ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

午後の秋

2013-09-28 14:19:28 | 日記・エッセイ・コラム

カーブの多い県道沿いに
カンナの花が朱色を濃くしている。

熱烈なフラメンコの群舞から
今は秋日を浴びながら
穏やかに瞑想のたたずまい。

刈田の向うには
林檎園の幟がはためき
天はどこまでも高く碧い。

三つ年上のいとこが亡くなった。
若いころは石原裕次郎に似てカッコよく
わたしの羨望の的でもあったが
病には克てなかった。
永い年月の療養生活から
ようやく解放され
大股で彼岸へ駈けて行った。

天然の舞茸が届いた。
今晩はセシウムを補助出汁として
舞茸のお吸い物でもつくろうか。

それにしても汚染水漏れはどうしたものだろうか。
確たる解決策がないままに堂々巡り。

  秋さやか水面を跳ねる陽のかけら


庭にバナナが

2013-09-27 12:10:20 | 日記・エッセイ・コラム

庭のミカンを一個
花瓶に挿したところ意外に大きいので驚いた。

店に並んでいるものとほとんど変わりない。
もうしばらくすると食べられるかも。

露地ミカンの北限が烏山町なので
更に北へ記録を伸ばしたことになる?

これも温暖化の所為。
いつかそのうち庭にバナナが熟れることも・・・・。

ロクサーヌに少々ボケがきたようだ。
さっき食べたばかりなのに
ごはんを欲しがってうろうろ鳴き歩き
なんとまぁ、肛門にくっつけた うんちの塊を
カーペットの上に落としていく。

とつぜん部屋の中が臭いので
私のお尻が臭うのかと
あわててトイレに駆け込んだりもして。
戸の前では女房に早く交代しろと急かされて・・・・・


猫と女とわたくしと 日々着実にボケていく。

 いちじく煮るワインの泡は鬱々と


彼岸の国から

2013-09-25 13:11:52 | 日記・エッセイ・コラム

彼岸は仏たちの食い供養。

わが家自慢の稲荷ずしを女房が作り
肉じゃがといちじくのワイン煮をわたしが作る。

どれも上手に仕上がって
仏たちも喜んで食べてくれたと思う。

ひと月前から姿を見せなかった
ゴンベエ(前足のない猫)がひょっこり帰ってきた。

もう死んでいるだろうと諦めていたところへ
お勝手口に行儀よく座り
ひと回り痩せたように見えるが元気だ。

缶詰をしっかり食べてまたどこかへ消えていった。
この辺りを仕切っている
毛の長いノラ猫(ボアと呼んでいる)に
追われるのかもしれない。

とつぜん戻ってくるなんて
これもお彼岸のせいだろうか。

蝉はもう鳴いて居ない筈なのに
じっとしていると
耳の奥の三半規管あたりで
ツクツクホーシの声がする。
・・・・・幻聴か。

三日前から女房の補聴器が新しくなった。
ドイツ・シーメンス社の最新版。
お陰で私の方は大声を出さずに済むようになった。
テレビの音量もこれからは普通でいい。

  鳴く虫へ障りはあらず秋の雨


乳香

2013-09-22 14:55:22 | 日記・エッセイ・コラム

ネットで乳香を取り寄せる。
南アラビア・東アフリカの乾燥地帯に
自生するボスウェリアの樹。

樹皮に傷をつけると
ゴムの木のように白い樹脂が分泌され
空気に触れて固化する。
それを採取したものが乳香として
各種の香料に使われる。

樹木の栽培が困難なため
同じ重さの金と取引されたこともあるが
現在は絶滅種にあるという。

紀元前のエジプトでは
神に捧げる神聖な香りとして珍重され
日本には10世紀頃シルクロードを経て伝来。
動物性の香とは違って
神秘的・瞑想的な香りである。

10年ほど前、
庭の隅に植えた蜜柑の樹に実が生った。
うれしくて数えてみたら25個。
昨年までは全く実らなかったのに。

未だ小さく青いものだが
黄色く熟してくれるのを期待している。

数軒の農家から新米が届けられる。
粘りと甘さと香りに豊かな気分にさせられる。

 正眼の構えのやんま かかってこ


十五夜さま

2013-09-20 14:13:35 | 日記・エッセイ・コラム

ご多分に漏れず
わが町内に於いても
廃業・店じまいの店舗が増えている。

核家族と高齢化
さらには長期の不況も関わって
若い連中が町を出てしまう。

残された年寄りたちが
なんとかがんばって地域を支えている。
しかしそれにも限界があり
周りから馴染みの商店の灯が消えていくのは
とても寂しい。

4月から消費税8%になる公算が高い。
消費税は当初
社会保障費に使われるということで
国民の多くが納得していたが
いつの間にかインフラ整備に回されてしまいそうだ。

二枚貝ならぬ
二枚舌ばかりが生息している政界という海の底。

今宵は十五夜さま。
さっそく窓際に芒を挿し
りんご・梨・サツマイモを供える。
軒下で子どもたちがぼうじぼを打つ。

「ぼうじぼ当たれ三角四角のそばあたれ・・・」
うしろの暗がりで疲れた子どもが一人
皆から遅れてぼうじぼを打つ。
(その子は昔のわたしであろうか)

中空ではまんまるお月さんが微笑んでいる。

深夜、震度4の揺れ。
雨・風・地震とこの頃やたらに騒々しい。

*ぼうじぼ(穂打棒):豊作を祈る地方の伝統行事