ブログ暫らくの間、休刊いたします。
ご愛読に感謝申し上げます。
蜻蛉のストップモーション鼻の先
台風一過迷子の迷子の風小僧
目玉ひんむきニアミスの鬼やんま
ちちろ啼く念(おもひ)静めて生きよとも
雨ぽつとちちろの顔にかかりけり
遠ざかりながら啼くつくつく法師を聴きながら鍼灸の順番を待つ。ときどき鳥威しの空砲が鳴り、色づいた稲田の上を秋風が渡っていく。 ぎっくり腰にしては少々治りが悪いし痛む場所も違うので、鍼灸師に詳しく相談する。「大丈夫、治ります」という自信の言葉にちょっと安心する。 米山奨学生の王君が訪ねてきた。8日に中国へ一時帰省するという。中国のお土産は何が欲しいかと嬉しそうだった。昼食のカレーライスをおかわりしてくれた。
落蝉の眼に白雲の渡りゆく
晩夏のひかりはカドミウム・イエローを帯びていて、ゴッホの描くオーヴェールの景色のようにどこか侘しい。豊穣の秋に向かい果実も穀物もたわわに実り、充足感に包まれている筈なのに、得体の知れない切迫感に襲われ、なにかしら心落ち着けない。人間の進化の過程で、とてつもなく不安定な黄色い物質(あるいは現象)が存在し、それらが潜在意識の奥から心理状態に影響を与えているのかも知れない。
産子(おぼこ)てふ響きなつかし含羞草
オスロ市にあるムンク美術館から、二年前盗まれた作品が発見された。「叫び」と「マドンナ」の代表作である。かつて日本ではじめて開かれたムンク展を観て、それらの作品から絶望的孤独感を味わった。青年期の多感な頃だったのでそのショックは大きかった。上京するとき、版画の小品を一枚買えればと思い、ふところに20万円ほど用意していたが、○がふたつも違っていた。こちらのショックも大きい。 盗みの方法や隠蔽の経緯については徐々に真相が明かされると思うが、その核心についてはミステリアスに封印されてしまうかも・・・・・。いずれにしても再びムンク熱が高まるにちがいない。
サルビアの咲き極まりて黒くなる
虫の世へ静かに流す仕舞風呂