水田に浮んだ月に誘われて
蛙が一斉に鳴きだした。
理由は解らないが例年よりはるかに
蛙の数が多いように思う。
村中、ものすごい合唱だ!
中には道の真ん中で朦朧とへたり込んでいるのもいる。
この世に出てはきたものの
未だ冬眠から覚めやらぬようだ。
出来るかぎり避けながら、車を走らせるが
それでもいくつかは轢かれてしまう。
ぼくにはいくつかのトラウマがあって
その一つに蛙が苦手。
小学生の理科の授業で蛙にいたずらして以来、
触れることができない。
あの肌のぬるぬるはなんとも気持ち悪い。
いつだったか、どこぞのスナックで
女将から蛙の串焼きを出され大いに慌てたことがあった。
蛙など、あれは蛇の好物であって人間の食すものではない。
遠くからその音色を聞いているだけでいい。
書き出しにとまどひゐたり遠蛙 やす
久しぶりにビーフカレーを作った。
仕上がりの自己採点は85点。
赤ワインを切らしていたので急遽、
近くのスーパーに駆け込み
棚にあるものを無造作に買って来た。
・・・・・・これがいけなかった。
料理用であってもワインはやはり
いいものを使わなければダメだ。
これがマイナス10点、後のマイナス5点は牛肉。
しかし材料の見極めも腕のうち、マイナス15点は
実はぼくの減点なのだ。
足すことだけが能ではない。
加えたことでかえって不味くなることもある。
料理には引き算もあるということを忘れていた。
陽気もいいことだし素直に認めよう。
シルバー人材センターに頼んで
家中の障子を張り替えてもらった。
若葉光が眼に痛い。
父親から追い出されたポールが
12日ぶりに戻ってきた。
何も食べてないらしく
やつれてみすぼらしい姿になっていた。
(猫は一週間ぐらいは飲まず食わずでもいられる)
ボスに見つかったら大変!
冷凍庫のアラを解かしている猶予はないので
急ぎ、缶詰を開けてやる。
周りに目をやりながらガツガツ食べる。
そしてまた、ぷいっと姿をくらました。
グループを追い出された猫のそれからの運命は
どこかのグループに迎え入れられるか
人間に飼われるか
野垂れ死にするかのどれかである。
ポールは仔猫のうちから警戒心が強く
人間に近づこうとはしない。
ぼくらにさえ距離を持っていた。
だから人に拾い上げられることは先ず無いと思う。
新しいグループに加えてもらうことが唯一
ポールが生きていける道なのである。
57年前の今日は
第一回ミス日本コンテストで山本富士子が初代ミスとなった日。
以来、美しいミスたちが毎年輩出され
やがては世界のヒノキ舞台で活躍することになる。
1959年には児島明子がミス・ユニバース優勝者の栄冠に耀く。
さらには2002年度大会より優勝者の王冠は
フェニックスがデザインされたミキモト製を使用している。
ミス・コンテストを、
あれは男尊女卑だとか、セクハラの一種だとか
ヒステリックな意見もあるようだが
美しい存在を美しく思うことに何の問題があるだろうか。
この地球上で女性は最もうつくしい存在。
神が創られた最高傑作である!
周りが総て男だけであったらと想像してみてください。
・・・・ゾっとするほど殺伐でつまらない世界だ。
かつてルノアールはこう言っている。
「もしこの世に女性が居なかったら僕は
画家にはなっていなかったであろう」・・・と。
絵日傘や駅までつづく下り坂 やす
もうかなり前のことで、確か初演だったと思うが
劇団四季のミュージカル『CATS』を観た。
猫がそんなに好きなら・・・・と、
姪と妹がぼくら夫婦を招待してくれた。
品川駅を降りて寒い中、大分歩かされた記憶がある。
現在もロングラン公演中。
個性的なノラ猫たちが、都会のゴミ捨て場を舞台に
うたと踊りを繰り広げる。
その中の「メモリー」は世界的なヒットソングとなった。
客席にせり出した仮設舞台、
ノラ猫たちが妖しいポーズで膝元にすり寄ってくる。
ふわふわのその尻尾でぼくをくすぐるのです。
そして切ない瞳で、じーっと見つめるものだから
ぼくはたまらず妹にささやいた。
(妻には聞こえないように、そっと)
「一匹、連れて帰りたい」
すかさず妹が小声で応える。
「お金かかるよぉ」
今、本物のノラ猫たちに囲まれて暮らしているが
あのときのあの黒猫のような媚態には出逢えない。