私的図書館

本好き人の365日

今年も一年、ありがとうございました。

2009-12-31 15:33:00 | 本と日常
天ぷらソバのえび天って衣ばっかりでどこまで食べたらエビが出て来るの?

年越しソバを食べました。
今年は雪の大晦日です。

午前中にすき焼の材料と出来合いのお節料理を手に入れ、自分でダシ巻き玉子を焼きました。

年賀状も出したし、それなりに大掃除も終ったし(全部とはいいません)、お正月の食糧と飲み物は確保したし、借金もローンも無くて、どうやら無事に年が越せそうです♪

このHPも今回で七回目の年越しを迎えることができました。

これも今年一年、コメントを寄せて下さった方や、掲示板に書き込みをして下さった方、足跡を残して下さった方々の言葉が励みになったからです。

本当にありがとうございました☆

今年は*(キラキラ)*「ハリー・ポッター」シリーズ全巻を読破したり、生まれて初めて参加した株主総会の待ち時間で、森下典子さんのエッセイ*(キラキラ)*『日日是好日』に出会えたり、ずっと読みたかった天沢退二郎さんの*(キラキラ)*『光車よ、まわれ!』が手に入ったりと、収穫の多い一年でした。

あと、ロイド・アリグザンダーの*(キラキラ)*『ウェストマーク戦記』や、木地雅映子(きじ かえこ)さんの*(キラキラ)*「マイナークラブハウス」シリーズ、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの新作や、パトリシア・A・マキリップの新作文庫本、有川浩さん、湯本香樹実さん、梨木香歩さんの作品も印象に残っています♪

また*(キラキラ)*『宇宙船ビーグル号の冒険』といったSFの古典や、アーサー・C・クラーク、フレドリック・ブラウンの復刊本などが読めたことも楽しかったです。

講演会では解剖学者の養老孟司さんや、脳科学者の茂木健一郎さんにお目にかかれて、そのお話も聴きました☆

金融不安から始まった不景気のおかげで、仕事的にはいろいろあって精神的にも肉体的にも経済的にも大変な一年でしたが、内面的には少しは成長できたかな?

…自分ではわかりませんがそう願いたいです。(楽観論者です♪)

ネットを通じて知り合いになれた皆さんからも、たくさんのことを学ばせていただきました。

本当に感謝しています。

また来年も、よろしくお願い致します。

どうぞ良いお年をお迎え下さい☆



映画「魔女の宅急便」には『魔女の宅急便』という原作があります。

2009-12-30 15:08:00 | 本と日常
テレビのお笑い番組を見ていると「ダイノジ」という漫才コンビが映画「魔女の宅急便」をネタにしていました。

この映画のタイトルの「宅急便」という言葉は、ヤマト運輸が商標登録している言葉だから本当は他の人は使えないんだ。

とした上で、

それに気が付かずに「魔女の宅急便」というタイトルを付けてしまった映画を制作していたスタジオジブリが、改めてヤマト運輸に許可を取りに行った所、クロネコをシンボルマークにしていたヤマト運輸から、映画の中にクロネコを登場させることを条件に、「宅急便」という言葉をタイトルに使う許可を取り付けた…

と雑学っぽく披露。

会場からは「へぇ~」という感心した声が上がっていました。

そんなわけないのに…

映画「魔女の宅急便」には角野栄子さんが書いた、その名もズバリ『魔女の宅急便』という原作があります!

黒ネコのジジだって最初から原作に登場しています!

スタジオジブリが「魔女の宅急便」というタイトルを考え出したわけでも、ヤマト運輸からのごり押しでクロネコを登場させたわけでもありません!!

…もちろん、漫才のネタなんだから、そんなに目くじらを立てることもないのかも知れませんが、『魔女の宅急便』のファンとしてはショックでした。

確かに「宅急便」という言葉はヤマト運輸が商標登録している言葉だし、スタジオジブリが映画化するにあたって許可を取りに行ったというのはありうるでしょう。

でもその他の部分は都市伝説のたぐいです。

それをさも雑学の一つみたいにテレビで放送したら、信じる人がいるかも知れない。

事実、いくつかのブログには「勉強になった」「知らなかった」なんて真に受けているような記述もありました。

みんな、何でも鵜呑みにしちゃダメ。

漫才師自体検証なんてしてないだろうなぁ。

もう! 漫才のネタにするなら、ネットで見かけた内容をそのまましゃべるんじゃなくて、少しは自分で調べろよ~
絶対原作読んでないだろ!(怒)

