ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

貝殻虫

2013-10-31 12:58:24 | 日記・エッセイ・コラム

詩を一編。

     貝殻虫

おんなが寝たあと
卓上に小さな貝殻虫がふたつ
常夜灯の淡い光の下で
こそっと動いたような・・・・

かつておんなの
眼と耳は
砂漠の民ベドウィンのようにするどく
見えないものまで見えて
その頃の誓約書が今も大事にしてあるという

鉛筆の先で小突いてみると
幽かにちちちと鳴いたような・・・・

日中 虫はおんなの内耳に棲み付いて
あることないこと囁いては
電池が切れるまで
おとこの呟きも聞き洩らさない

悪友が昔話をしにやってくる
・・・・しいっ! 人差し指をそっと唇に当てる

 *介殻虫(カイガラムシ)というカメムシ科の害虫がいるが、
  それとは全くの別物であり貝殻虫はわたしの造語である。


情け

2013-10-23 14:44:54 | 日記・エッセイ・コラム

台風26号で切断された屋外電線の修繕のため
30分ほど停電になる。

冷たい雨の降る曇天の日。
うす暗い寒さの中でじっとしながら
電気を止められ凍え死んでいくニュースを
想いだしている。

料金を滞納しているという理由で
情け容赦もなく電気を止める。
酷寒の中で飯も炊けず湯も飲めず
困窮者の電気料金が
いったいどれほどの額になるというのか。

たかが知れてはいませんか。

福島第一原発の事故やその後始末に於いても
当の電気会社はだれも責任を負わない。
何をやろうと会社がやるのであって
貧者が死のうと生きようと
じぶんには関わりないのである。

第三者である私でさえ
これらのニュースには胸が痛む。
殊にライフラインに関わる企業に於いては
業績よりも
もっと人道的であってほしいと思う。

 よろよろと台風進路柚子は黄に


生きる

2013-10-18 10:45:04 | 日記・エッセイ・コラム

倒れたモミの木とナツメの木を処分してもらう。

電動ノコを振り回しながら
 「旦那、これ スカスカですぜ」 と 
切り口を見せられる。

両方とも幹の芯がすっかり朽ちていて骨粗しょう症。
これほどの巨体を支え、
よくぞこのような状態で立っていられたものだ。

膝が痛い、腰が痛いと
毎日ボヤいている自分が恥ずかしくなった。

生きることの凄さを
あらためて教えられたような気がする。
短く切断されていく彼らの樹肌を撫でながら
愛おしくも思えた。

知り合いのりんご農家も被害に遭った。
丁度収穫時季。
りんごの6割が落ちてしまったそうだ。
木も倒され 
あちらこそ被害甚大。

台風、
大きく育つ前に破壊してしまう方法はないものだろうか。
南方の海上で生れたばかりの台風の目に
ミサイルを撃ち込むとか・・・・。

 台風のあとに台風土石流


モミの木は消えた

2013-10-16 14:34:02 | 日記・エッセイ・コラム

台風26号、凄い風であった。

 庭の一番大きなモミの木が
根元から折れて倒れた。
さらに約60年は経っているナツメの木も倒れた。
厠の周りの大谷石の塀も一部倒壊し
被害甚大。

 強風のさ中、
ほんの数秒間もの凄い音がして 
あれは竜巻だったように思う。
家の中にいて様子は見てはいないので
確かなことは言えないが
あのとき一気に倒されたのだろう。

 2号館への電線も切れて
自分たちでは手のつけようがないので
業者に連絡する。
その業者がまた忙しくなかなかつかまらない。

 とにかく今朝は
経験したことのないようなすさまじい風に襲われた。

 ナツメもユズも
ばらばらと地上に落され
日陰のミカンだけが無事であったが。

 それにしても伊豆大島の被害は大きいなあ。

 台風一過何事もなき空の青


食いしん坊ときどきウツ

2013-10-12 16:41:50 | 日記・エッセイ・コラム

腰痛を病んで以来、
外に出るのが億劫で正岡子規の心境が
いくらかは理解できそうだ。

ウツや引きこもりにならないよう
料理をしたり詩を詠んだりワーグナーを聞いたり
気分転換にvolvo
を飛ばすこともあるが・・・・・

度々の風雨にも耐え 離れの軒先で
深紅の頭を大きく揺らしている鶏頭の花。
鋼のような強い茎に支えられ
軍鶏のように逞しく咲いている。 
この時季わたしがもっとも好きな花。
毎朝顔を洗いながら窓越しに見入る。
秋の深まりとともに
深紅から赤黒色に濃くなっていくのがいい。

その向こうでは棗の実がたわわに熟している。
幾つかの小鳥の群れがやってきては
朝早くからテリトリー争いに騒々しい。
それらを石塀の上でじっと狙っているネムがいる。
隣の農家からは脱穀の滓が吹雪のように飛んでくる。

神無月、わが家の庭はしばらくの間にぎやか。