芦沢七郎さんは75歳になる タマムシの人工養殖を始めて20年が経つ
それがやっと軌道に乗ってきた 今では年間300匹ぐらい成虫が育つまでになった
戦後間もない頃簡単に捕まえられたタマムシをもう一度見たいと思った
図書館や昆虫博物館 東京の国立科学博物館などに聞いても飼い方がわからない
人に聞くのは無駄だと悟った と同時にうれしくなった 自分が先人になれる
農家の有線放送で1匹5000円で買いますと呼びかけ30匹集めた
試行錯誤で育ててきた 2005年思わぬ相手から電話があった
韓国のテレビ局だった 韓国の古墳から出土した1500年前の「玉虫装飾馬具」
それを復元するにあたり玉虫の羽根が必要だということだった 1000匹無償で提供した
奈良の法隆寺の国宝「玉虫厨子(ずし)」は玉虫の羽根を装飾に使用した飛鳥時代のもの
馬具も同じ技法で作られる 韓国の人間国宝崔光雄氏の手で復元された
翌年慶州博物館で披露された 除幕式に招待された芦沢さんは「玉虫博士」と紹介された
昨年12月韓国文化放送の幹部らが芦沢さんを訪れた 飼育の協力要請だった
輸入規制などの課題が多いが「構想が実現すれば 飼育指導を引き受けたい」
「タマムシを介して日韓交流も深まればいい」と話した
芦沢さんは「年間1万匹の飼育が目標
近くの蓮華寺池公園などに放ち 藤枝をタマムシの里にしたい」と語る
玉虫の玉はギョクのことで 宝石や貴石の意味がある
タンスに入れておくと「着物が増える」 「着物に虫がつかない」
持っていると「幸せになる」 「女性は恋がかなう」など縁起のよい言い伝えがある
また 玉虫は環境が悪いと長生きするそうです