中央公論新社さん、文庫化はまだですか?
以前図書館で読んだ新井素子さんの単行本。
もう一度ゆっくり読み返したくて、今回はちゃんと借りて来ました。
新井素子 著
『銀婚式物語』(中央公論新社)
新井 素子
中央公論新社
発売日:2011-10-22
1986年に文庫本が発売された『結婚物語』、その2年後1988年に文庫本が発売された『新婚物語』の続編。
結婚から25年後、「銀婚式」を迎えた主人公夫婦を描いています♪
だから続編が出るのに25年もかかったのか~
作者の新井素子さんも、まったく同じ時期に結婚されているので、まさに実体験がもとになっている小説。(脚色はされています☆)
新井素子ファンはもうあきらめていますが、他の小説だったら続編が25年後に出るなんて考えられないよね(苦笑)
実生活が反映されているので、これまで発表されてきたエッセイとダブるところもあります。
小説というよりも、長いエッセイに近いかも。
結婚する時は「この二人で大丈夫?」という夫婦でしたが(笑)、25年間、時には意見が衝突したり、夫の家事能力の無さに驚いたり、妻が小説家で昼夜逆転の生活だったり、家を建てたり親を看取ったり、病気や仕事のあれやこれやがあって、それなりに人生の上り坂も下り坂も経験してきた二人の物語は、とっても読み応えがあって、エッセイにはない魅力も満載!
どんな夫婦にも、物語ってありますよね~
父親がパーキンソン病と診断され、当時病院には3ヶ月しか入院できないと言われて、母親と共に次の入院先を必死で探した日々。
不妊治療のために基礎体温をつけたり、さまざまな努力をしてみたけれど、ついに自分の中でその夢を「夢」としてしまいこむことに決めた時…
25年という歳月は、ドタバタしていた新婚夫婦に様々な変化をもたらしたのと同時に、周りの人々の人生にも変化をもたらします。
月日が経つなかで、去っていってしまった人々。
バブルが崩壊し、痴呆症という言葉が認知されるようになり、どんどん変化していく世間。
そんな社会の荒波の中、ずっと隣にいてくれて、一緒に乗り越えてきたパートナー。
人生って、本当にいろいろですね。
本棚の上に家を建てる?
小説家ってローンが組めない?
一年に二十回階段から落ちる主婦?
梨の皮むきもできない旦那?
やってもやっても終わらない庭掃除?
もちろん25年経っても新井素子の軽妙な文体は健在!!
独自の価値観と常識的な経済観念、ちょっと尋常じゃない趣味と(ぬいぐるみ数千匹! 蔵書はなんと3万冊以上!?)、旦那への愛であふれた一冊♪
早々と太陽光発電を導入した話とか、掃除と料理について、作家の氷室冴子さんと言い合ったエピソードとかもあって面白かったです!(作中では氷室さんの名前は出てきません)
装身具だとか、服装にまったく頓着しない新井素子さん、じゃなかった物語の主人公。
それにしても、エンゲージ・リング…わたしどこやったっけ? はヒドイなぁ(苦笑)
作中で作者も触れていますが、この二人ってとっても運がいい二人だと思う。
17歳から作家として活躍している作者。
経済的には恵まれているとはいえ、作家ならではの苦労もあって、執筆中の異様な集中のしかたは、同じ家に住む家族の協力なしでは成り立たないほど。
そんな中で、25年間、それなりに続いてきたっていうのは、これはもう運がいいというか、幸せなことなんじゃないのかな~
もちろん、お互い欠点もあって、最高の男女じゃないことは確実だけれど。
作者も書いています。
お互いにとっては、という限定条件付きで。
多分、最高の男女(あいて)♪♪
前作の『結婚物語』や『新婚物語』も笑わせてもらいましたが、今回も相変わらず楽しませてくれます。
前作は文庫本で持っているので、この本も早く文庫化してくれないかなぁ~
本棚にサイズを合わせて並べたいんですよね。
お願いしますよ、中央公論新社さん!
あとがきで作者は「次は二十五年後『金婚式物語』で…」なんて書いています。
すっごく楽しみだけれど、すっごく楽しみなんだけれど、そんなに待てるかな(苦笑)