顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

初冬の大洗…夏の賑わい嘘のよう

2022年12月07日 | 日記

大洗マリンタワーは昭和63(1988)開業の高さ60mの展望台で、総鏡張りの塔に雲が映り、まるで空と一体になったように見えます。最上階が展望室、その下には喫茶室があります。

タワー下の公園の植生はいわゆる海浜植物が多く見かけられます。

巨峰のような実のシャリンバイ(車輪梅)、食用にはならないようですが奄美大島の「大島紬」はこの樹皮で染めるそうです。


トベラ(扉)の紅い実は、鳥もあまり食べないそうですがその粘着力で鳥にくっつき種子を運んでもらうという話もあります。


イソギク(磯菊)は房総半島から静岡の海岸線や伊豆諸島などに自生する野性の菊で、黄色い筒状花だけの素朴な姿は花の少ないこの時期には貴重です。


海岸線に多いのは、やはり日本原産のヤブツバキ(藪椿)で、海沿いの自生北限地は青森県の夏泊半島までとされています。


ツワブキ(石蕗)は、海岸の岩場や崖などに自生する蕗の仲間でツヤのある葉、というのが命名の由来といわれています。


この辺では道路の生け垣に見かけるアベリナがまだ咲いています。常緑低木で手間のかからない丈夫な性質のため公共施設の植生によく使われています。


大洗港からは苫小牧港まで、約20時間で結ぶフェリー「さんふらわあ」が1日2便(日曜除く)往復しています。


第4ふ頭にある磯節踊り子の像、「磯で~♪名所は~大洗様よ♫ ハアサイショネ」という磯節は、日本三大民謡のひとつともいわれています。
左側がフェリーターミナルのトラックステーションで北海道ナンバーの大型トラックがずらりと並んでいます。


湊の先端の公園には北村西望作の「平和の女神像」が海を向いて建っていました。


高級なクルーザーも泊っている大洗マリ-ナ、この沖はカジキマグロ釣りのメッカとして知られ、今年の夏には全国で初めて世界大会も開催されました。
仙人もこの沖で、30年位前に仲間の船でシイラを上げさせてもらったことがありました。


大洗サンビーチ海水浴場のいま…、広い砂浜も7000台の駐車場も人影はまばらです。


足跡もない海辺には貝殻だけ、夏の喧騒がまるで嘘のようです、「誰もいなぁい海~♫」のメロディがよぎりました。


ちょうど苫小牧港からのフェリー「さんふらわあ」が入港してきました。

間もなく訪れる2023年、ウクライナやコロナなどなど、まだまだ解決できそうにもありませんが、少しでも明るい光が見えるといいのですが…。

皇帝ダリア…今年は長生きしてます! 

2022年12月02日 | 季節の花

畑に借りている隣地の隅に植えた皇帝ダリアは、丈が高く風をまともに受けるため、台風で倒れることが多いのですが、今年は被害もなく無事に天寿を全うしそうな感じです。
「青天を衝く」という大河ドラマのタイトルのような咲き方で近年人気が高く、あちこちで目にするようになりました。ダリア属の多年草、学名Dahlia Imperialis、英名Tree Imperialisをそのまま訳して皇帝ダリア、木立ダリアとも呼ばれます。

今年は4mをはるかに超えました。この高さのために、台風除けの支柱設置は難しく、花芽のつく前の8月中に数回切り戻しして丈を低くする作業をしなければなりませんが、無精して1回だけでした。

短日植物のため、昼間の時間が短くなる9月頃に花芽を付け始めます。我が家では咲き始めが11月10日頃、上記の写真は11月14日撮影です。

原産地は中南米で、サッカーで名前が浸透したコスタリカやメキシコなど平均気温が20℃以上の地域のため、強霜が降りると一晩で花と葉が黒くなり無残な姿をさらします。この地方では例年12月10日過ぎなので、間もなく花の一生を終わることでしょう。
残った株から春には芽が出ますが、土壌が凍結する地方では、地下部の塊根は腐ってしまうそうです。

直径25cm以上もある花の色、なぜか見かけるのはこの色ばかりです。花のない時期なので赤系があってもいいかなと思いますが。

果たしてこれが草本?竹のような中が空洞の幹は直径が8センチ以上あります。ゴミに出すにも1mくらいに切ったものを5、6本束ねるので、結構手間がかかります。
この茎を10cmくらいに切ったものを、水苔を敷いた箱に並べて室内に置いて発芽させ苗を作ったことがありましたが、最近では大きくなりすぎるので、広い庭でもないと敬遠されているような気もします。

俳句では冬の季語として確立されてないせいか、ネット上では他の季語で詠んでいる句が多いようです。間もなく歳時記に採用されるのではないかと思いますが。

皇帝ダリア無傷に深き冬の天    西山美枝子       
仰ぎ見る皇帝ダリアといふ高さ   今井春生
皇帝を冠するダリア霜の朝  顎鬚仙人


そして12月15日、大陸からの寒波が列島を襲った霜の朝、約1か月冬空を飾った花は終焉を迎えました。