傾向があります。大ヒットシリーズの『家有児女』も各部全100話構成ですし。
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日中合作アニメ『三国演義』

2009年08月01日 | その他映像作品
長春に戻ったものの、新学期開始はまだまだ先で、当然図書館や学科の資料室、おまけに近所の本屋も閉室で、知人もおおむね里帰り中ということで、部屋で読書するかドラマでも見るしかやることの無いさとうしんです(^^;) これは大人しく論文でも書いてろという天の啓示でしょうか……

で、前々から番宣だけはバンバン流されながら本編がなかなか放映されなかった日中合作アニメ『三国演義』ですが、ようやく本日よりCCTVのドラマチャンネルで放映が開始されました。

キャラデザなど映像面は中国制作の歴史アニメと比べてクオリティが高いのですが、全26話で1話50分とあってストーリー展開がえらく早い。第1話で黄巾の乱から曹操による董卓暗殺未遂まで話が進んでしまいました。まるでダイジェストを見ているようです…… あと、作中で狙いすましたかのように「説曹操、曹操到」ということわざが出て来たのには大笑い(^^;)
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