ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

詩人の魂

2008-09-29 00:20:39 | 日記・エッセイ・コラム

詩の仲間が、不意に当館を訪ねて来た。
12名ほどであるが中央の詩人もいて
久しぶりの再会に感激した。

腰痛の治療から戻ってきて在宅していたのでよかった。

解説にもきちんと耳を傾けてくれて
1号館、2号館ともゆっくり鑑賞してくれた。

手前味噌になるかもしれないが
叔父史郎も亦、詩人の魂をもった画家であった。
その作品の土壌となっている哲学、宗教、音楽、文学などを
彼らは強く感じ取ってくれたようだ。

どんなに描いても売れない時代の
もがき苦しんでいる作品
(2号館に展示)には
ことさら心を掴まれたようで
長い時間、その前から離れようとしなかった。

ところで、詩人の世界でもご多分に漏れず
高齢化を憂える声を耳にするが、ぼくは心配していない。
むしろ年寄りたちが元気になったと歓ぶべきである。
まだまだ美しいものには心ときめき、醜いものには心いため、
理不尽に対しては強い憤りを覚え、恋もするし嫉妬もする。
その魂と詩情は今も瑞々しく健在で
年寄りだからと自分で自分の感性を封印してはいけない。

館を出てからは屋敷内の猫が気になるようで
石塀の上でじっとしている白い猫を指差し
あれは塑像かと訊ねるひともいて-----------

    
柿右衛門いまだ至らず柿の色


鯛と叔母

2008-09-27 16:54:08 | 日記・エッセイ・コラム

キス、ハタハタ、カレイが山陰より届いたので
さっそく万屋さんへおすそ分け。
倹約家なのでいちばん喜んでくれる。
その喜びがこっちにも伝わってきて
魚たちまでもが小躍りしているような気がしてくる。

学芸員さんに向けて作ったスープカレーが
ようやく空になったので(5日間カレーつづき)
今晩は三種の焼き魚定食となる。

はじめて叔父史郎のアトリエ(枚方市)を訪ねたとき
大きな鯛をぶらさげて叔母がオロオロしていた。
どうしたのか尋ねると
「栃木の本家から康坊サンが来るというので
 歓迎しなきゃと思い、一匹のまま買ってきたが
 どうしたらいいのか分らない」
ほんとうに困惑したそのようすが可愛くて
いっぺんに叔母を好きになった。(大学二年生の夏だった)

その叔母もこの7月に亡くなったが、彼女の望んだとおり
史郎と息子麦太郎と並んで
わが和氣家の墓地で仲良く眠っている。
家族三人、寂しいこと悲しいこと夫々にあったけれど
今はこうして安息の眠りについている。

   
蜻蛉の思惟へくるくる目くらまし


佳きことも、亦

2008-09-26 10:20:49 | 日記・エッセイ・コラム

〈 暑い寒いも彼岸まで 〉 とはよく言ったもので
朝晩は絨緞の暖房を入れたり
蒲団に毛布を掛けたり
熱い昆布茶など吹きながら
冬向きの俳句などひねっている。

とかくこの時季は風邪に用心。
一昨日、ある研修会で(出席者300人)
後ろの奴がぼくの後頭部に向けて咳を吹きかけてくる。
よりにもよって風邪引きの前に席を取るなんて、ツイテナイ!
会議が進んでしまったので移動するわけにもいかず
できるだけ呼吸を浅くして、我慢の3時間であった。

平然とウイルスをまきちらし
マスク着用の礼儀を知らない人間が多いので
この時季、会合に出かけるのが怖い。

それでも悪いことばかりではない。
帰り道、旨いコーヒー店に出会えた。
周囲は黄金色に波打つ稲田と雑木林の閑静なところ。
扉を開けたとたん
バッハの「オーボエとヴァイオリンの為の協奏曲」に迎えられ
中年のマスターが丁寧に淹れたブレンドコーヒーが実に旨い!
こんなところに、こんな店が・・・・
むかしの自分が投影されているような
ちょっとうれしい驚きである。

 やわらかな秋の陽だまり

外に出ることは何かに出会える。
億劫がってはいけないのだ。

   
早稲の香やふとひとの名をつぶやきて


もったいないの心

2008-09-19 00:18:40 | 日記・エッセイ・コラム

例の包丁研ぎ屋さんがポポーの実を持ってきてくれた。
媚薬のようなふしぎな匂いが部屋中に充ちて
なんだか落ち着かなくなってきた。

古くなれば簡単に捨ててしまう今の時代だからこそ
研ぎ直して再生させることに歓びを覚えると
日焼けの顔が屈託なく笑う。
このごろはT市にまで出かけて行って
そこの古い通りで開業していると言う。
「包丁研ぎと蔵の街」・・・・・ぴったりじゃないかと賛辞すると
少年のようにうれしがった。

亦、彼は『野草を食べる会』の主宰者でもあり
辺りに生えている雑草を片っぱしから食べてしまう。
我が家の隅に生えていた気味の悪いキノコを見つけたときは
小躍りしてよろこんだ。
食べられないへぼキノコと思い、目もくれなかったが
エノキダケの天然原種でとても旨いものだと言う。

紙袋いっぱいに採ってニコニコしているので
猫たちのおしっこのことは黙っていた。

    
 錆鮎の供養の骨湯にて候


幽霊は返事しない

2008-09-17 13:42:00 | 日記・エッセイ・コラム

インターアクトクラブの高校生たちが
タイ研修旅行の報告に我がロータリークラブを訪れた。
参加者は七名。他に引率の先生が二名。
男女共学であるにも拘わらず総て女生徒ばかりである。

スライドに沿って彼女たちが交代で説明してくれた。
はじめての海外ステイでとても楽しい体験をしたようだ。
と、まあ そこまでは取り立てて言うべきことはないのだが
ビジター紹介の段で、当クラブの会長が
一人づつ名前を呼んで紹介した際に
彼女たちから返事が無い。
七名とも座ったままで、うんともすんとも無い。
先生もそのことに無反応、
これは一体どういうことだろう!?

そこでぼくは又、余計なことを言う羽目になってしまった。
  「今日ハ 黙ッテナ」
出掛けには女房からいつも釘を刺されているのに・・・・

  「みなさん、名前を呼ばれて返事しないのは
   幽霊か透明人間です。
   犬や猫でさえ呼ばれたらワンとかニャンとか返事します。
   みなさん、みなさんは幽霊ですか?」

及ばずながらも
、一応ぼくはこの町の社会教育委員、
みすみす黙っているわけにはいかない。
苦言を呈するのは大人の責任でもある。

家庭でも学校でもほったらかし、
子供たちを責めることはできない。
最も初歩的常識が教えられていないことに問題がある。

    
インターアクトクラブとは、
 奉仕と国際理解に貢献し、世界的友好精神のなかで相共に活動
 する機会を青少年に与えるために結成された組織。
 主に高校生を対象として各地域のロータリークラブが支援援助している。


      
とろろ飯さきの法話は忘れけり