顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

散歩の道すがら

2017年09月09日 | 散歩

アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩)は北米原産、1965年に大阪で帰化を確認され、あっという間に全国へ広まりました。名前の由来は、実が知らない間に盗人のようにこっそり服に付く、または実の形が盗人の忍び足の足跡に似ているという2説があります。

畑の一画に毎年ダリアを栽培している家があります。多種多様な色や形の花が栽培され、花壇ではおなじみの花ですが、これだけまとまると見事です。名前は、スウェーデンの植物学者ダール氏の名前にちなんでつけられたそうです

ショウジョウソウ(猩々草)もほぼ野生化しています。クリスマスの花ポインセチアの仲間です。花の下の苞葉が赤く色づくことから、酒好きで赤い顔の架空の動物、猩々を連想して名づけられました。

花壇の端のオミナエシ(女郎花)、近くの山野では見かけなくなりました。楽しみにしていた高速道の側道のいつもの場所に、今年は発見できませんでした。

祝儀に使われる水引に似ている花、ミズヒキ(水引)はタデ科の小さな花ですが、地味ながら野趣に富んだ魅力があります。

でっかーいカボチャ!重さを競う品評会にでも出すのでしょうか。ゆうに1mはある大きさです。

かたまって出ているきのこ、ハタケシメジ?色が茶色過ぎる?傘の頂点の膨らみがない?クワバラクワバラ、分からないきのこは止めておきましょう。
いつの間にか秋の気配…金木犀の匂う頃になると、きのこのシーズンになりますが、すっかり遠ざかってしまいました。

ふたたびザリガニの威嚇2017

2017年08月25日 | 散歩
熱帯夜の朝、寝苦しくて早く目が覚めてしまい、田んぼの道を歩いていると、小さなアメリカザリガニ、こちらに気が付くとハサミを持ち上げて威嚇し始めました。2年前にも、大きなザリガニに威嚇されて、この拙ブログに載せましたが、こんなにも攻撃的な小さな生き物に感動して再登場してもらいました。

世界でも小さな国と大きな国が威嚇しあって何か滑稽さを感じますが、はずみでブレーキが外れてでもしたらと笑ってばかりではいられません。

やがて威嚇に疲れたのか、老躯の失せた気概に敵意を感じなくなったのか、上り始めた陽の中を立ち去って行きました。
国同士ではこんな幕引きを期待するのは、やはり無理でしょうか。

彼が住んでいたのは、多分ノカンゾウの咲くこの水路、平穏安寧の生活からなぜ新しい冒険の世界に飛び出して行ったのか…、目的地に無事に着けるように見送りました。

散歩道の花 6月

2017年06月04日 | 散歩
アザミ(薊)の種類はいろいろあるようですが、野生で春に咲くのは大体ノアザミ(野薊)で季語も春になりますが、夏薊、秋薊で詠むこともあります。

くもり来しひかりのなかの薊かな  久保田万太郎
背伸びして生きし日もあり夏薊  宮崎カツ子

道端のキイチゴ(黃苺・木苺)が鈴生りです。少年時代の貴重なおやつ、正確には、葉が紅葉のようなので、モミジイチゴ(紅葉苺)といい、ラズベリーなどの仲間です。
ヘビイチゴ(蛇苺)の真っ赤な実は地に這っています。毒ではないようですが、蛇の名が食するのを躊躇させます。
道路に肉厚の白い花が敷かれていました。高いところにエゴノキの釣鐘状の白い花、噛めば「えごい(えぐい)」味がすることから名前が付いたとか、少年時代はすり潰すと泡が出るのでセッケンボンボと呼んでいました。昔はこの果実をすりつぶして川に流して魚を捕る漁法が行われていたといいます。
ウツギ(空木)は、卯の花の匂う垣根に…という「夏は来ぬ」の歌で、卯月に咲くから付いた卯の花の名前の方が一般的です。本名「空木」は、幹や枝の中心に「髄」がなく、空洞になっていることから名付けられました。昔から畑や敷地の境界木として植えられてきました。

