マウンド上には、野間口貴彦(シダックス)。先日(11月17日)2004プロ野球ドラフト会議で、読売ジャイアンツが自由枠で獲得した選手だ。此処は大阪ドーム。社会人日本選手権の8日目準決勝、第1試合「シダックス(東京)vs大阪ガス(大阪)」。大阪ガスの先発は、これも地元・阪神タイガース、自由枠獲得選手、左腕・能見篤史。TG戦、プロ野球で対決することを約束された、両者の前哨戦だ。
【1回表】大阪ガスの攻撃。野間口の第1球目は内角にスライダー(128㎞)がボール。バッターは1番、左打席にベテラン・俣瀬直樹(指名打者)。2球目は外角にシュート(132㎞)が外れて、2ボール。3球目はストレート(141㎞)これが内角を抉って、ボール3。4球目もストレート(141㎞)これも内角を抉るが、外れる。四球。ストレートのフォアボールでノーアウト一塁。準決勝の大一番、野間口の緊張感が伝わってくる。
2番・溝下進崇(ライト)は送りバントの構えから、内角ストレート(141㎞)を見送って、ストライク。2球目もバントの構えから、内角に食い込んでくる、シュート(123㎞)を見送って、2ストライク。追い込まれる。3球目もバントの構えで、3バントを試みるが、野間口の速球(144㎞)を打ち上げて、ピッチャーフライ。これぞ野間口の真骨頂か。ストレートのフォアボールの後、4球続けてストライクで、バントの構えのバッターを料理。この辺が非凡なところ。最後の球は力があった。バッターのバントの構えにも問題があったが……。
3番・岩本達也(ショート)には144㎞のストレートでファウル。ようやく、エンジンが掛かってきたようだ。2球目も144㎞のストレート、これをライトに打った岩本だが、ライトフライ。ヒット性の当たりで、一塁ランナーが飛び出していて、戻れずにアウト、ダブルプレー。一気に3アウトチェンジ。1塁ランナー、1塁コーチャー、そしてダッグアウトの監督、3者の落胆を映して、大阪ガスの攻撃は終わる。立ち上がり「不安」を見せた野間口だが、立ち直りは早かった。
【1回裏】シダックスの攻撃。能見の初球は外角ストレート(140㎞)ストライク。細身(180cm、79kg)の体で上から投げ下ろす。2球目も外角ストレート(142㎞)これが低めに決まって、1番(ショート)藤沢英雄が首を捻って、ふう~と溜息。3球目も外角低めストレート(142㎞)これは低い。4球目は初めてスライダー(126㎞)を投じて、ファウル。5球目は外角高めのストレート(141㎞)でファウル。6球目にスライダー(123㎞)を打たせて、ファーストゴロ。
初球は内角にストレート(136㎞)で仰け反らせる。左打席の中村真人(センター)は思わず、睨みつけるが、マウンド上の能見は動じず。度胸も「一級品」か。2球目も果敢に内角ストレート(142㎞)で抉り、中村も待っていたかのように、打ち返して、ファウル。男の世界……これも野球の醍醐味、だ。3球目も内角ストレート(141㎞)これを打ち上げて、バックネット前に飛球。キャッチャーが捕球して、2アウト。首を捻りながら引き揚げる中村。完全に振り遅れていた。
3番バッターへの初球は一転、112㎞のカーヴ。外れて、ボール。右打席に佐藤二郎(セカンド)。この試合の重要な鍵を握る選手になるのだが……2球目のストレート(139㎞)を打ち上げて、ショートフライ。佐藤は打った瞬間「あっ」。真ん中のストレートを捉えて、「しめた」と思ったはずだが、詰まらされて、内野フライ。能見の球に(思った以上に)伸びがあるということか……赤いユニフォーム軍団の苦戦を予感させる。
【2回表】大阪ガスの攻撃。初球ストライクの後、2球目スライダー(116㎞)ボール。バッターは4番、澤多弘也。3球目もスライダー(125㎞)。「ボール」。微妙な判定。首を傾げる野間口。マウンド上で「およっ」という表情。露骨に不満を表す。4球目はキャッチャーのサインに首を振り、投げ込んだ球は渾身のストレート(142㎞)。しかし、これをバッターも読んでいた。真ん中のストレートをジャストミート! 打球はセンターへ。しかし球威に押されて、平凡なセンターフライに終わる。
5番、牧野光将は初球を打って、ファーストフライ。これも初球のストレート(139㎞)を狙っていた。大阪ガスの狙いは明らか。野間口のストレートを狙え、だ。しかし球威に押されて、ポップフライの連続。ここがジャイアンツの自由枠・野間口の非凡なところ。大阪ガスの作戦は不発に終わるか?
