ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

事実は小説よりも奇なり

2015-05-30 10:53:18 | 日記・エッセイ・コラム
1973年に出版されたSF小説『日本沈没』(小松左京著)が
ベストセラーとして映画にもなった。

当時は比較的気象状態も穏やかで
現実にはあり得ない空想の話として面白く読まれた。

ところが阪神淡路大震災をきっかけに
東日本大震災及び大津波による未象有の災害が
加えてあちこちの火山噴火など
何やらフィクションであるはずの日本沈没が
俄かに現実味を帯びてきた。

広大な宇宙の中のちっぽけな星の一つ。
そこに浮かぶちっぽけな日本列島。

何が起きても不思議ではない不安定な存在。
♪ひょっこり ひょうたん島-----フレーズが口元からこぼれる。

庭のベンチで日向ぼこをしながら 
ぼんやり詩集など読んでいると
足元から蟻が上ってくる。

見ると芝生の上を蟻の列が粛々と何処かへ向かっている。
それら統制のしっかりしていること。

感心しながら
我ら人間の次に世界を統治するのはこいつらに相違ないと思えてくる。

急に寒気を覚え作務衣の裾の蟻を思い切り払い落す。

     
       蟻の列狭い日本どこへ行く

サードプレイス

2015-05-23 12:43:17 | 日記・エッセイ・コラム
サードプレイス。

このごろ時々耳にする言葉。
第三の場と訳すようだが
謂わば座談会のような場。

家庭や職場から解放されて
地位や身分や年齢を超えて自由に意見交換のできる場。

気分転換とストレス解消の場ということだろう。
あらためて言うまでもないが
人はそれぞれサードプレイスを持っている。

ゴルフであったり麻雀であったり飲み会であったり
あるいは趣味の会であったり・・・・

孤独は精神衛生上良くない。
偶にはワイワイ ガヤガヤの中に身を置くことも必要である。

主婦たちの井戸端会議などは
打ってつけのサードプレイスではないだろうか。
他人とのコミニュケーションを深め 
独りじゃないという気持ちが涵養される。

私は酒もスポーツもダメなので
詩や俳句などの文芸クラブをサードプレイスにしている。

大切なもの

2015-05-18 11:27:15 | 日記・エッセイ・コラム
 バカヤローのひと言で殺される。
 スキだよのひと言で愛が生れる。
 アリガトウのひと言で心豊かになれる。

ことばには言霊があり
吐いたことばどおりに人生は進んでいく。

今日5月18日は「ことばの日」。

単一言語の単一民族の日本人は
単一であるがゆえに沈黙を美徳とする傾向があり
「俺の目を見ろ 何にも言うな」
「男は黙ってサッポロビール」
というような風潮が尊ばれてきた。

世界一複雑で美しい日本語を
私たちは粗末にしてはいないだろうか。
殊に戦後の日本語の乱れはいちじるしい。

言葉は文化である。
言葉の乱れは文化の崩壊である。
文化の崩壊は人心の荒廃につながる。

小学生の英語教育に力を注ぐようだが
国際力を養うためにも大いに結構なことだ。
しかし日本語の価値観についても
しっかり身につけられるような指導であってほしい。

自信と誇りをもって美しい日本語を駆使しよう。

哀切

2015-05-08 11:21:46 | 日記・エッセイ・コラム
午前3時、
ラジオから流れてくるテレサテンの歌声。

今日5月8日はテレサの命日。
亡くなってからもう20年が経つ。

「空港」「つぐない」「愛人」「別れの予感」などなど
テープが擦り切れるほど繰りかえし繰りかえし聴いたものだ。

♪愛をつぐなえば別れになるけど・・・

詞の一つ一つを自分の身に引寄せては
切なく胸が詰まった。

当時わたしは50歳。
レストランのマスターとして元気であった。

人生や恋愛を語りに毎晩若者たちが集まってきて
生意気にもわたしが指南役として
彼らの話相手になっていた。

♪時の流れに身をまかせ・・・もう20年も経ってしまったか。

テレサの歌声は哀切という言葉がいちばん相応しく 
未だにしみじみと切々と胸に沁みてくる。


     春月や睨みゆるびし鬼瓦