ネットの中から探した内容をそのまま報告書として提出したり、論文も読書感想文もコピペ(コピー&ペースト)という時代ですが、漫才のネタまで…

何だか、彼らの仕事や芸に対する姿勢を垣間見たような気がしました。

それにしても、原作知られてないんだなぁ~

それも悲しい。



「容疑者Xの献身」

2009-12-29 23:53:00 | 本と日常
東野圭吾、面白いじゃないか…

テレビで放送された映画「容疑者Xの献身」を見ました。

原作は東野圭吾さんの「探偵ガリレオ」シリーズ。

テレビシリーズ化された「ガリレオ」は見ていたんですが、あくまで福山雅治演じる物理学者ガリレオこと湯川学の変わった個性と、マニアックな謎解きと物理学知識が売りのミステリー物かと思っていたら(それも面白かったけれど♪)映画版は人間描写としても面白かった…

ちょっと意外でした。

今回の犯人、石神の気持ちに共感してしまった。

東野圭吾さん、見直しました(エラそうでスミマセン)

これまで謎解きにはあまり興味がなくて、ミステリーは読んでこなかったけれど、こういう作品なら面白そう☆


『ブレーメンⅡ』

2009-12-28 23:58:00 | 本と日常
寒い~

家から見える風景は雪で真っ白です。

南国に別荘も持ってないし、毎月お金を黙ってくれる金持ちの母親もいないので、電気コタツに埋まっています。

お役所は仕事納めだったようですね。

私はアパートの家賃を振り込んで、病院で薬をもらって来ました。

払うものは払ってしまわないと落ち着きませんからね。

コタツに入るとどうしても出たくなくなって、大掃除も年賀状書きもまだやらなくちゃいけないのに、ついついサボッてマンガを読んでいました。

読んでいたのは、川原泉のしゃべって働く動物たちが活躍するSF人情(?)マンガ、

*(キラキラ)*『ブレーメンⅡ 第4巻』*(キラキラ)*(白泉社文庫)

このシリーズもいよいよ最終巻。

人手不足を解消するために人間並みの知能と身体能力を与えられた動物たちを乗せた宇宙船、「ブレーメンⅡ」が宇宙で様々な事件に遭遇します。

「不思議の国のアリス」をモデルにした遊園地を管理するAI(人工知能)が暴走!?

それは管理者であるおじいさんのためだったのですが、アンドロイドのアリスには「おじいさんの死」が理解できません。


「そんな事によく耐えられるな人間は」
「身近な人に二度と会えなくなるのにさ」


同じAI(人工知能)であるアンブレラはアリスに語ります。


「それでも何とか耐えてるよ人間は」
「馬鹿で根性無しで怠け者で恩知らずできみが軽蔑している人間達は大なり小なりそれに耐えている」


こういうところが川原泉の好きなところです♪

働く動物たちは、人間のために働き、無欲で、それでいてとっても真面目。

SFもいいですが、同じ作者の白泉社文庫から出版されている、『美貌の果実』や『笑う大天使』、『空の食欲魔人』『中国の壺』『フロイト1/2』といった作品集もオススメです☆

ワイン農家や、食い意地の張ったパイロットや、脳天気な農業娘や、牛と馬に泣かれる元ホストの農場主や、全然華麗じゃないアイスフィギュア選手や、もう数え出したらキリがないけれど、みんな個性的で忘れられない登場人物がわんさか出て来ます♪

『笑う大天使』の主人公の一人、高校生の女の子は、それまで母親と二人で暮らして来たのに、その母が亡くなってしまい、その通夜の席で生き別れだった兄と対面します。

お兄さんはお金持ち。
いきなりお譲様学校に転入させられて、思いっきり庶民の主人公は猫をかぶってすごすのですが…

自分のお見合いの席にまで、果てはデートまで妹を同席させるお兄さん。

彼は母親の通夜の席で、たった一人、泣くこともできずに呆然としている妹の姿を決して忘れはしませんでした。


「偉かったね史緒さん」


妹の頭に手をポンと置くお兄さん☆


「一緒に暮らすのであれば僕より妹の方を大切にしてくれる人でなければ困ります」
「僕はそーゆー人を望みます」


マンガなのに文字が多いのも特徴です(苦笑)

さあ、明日は大掃除するぞ!




見習い詩人

2009-12-26 23:59:00 | 本と日常
メールの文面を、書いては消し、書いては消し、これだと誤解されるかな? これだと相手の重荷になるかな? なんて、あーでもない、こーでもないとやっているうちに、一日が暮れてしまいました。

言葉って難しい…

考えすぎかな?


業務命令!?