6番・小野和隆には初球スライダー(126㎞)ストライク。2球目は145㎞のストレート、外角一杯に決まる。3球目はフォーク(130㎞)。これはワンバウンド。4球目はストレート(142㎞)、これで見逃し三振。野間口、上々の立ち上がり。付け入る隙を与えず。このピッチングをされたら、プロの打者でも苦しむだろう。
【2回裏】シダックスの攻撃。一方、能見。4番オレステス・キンデランに初球ボールの後、2球目140㎞のストレートで空振り。3球目もストレート勝負! 139㎞でファウル。前に飛ばない。球威で押している。4球目のストレートは(142㎞)は高く上ずり、2-2。5球目もストレート(136㎞)でファウル。これも前に飛ばない。最後はスライダー(126㎞)。打ち上げて、ファーストフライ。完全にタイミングを狂わされていた。キューバの主砲を打ち取った、見事なピッチングだ。
続くアントニオ・パチェコに初球スライダー(131㎞)ボール。2球目も同じくボール(125㎞)。3球目は一転ストレート(142㎞)、これも外れて、「0-3」。4球目も142㎞でファウル。5球目も渾身のストレート(139㎞)、これを弾き返して、しかしセカンド・ライナー! いい当たりだった。セカンドの好守に阻まれた。回転レシーヴでキャッチ。
6番・入江崇宏の初球はストレート(136㎞)ストライク。3番の中村同様、左打者の胸元を突く、思い切りの良さ。2球目はワンバウンド(130㎞)。3球目も胸元に142㎞。4球目(141㎞)も胸元でファウル。5球目は外角に141㎞。これを振って、三振。左打者が能見を攻略するのは至難か? 左腕・能見の快調なピッチングも続く。
【中篇】に続く……
(2004年12月2日/HP掲載)
【1回表】大阪ガスの攻撃。野間口の第1球目は内角にスライダー(128㎞)がボール。バッターは1番、左打席にベテラン・俣瀬直樹(指名打者)。2球目は外角にシュート(132㎞)が外れて、2ボール。3球目はストレート(141㎞)これが内角を抉って、ボール3。4球目もストレート(141㎞)これも内角を抉るが、外れる。四球。ストレートのフォアボールでノーアウト一塁。準決勝の大一番、野間口の緊張感が伝わってくる。
2番・溝下進崇(ライト)は送りバントの構えから、内角ストレート(141㎞)を見送って、ストライク。2球目もバントの構えから、内角に食い込んでくる、シュート(123㎞)を見送って、2ストライク。追い込まれる。3球目もバントの構えで、3バントを試みるが、野間口の速球(144㎞)を打ち上げて、ピッチャーフライ。これぞ野間口の真骨頂か。ストレートのフォアボールの後、4球続けてストライクで、バントの構えのバッターを料理。この辺が非凡なところ。最後の球は力があった。バッターのバントの構えにも問題があったが……。
3番・岩本達也(ショート)には144㎞のストレートでファウル。ようやく、エンジンが掛かってきたようだ。2球目も144㎞のストレート、これをライトに打った岩本だが、ライトフライ。ヒット性の当たりで、一塁ランナーが飛び出していて、戻れずにアウト、ダブルプレー。一気に3アウトチェンジ。1塁ランナー、1塁コーチャー、そしてダッグアウトの監督、3者の落胆を映して、大阪ガスの攻撃は終わる。立ち上がり「不安」を見せた野間口だが、立ち直りは早かった。
【1回裏】シダックスの攻撃。能見の初球は外角ストレート(140㎞)ストライク。細身(180cm、79kg)の体で上から投げ下ろす。2球目も外角ストレート(142㎞)これが低めに決まって、1番(ショート)藤沢英雄が首を捻って、ふう~と溜息。3球目も外角低めストレート(142㎞)これは低い。4球目は初めてスライダー(126㎞)を投じて、ファウル。5球目は外角高めのストレート(141㎞)でファウル。6球目にスライダー(123㎞)を打たせて、ファーストゴロ。
