梅で知られる偕楽園は、広さ12.7haで標高差約20mの水戸台地上にありますが、周辺の沖積層の水辺を含めた緑地は、偕楽園公園とよばれ約300haの面積があります。
その中でも紅葉の名所として近年知られてきた「もみじ谷」は、水戸台地が浸食されて出来た谷に植えられたもみじが大きくなり、この時期に訪れる人も多くなっています。
今年訪れたのは11月25日、去年も例年より遅かった紅葉ですが今年はさらに遅れていました。
まだ十分に色付いていません。
少し緑が混じっている紅葉が好きだという人もいますが…。
因みにこの場所の昨年と一昨年の紅葉写真を載せてみました。
去年の2023年11月27日撮影
一昨年の2022年11月14日撮影
さて一般的にはモミジより少し早めに黄葉するイチョウは、茨城県立歴史館の銀杏並木が名所として知られています。
昭和49年(1974)に当時の岩上二郎知事が、文書館と博物館の二つの機能を備えた歴史館として開館した当時は、全国的に注目を集めました。
開館より50年、古文書や行政文書から、考古や歴史、美術工芸など56万点以上の資料を収蔵しており、今年は節目の年としていろんな記念展示が行われています。
ここには昭和45年(1970)まで、茨城県立水戸農業高等学校があり、その旧校舎本館も復元されています(写真右)。
また構内には明治14年(1881)に建てられた旧水海道小学校本館が水海道市(現常総市)から移設されています。
水海道町民有志が寄付5000余円を集め、建てたのは地元の宮大工羽田甚蔵で、横浜の外国人居留地に通って図面を書いたといわれています。女優の羽田美智子さんの高祖父になることがNHKファミリーヒストリーで紹介されたことがありました。
ところで銀杏の葉にはシキミ酸という防虫効果のある成分が含まれ、古文書などに銀杏の葉が挟まれているのが見つかるそうです。また、なかなか腐らずに残るため踏んだ足を滑らせたり、腐葉土には向かないなどともいわれています。
水戸城の堀の役目と偕楽園の借景として池の役目を果たした千波湖は、当時の大きさの三分の一くらいになっていますが、一周3Kmの湖畔の歩道は、ウオーキングやランニングの方々でいつも賑わっています。
水戸城の南北東は水堀で守られていましたが、陸続きだった西側には5段の堀があり、その一番外側の堀跡は西の谷緑地として整備されています。深い堀の上はすぐに繁華街という立地で、茨城県で唯一のデパート「京成」のビルが紅葉の上に見えます。
この紅葉の遅れる原因は地球温暖化による気温の関係の他に、夏の高温で紅葉する前に葉が枯れたり散ってしまったり、また紅葉の一番の誘因である朝晩の冷え込みが弱くなり、きれいな色付きにならないともいわれています。
1週間前に気候変動に関する最大の国際会議COP29が閉幕しましたが、なかなか意見の一致が難しかったらしく、またアメリカの次期大統領は離脱の素振りさえ見せています。モミジの紅葉くらいならいいのですが、世界中で起きている干ばつによる飢餓や海に沈む島嶼国など命に係わる切実な問題を、地球で生きてゆくものの責任として大国こそ先頭に立って取り組むべきではないでしょうか。