活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

韓国の金属活字

2014-04-27 11:59:18 | 活版印刷のふるさと紀行

 きのう印刷博物館で「朝鮮金属活字文化の誕生展」というミニ企画展が始まりました。韓国清州古印刷博物館との姉妹提携10周年を記念しての開催ですが、記念講演会、シンポジュウムのご招待を受けましたので参加させていただいてきました。

 清州古印刷博物館には5,6年前、神田川大曲塾の海外研修でお邪魔して韓国での金属活字のあゆみ、世界で金属活字を使った印刷物で最古といわれる『直指』について学習させていただいてこのブログでも紹介した経緯があります。

 最初は清州博物館の学芸研究室長 黄正夏さんの「高麗時代の金属活字と『白雲和尚抄録仏祖直指心体要節』と題する講演でした。この『』の中が上の『直指』の正式な書名だと思ってください。黄さんは韓国で見つかった751年ごろの木版印刷の『無垢淨光大陀羅尼経』の話から高麗時代に絶頂期を迎えた韓国の印刷史から1377年7月に青州の興徳寺で金属活字で印刷された『直指』に話を進め高麗時代の金属活字についてじっくり話してくださいました。

 とにかく、ドイツのグーテンベルクの『42行聖書』が1455年ごろ、中国の金属活字の印刷が1490年頃とされているので、韓国の『直指』の1377年は金属活字を使った印刷物の中で現存する最古というわけです。ところがこの『直指』の現物は残念ながら韓国にはありません。19世紀末に駐韓フランス代理公使だったコーリン・ド・プランシーが持ち去り、1952年からは、フランス国立図書館で保管されているのです。また、2001年にユネスコの世界記録遺産に登録されています。なお、印刷博物館の企画展は7月4日(金)までです。

 

 

 

 

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