活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

資生堂の企業資料館で

2011-11-17 12:42:13 | 活版印刷のふるさと紀行
 資生堂といいますと、あの前田美波里が青空バックに砂浜に水着で
寝そべっているBEAUTY CAKEの中村 誠さんデザインのポスターを思い
浮かべてしまう中年以降の方は多いと思います。
1960年代の半ばだったでしょうか。もちろん、私もその一人です。

 私たち神田川大曲塾の見学は「企業資料館」から始まりました。
創業120周年の1992年につくられたといい、4階建てで、3~4階に
は創業以来の製品と宣伝広告物などの資生堂の企業文化の資産がどっさり
収蔵されているそうです。

 見学の対象は1階の時代とともに歩んだ企業文化のアーカイブといいます
か、創業からの資生堂の歩みがわかる展示です。
学芸員アシストの柏倉さんという女性が時代を追って丁寧に解説してくださ
いました。私はたまたま生まれた年にギフトとして使われたモダンな女性を
配したウチワに惹かれました。

 しかし、展示の圧巻はなんといっても2階の「デザイン史パネル」や
「ポスター広告の変遷」のコーナーでした。写真はタイポグラフィー処理
だけの初期の広告ですが、空白を生かしたデザインの美しさは当時の広告
表現で他社の追随を許さないものでありました。おそらくアール・ヌーボー
を基調にして新進気鋭の「意匠部デザイナー」が女性美の訴えかけを懸命に
した作品でありましょう。

 いままで、自動車や造船のようなおおがかりな展示をしている企業資料館を
たくさん観て来ました。資生堂の場合たまたま製品が小さいという展示の上での
利点はありますが、このように創業から140年の各時代を明快に切り取った
資料館はぜひ多くの人に日本の文化史、日本のデザイン史として見てもらい
たいものです。頂いたパンフレットに「美と知の資料館」とありました。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする