弩弓 ルーモ人 ネット画像より
弩(ど)弓(きゅう)を使う民族の生活をNHKが映像で追っている。中国の雲南省の2500m級の山中に暮らす。主食はトウモロコシ、弩弓で狩りをして暮らす。
中国の南宋国に住んでいたルーモ人もモンゴル人の元国と戦った。南宋は滅び、ルーモ人は所払いとなったという。その後住む場所を求めて移動し、雲南省の山中に。以来800年ここに住む。弩弓による狩りは、30m離れたウサギの急所を射抜く。生活は村で、皆が助け合っている。獲物が獲れた時などは度々集まり、一つ鍋を一緒に囲む。トウモロコシで作るお酒を、竹のチョコで大の男が同時に二人頬をくっ付けながら飲む。習慣だという。
現在の中国政権は貧困な民を集団移住させて生活を良くさせる政策を進めているという。この村も対象になっている。国は住まいなどの援助はするが費用の半分程度のようだ。自給自足で助け合って生きてきた村人たちは移住先のルールさえ理解するには時間が掛かりそう。気の利いた村人が解体した山中の各人の家に使われていた板を売ることを提案し、手助けした。これまで生活に必須だった弩弓は使用禁止となる。高齢の二人の親を抱える者もいる。生活費をどのように作りだすか。生活要領の変化にどのように対処するか。生きて行くことだけでも難しそうだ。
小さい時から磨いたウサギの急所を射抜く弩弓の技術は役立つ時が来るのか。日本の明治維新や先の大戦に敗れた際に、多くの人たちが同じように途方に暮れただろう。今はその時の努力に支えられている。安定した日本の今に生きる私たちは「幸せなことだ」と心から思える。