ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

白山吹

2013-04-30 21:20:50 | 日記・エッセイ・コラム

庭の霧島つつじが咲き始めた。
万田酵素をたっぷりやったので
炎のように燃え上がる。

渡り廊下の隅の
石楠花もそろそろ咲きだしそうな。
それぞれ
三年前に植えたものがようやく
わが家の庭に馴染んできたようだ。

近所の農婦が
白山吹を一枝とどけてくれた。
さっそく籠に挿し店の入り口に飾る。
山吹といえば
イメージとしては黄色が一般的だが
白山吹は上品で清楚な雰囲気を醸し出している。

夕食にサバを煮る。
味付けは 
白みそ・テンメンジャン・醤油・酒・みりん・砂糖・生姜。
お隣の時計屋さんにもおすそ分け。

 白山吹籠に挿しゐて開館す


浮世床

2013-04-27 15:18:12 | 日記・エッセイ・コラム

新緑の爽やかな風にさそわれて床屋に行く。

あれやこれやよもやま話を聞かされながら
喉元をすべるカミソリに緊張する。
暑くもないのに背筋を汗が流れる。
 (おい、おい、大丈夫かい?)

昔から床屋は地域の情報発信源
良いことも悪いこともその日のうちに広がる。

他人の耳に私がどのように伝えられているか
興味あるところだが
ここでは私は紳士をよそおい
ひたすら聞き役に徹する。

三か月分の髪の毛が
無造作に掃き集められる。
分身として些かの惜別の情をおぼえる。

帰りがけ里山に
花を観に遠回りしたが女主人は留守であった。

 初蝶か窓にひかりの過ぎりしは


夢のまにまに

2013-04-23 16:10:13 | 日記・エッセイ・コラム

日本の高校生の半数以上が
将来の出世を望んでいない。
大きな理由は責任を負いたくないということらしい。

更には将来就きたい職業に公務員志望が多い。
大きな理由は安定が得られるからと。
-------クラーク先生の悲しむ顔が目に浮かんでくる。

私はむかし料理人になりたかった。
中学卒業したら京都に上って日本料理を学びたかった。
だが、思いだけで意志が伴わず実現しなかった。

それからも大工の棟梁になりたいとか
スピードレーサーになりたいとか
吟遊詩人に憧れたり、夢はいくつもあった。

ただ何をするにしても人の上に立たなければ
面白くないと思っていた。
人の後からついていくだけでは
つまらないと思っていたが
結局は人に誇れるようなものは何も得られず
怠惰な日々を過ごしてきた。

もう少し強い意志を持っていたら
私の人生も変わっていただろう。

 山つつぢ口に含みし日の遥か


春愁

2013-04-20 15:12:50 | 日記・エッセイ・コラム

お隣の婆さんが亡くなった。
本人も家族も延命処置を望まず
穏やかに逝ったそうだ。

通夜・告別式の帳場を預かる。
準備については葬儀屋さんがやってくれるが、
組内がすくないので葬儀当日は結構たいへんだ。

周囲から若者が減り、
人が居なくなり
空き家ばかりが増えてくるのは
何んとも寂しいかぎりだ。

「限界集落」・・・
わが地域もひたすら そこに向かっている。

地方の時代という耳触りの良い言葉を
聞かされていたが 
結局は夢でしかなかった。
豊かさは都市に集中するばかり。
そのうえ原発事故による放射能汚染の
風評被害。
取り残された地方は疲弊し 
状況はまるで江戸時代に逆行しているようだ。

万民の為の政治なんて夢のまた夢ということか。

 春寒し彼岸へ向かうひとの影


とおき潮騒

2013-04-12 13:01:30 | 日記・エッセイ・コラム

うつくしい波音に目ざめると 
それはラジオから流れてくるポールモーリアの
ストリングスの世界であった。
 「エーゲ海の真珠」「碧いノクターン」。
青春の日々を物悲しくさせた懐かしい旋律が
うつろな前頭葉に響く。

枕元の時計は午前三時。
ゴディバを一粒口に含みトイレに立つ。
ぶるるっ と冷たい夜気が脊柱管を奔る。

かげろうのように飛び回っていた魂たちも
今はあちらに帰っていく時間。

睡魔に見放され 
しばらくは覚醒の闇をさまようことになる。
人生の孤愁をつくづく身につまされる時間。
入院中 
個室ベッドで散々味わってきた筈のつらさだが・・・・・

9時起床 外は快晴。
すこし風がある。

芽吹いたばかりの木々が風にリズムをとり 
ようやくの春を謳歌している。

かみさんが焼そばを食べたいというので作る。
準備と後始末はかみさん 調理はわたし。
xo醤を使うのがミソ。
わが家では役割分担が整っている。