活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

嘉瑞(かずい)工房をご存じですか

2011-05-23 11:40:05 | 活版印刷のふるさと紀行
 神田川大曲塾の吉田可重さんと二人で新宿の嘉瑞工房を訪ねて来ました。
用件は大曲塾研究会への出講の依頼ですが、そのことは、さておいて、
あなたは嘉瑞工房をご存知でしょうか。そして、井上嘉瑞(よしみつ)の
名前をお聞きになったことがあるでしょうか。

 面食らわないでください。前回までの幕末・明治から、話はいきなり
「昭和初期」に飛んでしまいましたが、まあ、お聞きください。
 
 井上嘉瑞という人は印刷人ではありません。日本郵船に長く勤務した海運人
です。しかし、子どもの時からの活字マニアで、ロンドン勤務時代に趣味の
個人印刷所ともいうべき「嘉瑞工房」をつくりました。戦前の話です。

 ロンドンから帰国後、原宿で続けられた個人印刷所嘉瑞工房に井上に心酔して
入所したのが、写真の高岡重蔵さん、嘉瑞工房の2代目社長、現相談役です。
 戦中・戦後を通じて60年余、井上氏の遺志を継ぎ、井上氏を凌駕して、いまや
90歳にして矍鑠として欧文タイポグラフィの泰斗として活躍しておられるのは
日本の印刷界の誇りだと、私たちは思っております。

 そして、この嘉瑞工房の3代目が現社長の高岡昌生さんです。父、重蔵氏と
同じように英国王立芸術協会フェローで、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン
学科で講師をつとめておられ、欧文活字と組版の権威です。

 長い金属欧文活字の時代とともに歩まれた高岡重蔵さんとコンピュタ組版主流
の渦中におられる昌生さん父子をお招きして、美しい欧文活字と私たちがぜひ
知っておきたい欧文組版のルールやマナーについて教えていただこうという
のを大曲塾研究会のテーマに考えたわけです。 この件、次回につづく。








コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ウィリアム・ガンフルと日本 | トップ | 日本人がやってしまうおかし... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

活版印刷のふるさと紀行」カテゴリの最新記事