瀬戸内海は大丈夫か?
地中海や瀬戸内海はそれぞれに「世界の主な閉鎖性海域」の一つとされている。外海との水の交換が行われにくいため汚染物質が蓄積しやすく、水質の改善や維持が難しい性質を備えていると。一方そこは穏やかな自然環境に恵まれ古くから漁場として利用されています。瀬戸内海ではカキの養殖が盛んです。
2011年に起きた東日本大震災では地震や津波により、福島原子力発電所(原発)は事故を起こしました。(公財)海洋生物環境研究所・研究参与渡辺輝久氏の「福島第一原子力発電所事故と海洋汚染」によると発電所直近の海水中の放射性セシウム濃度の最高値は100,000(Bq/ℓ)を超えており、イカナゴ稚魚は14,000(Bq/kg)であったとある。1ヵ月程度の期間で下がってはいる。
福島県でのデータだが、瀬戸内海の上関原発に同じレベルの事故が起こると、閉鎖性海域のため1ヵ月の期間で下がると期待できない。近くの養殖カキにも影響が及ぶものと考えられる。
電力供給そして環境対策のために、日本では原発は必要とされている。しかし事故が起こることがあるとされる原発設備を瀬戸内海に建設することは、事故時の被災状況を重くしない視点からも避けることが必要ではないだろうか。