モジリアーニの描き忘れた瞳がふたつ
てのひらに。
黒い枇杷の種。
なにひとつ瑕疵のない完璧の種。
あっさりとは捨てがたい。
全裸で寝ころび
モンパルナスのアトリエから
灰色の眼が視つめていたものは・・・・・。
愛の儚さか
それとも生の虚無か。
二日後、
自宅の窓から飛び降りて後を追った女。
酒と薬物に溺れながらも
純粋であろうとしたモジリアーニとその女。
大地にもどし毎日水をやったら
裸婦が芽生えてくるだろうか。
もうしばらくは
てのひらの中で楽しんでいよう。
今宵は十三夜。
すでに麗しく中天に輝いている。
あのような美しい星に
人類が降り立ったとは信じがたいこと。
ぼうじぼを打つこどもたちの声が
遠くから響いてくる。
10人ほどの集団。
外灯に頬を赤く染めて
♪ぼうじぼあたれ三角畑にソバあたれ・・・♪
わら筒で家々の軒先を打ち歩く。
いちばんうしろの暗がりでは
ひとしきり小さな子が
皆に遅れて打ち鳴らす。
やわらかに月が微笑んでいる。
壷に活けた芒の葉を姫たちが食べてしまう。
ネコクサに似ているのだろうか。
食べては代わる代わる毛玉を吐きだす。
犬連れて芒を採りに十三夜
*ぼうじぼ(穂打棒):栃木県北部に伝わる豊作祈願の子供行事
どこか出かけてみるのもいいよ と
ひとに勧められ
ストレス解消・気分転換に
中国料理店の日光翆園に行く。
だが
駐車場も店内も満席でしばらく待たされる状態。
わたしは待つのが苦手、
他の店で食べることにした。
紅葉の季節。
原発風評被害以来、久しぶりの盛況。
ランチどきもあってか人があふれ、
町なかには美味しい匂いが満ちていた。
この賑わいはわたしもうれしい。
(但し外国人の姿は今も少ないが)
海老屋の湯葉と
湯澤屋の酒まんじゅうを買い、
今市に戻り たまり漬けを買う。
「宴の後の寂しさよ」・・・コンサート以来、
なにやらメランコリーになっていたが
ひとの勧めを素直に聞いて
ようやく元気になった。
神橋の朱塗りへ紅葉貼りつきぬ
ケーナのコンサートが終わった。
Ⅰ部2部あわせて200名近い聴衆が
フォルクローレの軽やかな響きに酔いしれた。
ことにRenさんのフアンの多いことには
あらためて驚かされた。
いわゆる(追っかけ)。
でもこの追っかけなら大いに同感できる。
かつて遥か遠い昔、
マヤ帝国と日本が交流していた形跡がある。
カスリ模様をはじめ幾つか遺跡の中から、
それらを裏付ける出土品が発掘されている。
顔も体型も南米の人たちと我々はよく似ている。
おそらくそうした古代の記憶が
DNAの中に刻み込まれているので、
フォルクローレの響きに理屈抜きで感応し、
魂が共振するのだろう。
----------遥かな郷愁に。
今朝もフアンの人たちが
最後の後片付けをやってくれた。
その間、
私はRenさんのCDを流し
しばらくは余韻を楽しんでいよう。
演奏家のみなさん、
フアンのみなさん、観客のみなさん、
ありがとう!
帰るひとや後ろ姿のそぞろ寒
午後4時
ケーナ演奏家Renさんのフアンが集まり
会場つくり。
3時間で
幽玄の美術館はコンサート会場に模様替え。
ケーナとチャランゴとギターによる
フォルクローレ。
明日を楽しみにとそれぞれ帰って行った。
なにしろRenさんには
中年の「追っかけ」が沢山いるというから
ハッピーなことである。
明日はⅠ部・2部の2回演奏する。
フアンが多くてⅠ部だけでは入りきれない。
演奏家たちは
今夜は近くのフアンの家に泊まるらしい。