このところ寒さがやわらいできて
いちりん又いちりん、梅の花がほころび始めた。
いよいよ猫たちの恋の季節・・・・
あぁ ロミオさま!
おぉ ジュリエット!
ロミオさま! ジュリエット! あぁ おぉ あぁ おぉ
月光に濡れる塀の上が恋の舞台、
赤ちゃんのような声で一晩中求愛の歌がつづく。
うるさいなんて思わない、かつては僕も猫だった。
草つゆに裾をぬらし 霜を踏みしめ
非常階段を上ったり下りたり
西空に傾くあけの明星がとても大きく
ふりかえれば窓の灯がまだぼんやりと・・・・・・
時はうつろい流れ、
ドンファン猫は腰痛をかかえ炬燵の中で丸くなる。
姫の腹をくすぐったり
寝ころんだままパンをかじったり
それでも時おり、がばっと思い立ったようにパソコンに向かい
抒情詩など書いているのは
未だに情炎がくすぶっているから・・・・・
遠き日へこの身を運べ春一番