野球少年は夢を見る…MLB篇

Major League Series 2022

野茂「200勝」の勲章(15日・トロピカーナフィールド)

2005-06-17 23:02:14 | Tampa-Bay Rays
 ミルウォーキー・ブリュワーズの1番ブラディー・クラークにリードオフ(先頭打者)ホームランを食らって、野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)。日米通算「200勝」達成に早くも暗雲が垂れ込める。此処は「HOME」トロピカーナ・フィールド。「HOME」との相性は「いい」。メジャーリーグ「1000本安打」を前日に達成した、イチロー(シアトル・マリナーズ)も「HOME」セーフコ・フィールドに帰ってきた第1打席で、ライトフェンス直撃のシングルヒット! イチローに続けるか、野茂?

【2回表】も先頭の5番ビル・ホールをショートゴロに打ち取ったものの、ショート・ストップ、名手フリオ・ルーゴが後逸(記録は内野安打)。6番「元阪神タイガースの主砲」セシル・フィルダー氏の息子、プリンス・フィルダーと初対決。高めに浮いたスプリッター(78MPH)を叩かれ、ライト線を切り裂くダブル(2塁打)! これが実はフィルダー息子のメジャーリーグ初ヒット。野茂はまたしても、大物にメジャー初ヒットを献上した。しかも日本野球と縁の深い選手に……。

 この後、内野ゴロの間に1点を追加され、「0対2」。【2回裏】8番初めてコンビを組む(若い)キャッチャー、ケヴィン・キャッシュのソロ・ホームランで「1対2」に迫り、【3回表】は1番クラークをセンターフライ。2番リッキー・ウィークスをスプリッター(81MPH)で空振り三振に取り、3番ライル・オーヴァーベイをピッチャーゴロに打ち取り、3アウト。【4回表】も4番カルロス・リーを(ボテボテの)サードゴロ。5番のホールを(今度も)ショートゴロ。ショートストップ、ルーゴが今度は強いゴロを捌いて、2アウト。6番フィルダーの息子も、84MPHの速球(?)で詰まらせて、ファースト・ファウル・フライに打ち取る。

【4回裏】9番アレックス・ゴンザレスのライト線を破る、タイムリー・ダブル(2塁打)で「2対2」同点に追いつき、1塁側ダッグアウトで右肩にグラウンドコートをかけた野茂も、思わず立ち上がって……そのまま座った。【5回裏】にも2アウト2塁で、5番トラヴィス・リーのセカンドゴロを、相手セカンドのウィークスがエラーして、「3対2」1点勝ち越し。この時点で野茂に「勝利投手」の権利が発生した。

 そして試練の【6回表】のマウンド。先頭の1番クラークが(小癪な)ドラッグバントを決めて、ノーアウト1塁。2番【5回表】にエラーした「張本人」ウィークスに、ストレートの四球で歩かせて、ノーアウト1,2塁。3番のオーヴァーベイにも「0-1」にした2球目。渾身のファストボール(87MPH)を叩かれ、強烈なライナー! しかしセカンド正面に飛び、1塁ランナーが戻れず、ダブルプレー! しかし4番リーもストレートの四球で歩かせて、ここでルー・ピネラ監督、登場。観衆(8,801人)からはブーイング。しかし一言だけ告げて、ダッグアウトに消えた老将。野茂はその信頼に応え、5番ホールをセンターフライに打ち取り、危機を脱出。

【7回表】は先頭のフィルダーの息子を「87MPH」で詰まらせて、サード・ファウルフライ。7番ダミアン・ミラーもファースト・ファウルフライ。8番クリス・マグルーダーもレフトフライに打ち取って、難なく、7イニングスを投げ終えた。まだ球数「83」。完投ペースだったが、この回で降板。ブルペンに信頼が出来ないだけに、「不安」だったが……【7回裏】に味方が2点を追加して、「5対2」。【9回表】を守護神ダニス・バイエスが案の定、1点を失ったものの、そのまま逃げ切って、「5対3」。野茂に「200勝」の勲章が授けられた。

 試合後、地元タンパの熱烈な観客の声援に迎えられ、頭を掻きながら、ダッグアウトから出てきた「HERO」。日本のNHK主催のインタヴューに応えていた野茂。インタヴューアーは興奮して「秘訣は?」等と訊いてきたが、野茂は至ってクール(冷静)。最後に右手を挙げて、最後まで残ってくれた観客の声援に応えていた野茂。今日はこの人たちの為に戦った。そして、チームメイトと共に戦った。それが、野茂英雄。それが「200勝」達成の秘訣、だ。