初球は内角にストレート(136㎞)で仰け反らせる。左打席の中村真人(センター)は思わず、睨みつけるが、マウンド上の能見は動じず。度胸も「一級品」か。2球目も果敢に内角ストレート(142㎞)で抉り、中村も待っていたかのように、打ち返して、ファウル。男の世界……これも野球の醍醐味、だ。3球目も内角ストレート(141㎞)これを打ち上げて、バックネット前に飛球。キャッチャーが捕球して、2アウト。首を捻りながら引き揚げる中村。完全に振り遅れていた。
3番バッターへの初球は一転、112㎞のカーヴ。外れて、ボール。右打席に佐藤二郎(セカンド)。この試合の重要な鍵を握る選手になるのだが……2球目のストレート(139㎞)を打ち上げて、ショートフライ。佐藤は打った瞬間「あっ」。真ん中のストレートを捉えて、「しめた」と思ったはずだが、詰まらされて、内野フライ。能見の球に(思った以上に)伸びがあるということか……赤いユニフォーム軍団の苦戦を予感させる。
【2回表】大阪ガスの攻撃。初球ストライクの後、2球目スライダー(116㎞)ボール。バッターは4番、澤多弘也。3球目もスライダー(125㎞)。「ボール」。微妙な判定。首を傾げる野間口。マウンド上で「およっ」という表情。露骨に不満を表す。4球目はキャッチャーのサインに首を振り、投げ込んだ球は渾身のストレート(142㎞)。しかし、これをバッターも読んでいた。真ん中のストレートをジャストミート! 打球はセンターへ。しかし球威に押されて、平凡なセンターフライに終わる。
5番、牧野光将は初球を打って、ファーストフライ。これも初球のストレート(139㎞)を狙っていた。大阪ガスの狙いは明らか。野間口のストレートを狙え、だ。しかし球威に押されて、ポップフライの連続。ここがジャイアンツの自由枠・野間口の非凡なところ。大阪ガスの作戦は不発に終わるか?
6番・小野和隆には初球スライダー(126㎞)ストライク。2球目は145㎞のストレート、外角一杯に決まる。3球目はフォーク(130㎞)。これはワンバウンド。4球目はストレート(142㎞)、これで見逃し三振。野間口、上々の立ち上がり。付け入る隙を与えず。このピッチングをされたら、プロの打者でも苦しむだろう。
【2回裏】シダックスの攻撃。一方、能見。4番オレステス・キンデランに初球ボールの後、2球目140㎞のストレートで空振り。3球目もストレート勝負! 139㎞でファウル。前に飛ばない。球威で押している。4球目のストレートは(142㎞)は高く上ずり、2-2。5球目もストレート(136㎞)でファウル。これも前に飛ばない。最後はスライダー(126㎞)。打ち上げて、ファーストフライ。完全にタイミングを狂わされていた。キューバの主砲を打ち取った、見事なピッチングだ。
続くアントニオ・パチェコに初球スライダー(131㎞)ボール。2球目も同じくボール(125㎞)。3球目は一転ストレート(142㎞)、これも外れて、「0-3」。4球目も142㎞でファウル。5球目も渾身のストレート(139㎞)、これを弾き返して、しかしセカンド・ライナー! いい当たりだった。セカンドの好守に阻まれた。回転レシーヴでキャッチ。
6番・入江崇宏の初球はストレート(136㎞)ストライク。3番の中村同様、左打者の胸元を突く、思い切りの良さ。2球目はワンバウンド(130㎞)。3球目も胸元に142㎞。4球目(141㎞)も胸元でファウル。5球目は外角に141㎞。これを振って、三振。左打者が能見を攻略するのは至難か? 左腕・能見の快調なピッチングも続く。
【中篇】に続く……
(2004年12月2日/HP掲載)