梅の花で有名な偕楽園は,水戸藩9代藩主徳川斉昭公が開設して今年で180年になります。
今の時期は、来園者も少なく緑に覆われた園内は普段と違った顔を見せてくれます。涼しそうな写真を選んでみました。
好文亭3階の楽寿楼から東方向を見ると、芝生の見晴らし広場と千波湖、遠方に水戸市街が広がります。丸い緑の塊りは、手前がツツジ、奥の薄い緑色は萩の群生です。
南西方面に視線を移すと、偕楽園公園に流れ込む桜川と沢渡川、水戸の名に因
むこの沖積層と、偕楽園のある洪積層台地は標高で約20mの差があります。
偕楽園の開園当初からの入り口「表門」から入ると、鬱蒼とした竹林、大杉森を通って好文亭に至る、斉昭公が演出した「陰と陽の世界」を体感できます。
杉林の中の道は陽射しが遮られた涼しい一画です。
大杉森の下を覆う一面のクマザサ、街中と思えない自然がそのまま残っています。林の中の杉の木は約900本、その3分の1が幹回り1m以上の大木です。
林の中に咲くヤブミョウガ(藪茗荷)の花です。
園内の萩は、花が終わると根元から刈り取られ、この芝垣(萩垣)に使われます。高級な垣根の材料がここでは現地調達で手に入ります。
左には開園当初に京都の嵯峨、八幡(男山)から取り寄せたと記録に残る孟宗竹の竹林が広がります。
杉林の地下の湧水を集め落差を利用して寒水石の井筒から湧き出る「吐玉泉」は、開園から180年間、玉のような水を吐き続けています。後ろの杉は、樹齢800年の「太郎杉」です。
吐玉泉ばかりでなく、偕楽園のある台地の中腹からは湧水が多く湧き出し、水のある庭園を造りあげています。
中門をくぐると好文亭の入り口と広い梅林が見えてきます。
好文亭の茶室へ向かう静寂な空間です。
好文亭の奥御殿は藩主夫人とお付きのご女中衆のお休みどころで、花の名のついた部屋が10室あります。今回は開け放たれた「桜の間」をご紹介、この部屋はご女中衆の詰め所で、戦後再建時に芸大の田中青坪教授によって襖絵が描かれました。
偕楽園の崖下を走る常磐線の特急「ひたち」、水戸-東京間を約75分で結んでいます。
暑さも峠を越してきました。秋の気配が濃厚になる来月には、園内の見晴らし広場の萩の花も咲き始め、「萩まつり」が9月3日(土)から25日(日)まで開催されます。(昨年の写真です)