よく見かける野草でこの時期一番元気なこの二つは、どちらもシソ科オドリコソウ属、シソ科独特の唇形花 (しんけいか)と呼ばれる咲き方で花の形がよく似ていて間違いますが、葉の色と出方をよく見ると区別できます。
ホトケノザ(仏の座)は薄紫の花で大きさは約2㎝、茎を抱くような葉の出方が、「仏の座」という名の由来になりました。
また、この葉が茎に段々に付くので、「三階草」とも呼ばれます。
春の花に分類されていますが、今では一年中見かけるようになりました。偕楽園公園でも一面に紫色の絨毯になることもあります。
よく間違われていますが、春の七草の「仏の座」は、キク科のコオニタビラコ(小鬼田平子)のことです。
春に出るロゼット葉の形から「仏の座」の名が付きましたが、この標準和名はシソ科の方にとられてしまったようです。
ヒメオドリコソウ(姫踊り子草)は明るい赤紫色で花の大きさは約1㎝、重なった葉の下から顔を出しています。
縁がギザギザの葉は、上の方は赤紫色でその葉の間から小さな花が顔を覗かせています。笠をかぶった踊り子の姿から付いた名前ですが、小さすぎてよくわかりません。
一方、こちらが本家のオドリコソウです。
本家のオドリコソウは、花の大きさが3.5cmくらいあるので、笠をかぶった踊り子が並んで手を打っている感じがよりはっきりします。
俳句では、新年の季語としてキク科の仏の座(田平子)が主ですが、シソ科の仏の座も春の季語として出てきているようです。同じように、歳時記には夏の季語の踊子草しか載っていませんが、姫踊子草の句もネットでは春の季語として見かけるようになりました。
児の声の届く辺に摘む仏の座 磯貝ひろし
たびらこの花に憩ひて古戦場 北田桃代
むらさきを地に低くして仏の座 笹木弘
散りゆくも踊るさまなり踊り花 石井青歩
摘みし手に踊子草をおどらせて 稲畑汀子
幾重もの御衣越しの姫踊子草 顎鬚仙人
なお先日、河原で菜の花を摘んでいて目にした花ですが、一回り大きくても感じが似ていましたので携帯で撮って調べたら、カキドオシ(垣通し)でした。同じシソ科の唇形花です。
垣根を通り抜けて蔓状の茎が勢いよく伸びるのが名の由来、また小児の癇の薬草にするのでカントリソウ(癇取り草)などの名前でも知られています。
これからは身の回りにいろんな花が見られる季節ですが、大国の狂気の指導者に蹂躙されている国の春はまだ遠く、考えると痛ましくてなりません。