ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

ありがとう!2007年

2007-12-30 13:07:43 | 日記・エッセイ・コラム

朝からの細く冷たい雨をぬって
雷神がはしる
いまわしい年と決別するかのように。

平成19年の印象を『偽』という一文字で表現されたが。
有名一流企業があやしい
トップエリートがあぶない
老舗があぶない
信用と信頼がガラガラ音をたてて崩れ
まことに情けない日本になってしまった。
政治、経済、教育、文化、道徳、倫理・・・
総てがBランク以下に格下げである。

「貧しいけれど美しい日本人」は
いったい何処に消えてしまったか・・・・・
「三丁目の夕日」はどこに沈んでしまったか・・・・

「来年こそは」 と、幾たび祈願したことだろうか
「今年こそは」 と、幾たび夢を抱いたことだろうか

今年もまた腹の立つことや痛ましい事件が沢山あった。
罪を憎んで人を憎まず・・・などと
のんきな事を言っていられないほど
日本人の精神性が壊れてしまった。

そしてもっとも怖いのは
周囲の汚れた空気に麻痺してしまうことである。
気づかないうちに自分もまた壊れていくのである。

虚子が詠んだとおり
「つらぬく棒」のように旧年と新しい年とはつながっていて
どこにも区切りはない。
明日は今日の延長なのである。
だから、たとえ廃れた日々であったとしても今年に感謝しよう!

  
 妻に倣ひ何かせねばと小晦日   やす


格差から調和へ

2007-12-27 19:46:49 | 日記・エッセイ・コラム

都市と地方の格差が云々されている昨今
会社や企業もその大小にかかわらず
役員と社員との格差が拡大している。

大地があって、花が咲き実が生るように
地方があって都市があり
社員があって会社があり
井戸を掘る人がいるから美味しい水が飲める。

年収200万円未満の人たちが増加している。
バブル狂乱、中流意識90%の時代からは誰もが
予測できなかったこの現況。

〈働けど働けど我が暮らし楽にならざり、じっと手を見る〉
まさにワーキング・プアーである。

「再チャレンジ」と、ある総理大臣は
高らかにラッパを吹いたが
そもそもチャレンジできる能力のある者は
人の助けを借りずとも立ち直ることができる。
肝心なのは年齢・体力・適応性などで、力の弱い人たちを
どう援助するかである。
残念ながら、それらの弱い立場の人たちに
援助の手が差し伸べられているとは思えない。
むしろ切り捨てられているのではないだろうか。

努力と能力とチャンスによって所得の差は生まれるものだろうが
今日のような極端な格差は決して正常とは言えない。
強いものだけがいい思いをするのではなく
ひたむきで正直に生きている人たちにもっともっと
光りを向けられるような社会であって欲しいと思う。
それがほんとうの「うつくしい国」であり成熟した社会と言える。

搾取や差別による発展はいづれ崩壊する。

   
鬱々と恵方のさきにある戦さ   やす


Merry,Christmas!

2007-12-24 14:24:54 | 日記・エッセイ・コラム

  Merry,Christmas! Merry,Christmas!
この響きを耳にしただけで
まるで魔法にかけられたように
心の奥が温かくなってくるのは何故だろう?

言葉は人の心理に大きく影響を与え
さらには何らかの行為を喚起させる力がある。

  Merry,Christmas!
なにか善きことをしたい・・・・・
なにか人の為になりたい・・・・
ほのぼのとそのような気持ちにさせられる言葉、Merry,Christmas!

ずっと昔
小さなツリーを囲み
「ジャンバルジャン」の話に耳を傾けながら
牧師さんの鼻が妙に赤く腫れてくるので
菓子袋をその場に放り
家に走って帰った夜のことが
今、あざやかに想いだされる。

ぼくはクリスチャンではないが
フォーレのミサ曲や「グノーのアベ・マリア」を聴くと
宗教を超えたところの「不思議な優しさ」につつまれる。

   
レクイエム聴きをり暖炉はぜてをり   やす


もういくつ寝ると・・・

2007-12-22 12:36:26 | 日記・エッセイ・コラム

  もういくつ寝るとお正月・・・・
  もういくつ寝ると夏休み・・・・
  もういくつ寝ると遠足・・・・・・

こども時代は明日への夢と希望がいっぱいだった。
やりたいこと沢山あって
行きたいところ沢山あって
未来が有限だなんて考えることもなかった。

それがどうだろう・・・。
「老人性ドライアイ」「老人性狭窄症」などと診断され
やりたいことも少なくなって
行きたいところへも億劫になって
視野もだんだん狭くなり
新しいことが面倒になって
〈うれしさも中くらいなりおらが春〉
などとうそぶいてみたり
つくづく、「少年老い易く学成り難し」である。

巷ではクリスマス一色。
今年こそサンタを見定めようと眠い目をこすりながら
眠ってしまった日々のことが
つい昨日のようでもあり
はるか時間の彼方のようでもある。

それでも尚、
ラジオからクリスマスソングが流れてきたり
ようやく書き終えたばかりの年賀状の束を撫でていると
かつての少年のように
体の芯に温かいものが沸いてくる。

  
 猫飯の霙和えにてさうらばや    やす


ハレルヤ

2007-12-16 12:53:49 | 日記・エッセイ・コラム

きょうは短い詩を思いつくままに書き綴ってみました。  

       

       ハレルヤ

     あなたの誕生日を

     世界が

     こんなに祝っているというのに

     あなたはちっともその姿を見せない

        破壊

     おんなの指示のもと

     庭師が枝を切っている

     見上げるだけのぼくの足元では

     切り落とされたものたちが

     強いにおいを放っている

     凍蝶

     石の上で

     羽根をたたんだそのとき

     いのちは

     あきらかに死にはじめている

        いじめ

     モグラを放り上げては

     戯れている猫

     ぐったりと

     モグラが動かなくなると

     猫はその場を離れていく

        慈善鍋

     ほんとうに届くだろうか

          ----そんな風に考えてはいけない

          はじめの気持ちをそのまま

          表わせばいい

        起源

     人間は神を知ったときから

     殺し合いが始まった

     自分がいちばん神に近いと

     思い込んで

        涙

     98パーセントの水と

     少量のたんぱく質・食塩・リン酸塩のしずく

     極めて伝染性が強い

        シクラメン

     咲き誇る王妃のもとで

     こうべを垂れる官女たち

     やがていくつかの夜が過ぎて

     王妃が崩れ始めると

     一つ又ひとつ

     官女の中から

     あたらしい王妃が

     起ちあらわれる