ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

可憐に咲いて

2011-08-31 01:23:34 | 日記・エッセイ・コラム

ロータリークラブの例会に出席した帰り
狐の剃刀に会うため寄り道する。

辺りには早稲がたわわに実り
芙蓉の大輪が揺れ
豊かな秋の匂いを漂わせている。

天は突き抜けて碧く。

期待どおり、狐の剃刀は
山への斜面いちめん静かに咲いていた。
同じ科のヒガンバナのような華麗さはないが
控えめで可憐な花である。
一年前はじめて出会ったときから
ずっとこころに残っている花。

夕食にキーマカレーを作る。
本格的にやるなら山羊肉を使うのだが
それは手に入らない。
豚と牛のひき肉を使う。
これがまあ、なかなか旨く出来て
向かいの農家(かみさんが怪我で入院中)へも届ける。
                                    
 8月30日

     邂逅へいのち絞りて鳴く蝉よ


言葉たち

2011-08-28 11:46:12 | 日記・エッセイ・コラム

陽ざしはすっかり秋めいて
ゆうべは初めて虫の声を聞いた。

ぬるま湯に浸り
でんわでの会話をあれこれ反芻していると
湯屋の外でコオロギが鳴く。
 ちろろ ちろろ ちろろ
未だ鳴き声も弱々しく 音程もしっかりしないが
満月の夜の本番にむけて
これから懸命にリハーサル。

湯音を立てぬよう
しばしコオロギに心を移す。

とある友人に
産みたての詩を送ったところ
「どうしてこんな不気味な作品を・・・」 と
お叱りを受けた。
そう、私の奥には少年期の
記憶の闇が渦巻いていて
そこから言葉たちが外に出たがるのです。
わたしの意思と離れて
陰翳のにおいを引きずってくるのです。

     遠花火尽きし山の端闇深む


コップの中の茶番劇

2011-08-27 00:28:04 | 日記・エッセイ・コラム

初ものの秋刀魚をたべる。

はらわた取りますか?
魚屋の主人が訊いてくる。
やはり放射線を気にしてるのだろうか・・・・

はらわた除いてしまったら秋刀魚じゃない。
とろっとしたこの苦みがいい!
姫たちにはいいところを分けてやる。

民主党の代表選がはじまった。
大物ぶった二人の言行に
民主党がばらばらにされている。
若い議員たちの真っ直ぐな情熱までも汚されている。

実に勿体ない!
ようやく悲願の政権を手に入れたというのに・・・
この先、単独で政権を維持していくのは無理だろう。

   ♪日本の未来は Wow Wow Wow Wow
    世界がうらやむ Yeah Yeah Yeah Yeah♪
モーニング娘の歌など口ずさんだりもして。

     セシウムも苦みの一つ秋刀魚食う


とある小さな感動

2011-08-25 23:13:05 | 日記・エッセイ・コラム

6月に植えた苗がずんずん伸びて
遂にこどもの頭ほどのスイカがなった。
たった一個だけではあるが・・・・・・・感動!

鳥に突かれないうち
明日は食べようかと考えている。
「こんな日陰で西瓜なんて・・・うふふふ」
笑ったひとに食べさせてやりたい。
いや、いや、食べてしまうのも惜しいような・・・・

今時、500円も出せば
もっと大きく甘いスイカが手に入るというのに
たかがスイカごときに何を大げさなことと
思われるかもしれないが
これまで私は草花一本植えたこともないし
雑草一本抜いたこともない。
そのモノグサな私が初めて植えたものが実るなんて
まさに感動ものです!

てのひらで撫でてやる。
ぽこぽこ叩いてやる。
ほんとうに可愛いと思う。
( 健康なら農業もいいなぁ )

来年はもっといい種を選んで
もっと日当たりのよいところに植えてやろう。

     雷が来るぞと仏間暗くなる


叱られて

2011-08-20 18:06:46 | 日記・エッセイ・コラム

ひさしぶりに涼しく
しのぎやすい昼下がり。

初めての床屋で髭など剃ってもらっていると
「こら、マロ、駄目!」
突然、おかみさんの叱る声・・・・・
ぼくは驚いて身を硬くする。
何かそそうでもしてしまったかと
こわごわ薄眼をあける。

なんと、ぼくの足元にダックスフント。
「マロ、向うに行きなさい!」
またもやおかみさんの叱る声。

マロ・・・・・
これはぼくの古くからの愛称。
レストランマロをやっていたころから
いまだに友人たちはぼくをそう呼んでいる。

「言うこと聴かないんだから もう マロ、こらっ!」

 剃刀が冷たく喉に迫ってくる
             
(スミマセン、ゴメンナサイ!)
ぼくは小さく詫びている。

ようやく無事に床屋を出ると
おちこちの空でつくつくほうしが
夏の終わりを惜しんでいる。

     窓に来ていとま乞う蝉ごきげんやう