波
龍
現在の朝のテレビ小説は高知県出身の牧野富太郎博士をモデルに描かれていると。生まれて数年で明治元年を経験している小さい頃の博士は、草花が好きだった。そして似た他と間違わないように自分で絵に写し取っていた。緻密な絵を残している。
浮世絵師の葛飾北斎を題材にした番組が4月7日にあった。彼の絵で有名なものは富岳三十六景の一つ「神奈川沖波裏」。1759年生れ、1849年他界享年88才の北斎には娘がいたとか。85才頃の作品に「富士越龍」がある。身体が少し不自由だった北斎は娘に付添わせて、いない龍を富士山に描き加えている。娘とどこか競い合ってもいたようで「もう数年あれば自信の持てる絵が描けたのに」と言っている。
浮世絵とは「浮き世」の「現実」を写した絵という意とか。しかし龍を加えた絵を描いて「もう数年あれば---」と娘に発言する意図は何だったのか。同じような気持ちになるまで成長した、お前の作品を見せてくれと期待したのか。娘の絵は「影」を強く意識しており、夜の明かりの下で数人の花魁(おいらん)たちを描いた作品が残されている。
龍は現実の絵とは言えないが、思う所があったのだろう。この絵を見る娘の感動した潤む目がとても印象的だった。