近辺の野山で見かけるヤマハギ(山萩)はマメ科の落葉低木です。秋の七草に選ばれているのは万葉の時代から自生するこの萩といわれています。
落葉低木の萩は、自生種や園芸種で十数種が日本にはあるそうです。木本といっても、茎は木質化して固くなるが年々太くはならず、根元から新しい芽が毎年出るので、草本との区別が付けにくいかもしれません。(写真は筑紫萩です)
よく見かける小さな花の雑草、近寄って見ると萩の花に似ているヌスビトハギ(盗人萩)、マメ科ヌスビトハギ属の多年草です。おもしろい名は、上記写真にあるマメ科独特の実(サヤ)の形が、抜き足差し足で歩く盗人の爪先だけの足跡に似ているという説が有力です。
この実はいわゆる「引っ付きむし」で、実の表面に密生したかぎ状の毛があり、衣服や動物の毛などに付いて、種子を遠くまで運ばせ繁殖する仕組みになっています。
最近増えてきたのが、このアレチヌスビトハギ(荒地盗人萩)で、マメ科シバハギ属の多年草、繁殖力が強く従来の生態系を壊す恐れがあるため、環境省の「生態系被害防止外来種リスト」にも掲載されています。同じ「ひっつきむし」で、在来種のヌスビトハギとの違いは花が少し大きく、豆のサヤの数が3~6個になります。
番外編では、盆の頃に咲くミソハギ(禊萩)はミソハギ科でマメ科ではありません。萩に似た花で禊に使ったことからの命名です。
「荒地」の名が付く外来種をもう一つ、葛の大きな葉に負けずに繁茂しているのはアレチウリ(荒地瓜)、これも「生態系被害防止外来種リスト」にも載っている厄介植物です。
ノコンギク(野紺菊)?この近辺では自生が見られなくなったと聞きますので、多分栽培種の野性化かもしれません。舌状花の上で見張っているのはハナグモ(花蜘蛛)です。花に潜んで飛来する昆虫を捕食する羨ましい住環境の蜘蛛です。
面白い名のキツネノマゴ(狐の孫)、花穂が狐の尻尾に似ている、花が狐の顔に似ているとか名の由来は不明ですが、孫のようにかわいいというのは頷ける小さな花です。
キバナアキギリ(黄花秋桐)は、名の通り「秋に咲く桐の花に似た黄色い花」…シソ科の花です。
さて、???大きな葉の陰から臆病そうな目が覗いていました。
歴史館の蓮の花が実になっていたのです。蓮の名は花托の形を蜂の巣に見立て、「蜂巣ハチス」→「ハス」となったともいわれています。
まだ最後の花を咲かせて頑張っている一群もありました。6月に咲き始めた長い花期もやっと終わりです。
ツユクサ(露草)も6月~9月の長い花期、夏のイメージが強いですがちょうど今の時期(中秋9月)の季語です。
露草のまはりの暮色后陵 長谷川双魚
露草を摘めば零るる夜べの雨 稲畑汀子
露草の瑠璃をとばしぬ鎌試し 吉岡禅寺洞
露草や未練に晴るゝ野辺の霧 石塚友二