境内
こどもが泣いている
おんなの子だ
ハトをとってくれろと泣いている
一つとってやると
そのままむしゃむしゃ食べてしまった
よく見ると
こどもと思っていたら
ちいさな老婆であった
流れ星
星がひとつ
西の山に流れていった
そのあとを赤い星が追いかけていった
山は黒々と村を抱き
追いかけていったのは
だれかの魂である
中華料理店
甘酸っぱい海老チリは
へその緒を伝わってくる原初の匂い
だから皆が注文する
春二題
退屈な相づち 延髄に白い月ぽかあん
キリンも寂しいか たんぽぽ飛んで