活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

銀座パレードの日に

2012-08-20 11:46:30 | 活版印刷のふるさと紀行

 こんな人、人の銀座を見たことがない、長年、銀座のオフィスに通っていたのに、こんなに群衆で埋まった銀座通りに出会ったのははじめて。きょうはロンドンオリンピックのメダリストパレード当日です。いったい、どこからこんなに大勢の人が、いったいオリンピックがそれほどのものかなどと悪態をつきたくなるほど身動きとれない状況がお昼までつづきました。

 沿道の人数は50万といわれていましたが、おそらくテレビの実況放送でパレードを見ている人は何千万を数えるでしょう。オリンピックの競技そのものも連夜、ロンドンからライブ中継され何百万、何千万の人が眠い目をこすりながら日本選手を応援したはずです。現代の電波メディアの持つ威力をまざまざと見せつけられた2週間でした。

 実はいま、日本で1900年代早々、大正から昭和にかけて次々に出現した創刊雑誌と印刷のことを調べている最中です。そのなかには大日本雄弁会講談社の創刊から50万部でスタートし、増刷して62万部を売り切ったという『キング』をはじめ、『主婦の友』など多くの読者を獲得して雑誌メディアにミリオンセラー時代を到来させた雑誌が少なからずあります。当然、それに伴って印刷業界も設備増設に走らねばなりませんでしたし、印刷技術も飛躍的に伸びました。

 それから100年、現代の出版界・印刷界はどうでしょう。ロンドンオリンピックを新聞はともかく、雑誌で「もういちど」という人がどれだけいるでしょうか。メダリストパレードに人は吸い寄せられても、雑誌メディアに読者が殺到することは考えられません。銀座パレードの日に、あらためて落日の雑誌メディアと印刷について考えさせられてしまいました。

 

 

 

 

 

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