H.Y氏に捧げる
やさしい心を否定する人がいる
それだけならまだしも
やさしい心を壊したがる人がいる
妬みか 悪意か
それともおせっかいか
本意を知るのはむずかしい
その人にもやさしい心はあるから
自分よりもやさしい心が
まぶしい耀きとなって
おおきく広がるのが怖くて
壊してしまわないと
不安でたまらないのかもしれない
今日 やさしい心が一つ消えていった
萱草の花のように
無防備なひとに
ことばの辛らつは
まさに背後からの一突きであった
一通の手紙をぼくにくれて
やさしい心は
抗うことをためらい
ばらばらに壊されたまま
八溝にひきこもってしまった
そのやさしさをいいことに
病魔さえもが我がもの顔で・・・・
萱草の花に見送られ
照りかげりしながら
八溝の野辺に消えていった
ひとつのやさしい心
かえりの山路に迷いながら
そのときはじめて
萱草の花の色をさびしいものだと知った