帰省している息子に「100日後に死ぬワニ」を教えてもらった。
基本的には4コマ漫画なんだけど、読んでみたらボクには「5コマ漫画」に思えた。
5コマ目は常に「死まであと○○日」というオチのマンガとしていつの間にか読んでたんだよね。
* * *
普段、ボクらは「自分の死」について考えることは少ない。
ボク自身、10代から20代には「死んだらどうなるのか?」を常に考えてたけど、ある程度の自分なりの答えが導き出せた後は「その時その時のベストを尽くして、取り組んだことがうまくいこうが行くまいがいつか来る死を「『満足出来る人生』として迎え入れよう」と思って生きている。
でも、その意識も、時間が経つにつれて次第に薄れぼんやりしたものになっていたんだけど、この4コマ漫画でハッとそれを意識させられたんだよね。
「毎日毎日が、実は『かけがえのない日々』だったんだ」ということを突然、何の気なしにザクっと突き付けられた。
* * *
この4コマ漫画は、その内容がオチのないくだらない日常であればあるほど最後のコマの「死まで○○日」というのとの落差があって良い作品になるところが画期的。
しかも通常じゃ「ボツ」となる作品がこのシリーズでは大切なんだというところも。
そういう「視点の切り替え」としてはすごく画期的で衝撃的だった。話題になってヒットしたのも理解できる。
* * *
つい最近、100日目を迎えて無事終了したわけなんだけど、
大ヒットのせいで終わった途端に「書籍化や映画化、グッズ等の宣伝」が立て続けに行なわれたために「余韻を味合わせろ」というファンの意見がドバっと出てきたらしい。
そりゃそうだよね。
映画を見終わった途端にエンドロールもなく突然「宣伝」が始まったらボクも確実にそう思うもん。
それと同じ。
企業の皆さん、売りたいという気持ちはわかるけど焦る必要なんかないよ。
映画館で映画を堪能しエンドロールまでゆっくり見終わって出てきたところに「グッズ売り場」があったら『買おうかな』と思うんだから。
「余韻に浸る」ってとても大事だと思うんだよね。
良きにつけ悪しきにつけ「感情」というものが波打った時にそれが鎮まるまでの一定の時間。
これが「余韻」なんだよ。
これをないがしろにしたらせっかくの良い時間が台無しになっちゃうんだよね。
「余韻を台無しにする」というのは「楽しい時間を過ごした後いきなり冷たい水をぶっかけられる」ようなもんだからね。
ホント、焦りは禁物だよ。気をつけてほしい。
* * *
しかし、最後の100日目のエピソードは頂けなかったな。
奇をてらって謎を含めた形で終わらせちゃった。
「どうやって死ぬのか?」という予想がたくさん湧いて出てきたのでちょっと色気を出しちゃったみたいだ。
せっかく100日もたっぷり前戯を施したのにね。
普通のセックスで十分だったのに最後に大人の玩具を持ち出してしくじったような感じ。
普通に終わってほしかった。
死が普通の日常に潜んでるからこそ何気ない日常がいとおしく感じられるよねっていうテーマが吹っ飛んじゃったんだよね。
とっても残念。
もしお時間があったら読んでみて。
途中でちょっと飽きちゃうかもだけど、一応お勧めします。
これは動画なので「死まであと○○日」というのが省略されてるから
ツイッターで読んだ方がいいと思う。
しかも、こういうまとめられたものじゃなく
一日一話ずつ読み進めていく方がじわっと毎回何気ない日常を慈しむことができると思うよ。
↓
【100日後に死ぬワニ】1日目〜99日目(まとめ動画/修正後)