ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

蛙笛

2007-04-30 23:18:13 | 日記・エッセイ・コラム

水田に浮んだ月に誘われて
蛙が一斉に鳴きだした。

理由は解らないが例年よりはるかに
蛙の数が多いように思う。
村中、ものすごい合唱だ!

中には道の真ん中で朦朧とへたり込んでいるのもいる。
この世に出てはきたものの
未だ冬眠から覚めやらぬようだ。

出来るかぎり避けながら、車を走らせるが
それでもいくつかは轢かれてしまう。

ぼくにはいくつかのトラウマがあって
その一つに蛙が苦手。
小学生の理科の授業で蛙にいたずらして以来、
触れることができない。
あの肌のぬるぬるはなんとも気持ち悪い。
いつだったか、どこぞのスナックで
女将から蛙の串焼きを出され大いに慌てたことがあった。
蛙など、あれは蛇の好物であって人間の食すものではない。

遠くからその音色を聞いているだけでいい。

  書き出しにとまどひゐたり遠蛙   
やす


引き算

2007-04-26 10:40:14 | 日記・エッセイ・コラム

久しぶりにビーフカレーを作った。

仕上がりの自己採点は85点。

赤ワインを切らしていたので急遽、
近くのスーパーに駆け込み
棚にあるものを無造作に買って来た。
・・・・・・これがいけなかった。
料理用であってもワインはやはり
いいものを使わなければダメだ。
これがマイナス10点、後のマイナス5点は牛肉。

しかし材料の見極めも腕のうち、マイナス15点は
実はぼくの減点なのだ。

足すことだけが能ではない。
加えたことでかえって不味くなることもある。
料理には引き算もあるということを忘れていた。
陽気もいいことだし素直に認めよう。

シルバー人材センターに頼んで
家中の障子を張り替えてもらった。
若葉光が眼に痛い。


さすらいのポール

2007-04-24 11:00:02 | 日記・エッセイ・コラム

父親から追い出されたポールが
12日ぶりに戻ってきた。
何も食べてないらしく
やつれてみすぼらしい姿になっていた。
(猫は一週間ぐらいは飲まず食わずでもいられる)

ボスに見つかったら大変!
冷凍庫のアラを解かしている猶予はないので
急ぎ、缶詰を開けてやる。
周りに目をやりながらガツガツ食べる。
そしてまた、ぷいっと姿をくらました。

グループを追い出された猫のそれからの運命は
どこかのグループに迎え入れられるか
人間に飼われるか
野垂れ死にするかのどれかである。

ポールは仔猫のうちから警戒心が強く
人間に近づこうとはしない。
ぼくらにさえ距離を持っていた。
だから人に拾い上げられることは先ず無いと思う。

新しいグループに加えてもらうことが唯一
ポールが生きていける道なのである。


ミューズ

2007-04-22 13:11:30 | 日記・エッセイ・コラム

57年前の今日は
第一回ミス日本コンテストで山本富士子が初代ミスとなった日。

以来、美しいミスたちが毎年輩出され
やがては世界のヒノキ舞台で活躍することになる。

1959年には児島明子がミス・ユニバース優勝者の栄冠に耀く。
さらには2002年度大会より優勝者の王冠は
フェニックスがデザインされたミキモト製を使用している。

ミス・コンテストを、
あれは男尊女卑だとか、セクハラの一種だとか
ヒステリックな意見もあるようだが
美しい存在を美しく思うことに何の問題があるだろうか。
この地球上で女性は最もうつくしい存在。
神が創られた最高傑作である!

周りが総て男だけであったらと想像してみてください。
・・・・ゾっとするほど殺伐でつまらない世界だ。

かつてルノアールはこう言っている。
  「もしこの世に女性が居なかったら僕は
    画家にはなっていなかったであろう」・・・と。

     絵日傘や駅までつづく下り坂   
やす


CATS

2007-04-18 16:06:35 | 日記・エッセイ・コラム

もうかなり前のことで、確か初演だったと思うが
劇団四季のミュージカル『CATS』を観た。

猫がそんなに好きなら・・・・と、
姪と妹がぼくら夫婦を招待してくれた。
品川駅を降りて寒い中、大分歩かされた記憶がある。

現在もロングラン公演中。
個性的なノラ猫たちが、都会のゴミ捨て場を舞台に
うたと踊りを繰り広げる。
その中の「メモリー」は世界的なヒットソングとなった。

客席にせり出した仮設舞台、
ノラ猫たちが妖しいポーズで膝元にすり寄ってくる。
ふわふわのその尻尾でぼくをくすぐるのです。
そして切ない瞳で、じーっと見つめるものだから
ぼくはたまらず妹にささやいた。
 
(妻には聞こえないように、そっと)

「一匹、連れて帰りたい」

すかさず妹が小声で応える。
「お金かかるよぉ」

今、本物のノラ猫たちに囲まれて暮らしているが
あのときのあの黒猫のような媚態には出逢えない。