のっぺらぼう A
呼吸をせず
ぐったりしているわが子を
見下ろしている
のっぺらぼう
十指の爪は
生皮を剥いだように
真っ赤
”ごはんをこぼしたから・・・・”
傍らでは
テレビを前に
のっぺらぼうの男が
缶ビールをあおっている
やかんが音を立てている
ほうたるのもつれもつれつむかう岸
(ちっぽけな虫ですら慈愛の絆を大事にしているというのに)
のっぺらぼう B
手抜き工事がバレて
テレビを前に
国民に詫びているのっぺらぼう
”今後は会社一丸となって・・・”
やったのは
部下だと言わんばかりに
のっぺらぼう C
国民の
コンセンサスを得るより
オバマさんとの
約束が優先と
”国家は国民の生命財産を第一に・・・・”
のっぺらぼうの
同じ唇から
もう何百回も聞かされる
(のっぺらぼうとは顔に眼も鼻も口もない日本の妖怪。
ムジナが化けて人に悪さする。更には人間性の不在を意味する。)