押しあうて又卯の花の咲きこぼれ  正岡子規
卯の花や畳2枚の所有権  顎髭仙人

ガマズミ(蒲染)の花、秋には小粒な赤い実をいっぱい付けて、ヨツズミと呼んだ少年時代、霜が降りると甘くなると言って食べましたが、甘かった記憶はありません。赤ワインと同じくらいのポリフェノールを含み、果実酒や漬物の着色料にもするそうです。
寒い冬を耐え忍んで甘い香りの花を咲かせるスイカズラ(忍冬)、花の色は、白(銀)から黄(金)に変化していくので金銀花の別名もあります。花のつけ根の部分の蜜も、少年時代の貴重なスイーツでした。
トキワツユクサ(常磐露草)は、昭和初期に南アメリカから渡来したものが野生化した多年草で、白花ですがムラサキツユクサ属、葉が常緑でツユクサに似ていることからの命名です。可憐な花に似合わず、コンクリートの土留めに凭れて咲く生命力です。

近所で出会う花たち 四月尽

2017年04月25日 | 散歩

ヤマザクラでしょうか、日陰のせいか花はパラパラで見過ごすほどです。種類は分かりませんが、桜とは思えないほど淋しい花です。

もみじの花…紅い小さな花弁の花がびっしり、やがて翼果(よくか)と呼ばれる羽根をつけたような実になり、秋の紅葉が終わる頃、風に飛ばされてヘリコプターのように遠くへ運ばれます。

ブロッコリーのように小さな花が群がって咲くニワトコ(接骨木)は干した葉や、枝を煎じて骨折打撲などの湿布薬にするので 「骨」を「接続」する「木」 という名前になりました。「せっこつぼく」とも言い、「庭床」「庭常」の字をあてることもあります。

浦島草(ウラシマソウ)はサトイモ科、地下にはサトイモに似た大きな球根があり、春になると芽を伸ばします。やがて仏炎苞と呼ばれる黒褐色の苞を開き、先端部が細く糸状に伸びたのを、浦島太郎が釣り糸を垂れている姿に見立てて名が付いたとされています。
同じ仲間でよく似ている蝮草(マムシグサ)は、この釣り竿を持っていません。

珍しい日本タンポポの群落、萼が反り返っておりません。白花も見られます。いまこの辺で見かけるのは、ほとんどが西洋タンポポです。萼が反り返り下を向いている西洋タンポポは、日本タンポポのように受粉をしなくても種子を作る事ができ、しかも遠くまでよく飛んでゆく、繁殖力が強い外来種で、日本タンポポは珍しくなりました。

今年も白雪芥子(シラユキケシ)が道端に…、山地の湿った日陰を好むと図鑑に書いてある通りの環境で咲いていました。

紫鷺苔(ムラサキサギコケ)は、苔のように地面に生えるから名付けられた小さな花、アップで見ると花弁の模様が、「花」という字に見える気がします。鷺のように見えても花だと主張しているようです。

ヒメスミレ(姫菫)は、タチツボスミレとともに住宅近くで目にする種類ですが、紫色がやや濃く、小さいのが特徴です。踏まれても踏まれてもの環境でたくましく生きます。

初秋の散歩道

2016年09月13日 | 散歩

センニンソウ(仙人草)はキンポウゲ科 センニンソウ属、学名:Clematis ternifloraとあるようにクレマチスの仲間です。タネに付く白い毛を仙人に見立てて付いた名前なので、仙人ブログとしては親しみを感じますが、全草が有毒で葉や茎の汁に触れると皮膚炎を惹き起すこともあるそうです。

ニラレバでお馴染みの緑黄野菜、ニラ(韮)の花もよく眺めれば可憐、清楚でとてもあの匂いからは想像できません。ユリ科ネギ属、タネが飛んで来て道端に咲いているので相当な生命力です。最近では、花を食べる品種が物産店で売っており、柔らかく甘い味は仙人の大好物になりました。

ツルボ(蔓穂)はユリ科ツルボ属、公家が参内するとき使う長柄傘をたたんだ形に似ているための名前で、別名で「さんだいがさ(参内傘)」とも呼ばれています。ツルボの仲間は世界におよそ90種があり、シラーの名前で広く栽培されているものもあります。

白くきれいだけど不気味な感じが漂うキノコが顔を出していました。調べて見ると、タマシロオニタケらしい、テングダケ属の強い毒をもつキノコ。間違っても食べる雰囲気ではないけれど、くわばらくわばらです。

厄介と言へば死ぬこと韮の花  藤田湘子
韮咲けばまたその花もくらはんと  山口青邨