大分県で制作活動をしているボクのおじさんが
今度、銀座で個展を開くことになった。
フライヤーの裏にはおじさんのコメントが書かれているんだが、
その文章がなかなかいい感じで
まるで、宮沢賢治の詩集「春と修羅」の前文みたいに惹かれるものがあるんで、ここで紹介すると・・・
*******
森への祈り
林の中を散策するのが好きです。
子どもの頃は草や木の苗を探しては持ち帰り、
鉢に植えコレクションしようとしました。
人が恐ろしかった私には植物と遊ぶことで、
心のバランスをとっていたのだと思います。
人は思い通りにならないけれど植物は口をきかないので、
どうにかなるのではないかと思っていたのです。
しかし植物もまったく人と同じで思いどおりになりませんでした。
豊前平野には小さな林がどこそこにあります。
どれも皆趣があり一つ一つ異なっていて面白いのです。
その林が集まり森となり里山へと登って行く。
それが山となり連なって山岳を作ります。
そのことはまさしく人体に通じると思います。
一つのデコボコ(点)が連なり線となり、一本の線がずれて面をなし、
面と面の連なりが立体を作ります。人体は立体がたどり着いた最高に
複雑でかつ単純な、究極の美だと思います。
もっとも単純な立体は正四面体です。次に六面体、八面体・・・と複雑になり、
たどり着いたところは球体です。
そのことから、一本の木から地球へ一つの凸凹から人体、
と考えていると楽しくなってしまいます。
即ち、一本の木や一つの凸凹をより深く見つめることが、この上なく
尊い気がします。
しかしながらそのことは私の手に負えないと日々感じています。
だから、描きながら祈るしかない。制作しながらあとは祈るしかないと思っています。
制作する楽しさに現を抜かしていると、とんでもないことになるかもしれません。
それでも歓喜を求めて一本の木や一点を見つめて創造していこうと考えています。
*******
ね、なかなかいい感じでしょう?
_____________
定行 正義 展
「宙」を観る
場所:銀座井上画廊 東京都中央区銀座3-5-6井上商会ビル3F(松屋前)
期間:2011年6月20日(月)~26日(日) 11:00~19:00
(初日13:00から/最終日18:00まで)
_____________
興味がある方がいましたらぜひ足を運んでみてくださいませ。