大学生の息子から薦められて、
というか、彼が「これ読んでみてよ」と無理やり貸してくれたので読んでみた。
彼は昔から、映画でも漫画でも音楽でも何か面白いものを見つけるとボクに見せてくれる習性があるんだよね。
それが2017年に発表された「ソラニン」新装版。
元々の「ソラニン」というマンガは2005年にヤングサンデーに連載されてどうやら大ヒットしたらしい。
映画にもなってその主題歌も大流行りしたらしいが、
その頃は全くそういうものとは無縁の生活をしていたから全く知らなかった(笑)
んで、
この「ソラニン」新装版。
いや、マジで面白かったな~。
途中、何度かウルウルっと来た。
結構大ヒットした昔の作品だからネタバレしてもいいと思うと思うのでちょっとだけ。
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まずは主人公の種田くん。
バンドマンに憧れてるんだけど、自分の才能を信じきれなくてどうにもその第一歩が踏み出せずにもやもやしている社会人2年生。
んで、
彼の恋人で同棲中の芽衣子さん。
種田くんの才能を何とかしたくて、でもそれは彼のためなのか自分を日常から連れ出してほしいためなのか、
それも自分の中で判然としないままもやもやしている社会人2年生。
つまり彼らは同級生ってわけなんだね。
んで、
芽衣子さんが種田くんにはっぱかけてなんとかその第一歩を踏み出すかに見えたけど、
その第一歩の内訳は、そのトライは一度だけでダメならやめるという消極的なもの、
まさに「ラストの一歩」なのだった・・・。
* * *
とまあ、この辺でやめときましょう。
何も知らないオッサンが解説してもね、
マニアもたくさんいそうだからまさに「釈迦に説法」になりそうなんでね。
とにかく、
私もその昔、バンドマンを目指してたのもあって、
物凄く感動しました。
いやホントマジで。
* * *
でも、ね。
作者の浅野いにお氏による「あとがき」を読んで、
釈然としないものを感じてしまったのよ。
どよ~んとしたもやもやが頭を覆って、
なんだかやけに落ち込んだ状態になってしまった。
なんせ、この作者は「連載当初から種田のことが好きじゃなかった」らしいんだよ。
なんてこと言うんだろう?と思ったよ。
彼の「もがき」「葛藤」があるからこそ感動するのにね。
自分と同じような「モノづくり」をしている人間だからこそ、
もっと自分が生み出したキャラクターに対して敬意を払って欲しいとも思ったね。
* * *
なぜ作者がこのキャラを嫌いかというと、
「プライドが高くて気取り屋だから」らしい。
でもさ、そういう種田くんだからこそ、
もがきにもがいて、それでも流れに乗れず、しまいには赤信号で突っ込んでしまったんだろうと。
そういう話の展開にも説得力が出てすんなりと受け入れられるわけなんだよね。
この赤信号で突っ込んだ理由は「これで生きてたらきっとうまくいく」という願掛けや占いみたいなものだったらしいんだけど、
若さだけはあるがこれという結果が残せてないような自信のない人間はそういうのにすがりたくなるもんじゃん。
実際、作者の浅野いにお氏も昔はよくそういった「願掛けをやった」らしいわけなんだし、
そんなに嫌いにならないでほしいな~と思う。
それこそ「悲しすぎる」よ。
* * *
そういうことをここ1日2日考えてようやく結論が出た。
「プライドが高くて気取り屋なのはきっと浅野いにお氏自身であって作者はそういう自分がキライなんだろうな」と。
なんせ、あとがきの中で
「頑張ったら頑張っただけの7割掛けくらいの結果が出る」
なんて詰まんないことを言ってるくらいだから相当気取り屋だと見た。
このセリフって詰まるところ、
「結局、成功してない奴は頑張ってない奴なんだよ」といういわゆる成功者の上から目線の言葉と同じなんだよね。
んで、そう考える自分自身が大嫌いなんじゃないのかな。
そういう自分を消し去りたいから作中で種田くんを殺してしまったのかもしれない。
まあ、
これ以上言ったら浅野いにお氏のファンに殺されるかもしれないのでここらへんでやめときます。
一応、大ヒットしたらしいアジアンカンフージェネレーションの「ソラニン」を貼り付けましたんでどうぞ。
↓
ASIAN KUNG-FU GENERATION 『ソラニン』