2009-12-25 23:58:00 | 本と日常
近所のコンビニで精算しようと、レジの前に立つと、店員の女の子がサンタの格好をしていました。

不意打ちだったので思わずビクッと身を引いてしまった…

それからお互いそのサンタの格好については何も触れず、普段と同じようにたんたんと精算を済ませましたが、心の中では思っていました。

…頑張れ。

恥ずかしくても仕事だもんね。

十二月の本棚 スペシャル

2009-12-19 22:08:00 | 本棚スペシャル
今年も押しせまってまいりました。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。

昨日から雪が降り続けているので、私は外出もせずに引きこもっています。
引きこもりといっても、誰も料理も掃除も年賀状書きもしてくれないので、掃除をしながらカレーを作りました。
年賀状は毎年自分でデザインするので現在思案中。毎年12月に行っている本棚の整理もしました。今回は新しい本棚も購入して本格的。その中から何冊か紹介したいと思います☆

まずは年末年始の読書用に仕入れた本。

『もつれた蜘蛛の巣』(角川文庫)

これは「赤毛のアン」の作者ルーシー・モード・モンゴメリの一冊。

亡くなったベッキーおばの遺言のせいで、ダーク家とペンハロウ家の人々は大騒ぎ♪
果たして家宝の「水差し」の行方は?

『幽界森娘異聞』(講談社文庫)

こちらは笙野頼子さん。

猫を拾ったかつての文学少女が通りで見かけたのは文豪の娘で故人。
森鷗外の娘、森茉莉を「森娘」と名付けた作者の森茉莉賛歌?
この本を読む前にと森茉莉さんのエッセイ『貧乏サヴァラン』(ちくま文庫)も読みました。

「だいたい贅沢というのは高価なものを持っていることではなくて、贅沢な精神を持っていることである。」(「ほんものの贅沢」)

バスの中でカラオケをしながらおいしいものを食べに行くおばさん連中や、即席ラーメンやどこの店も同じなハンバーグを食い、つまらなくてあくびの出る女と歩いているのは本当の楽しさではないと一刀両断し、「…朝おきて窗(窓)をあけると、なにがうれしいのかわからないがうれしい。歌いたくなる。髪を梳(す)いていると楽しい。卵をゆでると、銀色の渦巻く湯の中で白や、薄い赤褐色の卵がその中で浮き沈みしているのが楽しい。そんな若い女の人がいたら私は祝福する。」(「楽しむ人」)と独自の美意識を展開しています♪

少しは共感できるところもありますが、やっぱり森茉莉ってお嬢様なんですね~
ちょっと鼻に付く感じ?(苦笑)

あとは、ロバート・J・ペトロ著山川紘矢+山川亜希子訳

『秘密の本 新版ホワンの物語』

オビの宣伝文句には「運命を切り開く成功哲学の寓話」とあります。
この本は翻訳者の名前だけで買いました☆

その他、本棚に並んでいる本は…

『また、つかぬことをうかがいますが…』(ハヤカワ文庫)

英国の週刊科学雑誌「ニュー・サイエンティスト」のQ&Aコーナーに寄せられた質問を文庫化した第2弾。
「扇風機の羽根の数はどうやって決まっているの?」とか、「ふけ用シャンプーはどうして効くの?」といった素朴な疑問に科学者もタジタジ?

フランスの作家ラブレーの「ガルガンチュアとパンタグリュエル」の第4回。

『第四の書』

巨人の親子、ガルガンチュアとパンタグリュエルが活躍するブラックジョーク満載の破天荒な物語。

ディズニーで映画化もされた『クリスマス・カロル』の作者ディケンズの、

『ディヴィッド・コパフィールド』(1巻~4巻)
『大いなる遺産』(1巻~2巻)
『二都物語』(1巻~2巻)

こちらも映画化されたベルンハルト・シュリンクの

『朗読者』

幻想の紡ぎ手パトリシア・A・マキリップの短編集。

『ホアズブレスの龍追い人』

日本の作家、重松清さんの作品。

『流星ワゴン』
『ビタミンF』

などなど。

その他、

『大久保町の決闘』田中哲弥
『這いよれ! ニャル子さん』逢空万太
『ミミズクと夜の王』紅玉いづき

…太田忠司さんの『3LDK要塞山崎家』も読みたい。
あと笙野頼子さんの『硝子生命論』も。

ケネス・グレーアムの

『たのしい川べ』

ワイルダーの

『大草原の小さな家』シリーズ(全9冊)

マイケル・ホーイのネズミの時計屋ハーマックスⅠ

『空いっぱいに恋してる』

アーシュラ・K・ル=グィンの

『西のはての年代記』(Ⅰ~Ⅲ)

今年の収穫は角川文庫でモンゴメリの新装版が発売されたことと、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの「クレストマンシー」の新作が読めたこと♪
あとは何といっても角野栄子さんの「魔女の宅急便」の最終巻、

『魔女の宅急便その6 それぞれの旅立ち』☆

これは良かった~

アメリカの作家ロイド・アレグザンダーの作品もいくつか手に入って収穫の多い1年でした。
まだ振り返るには早いか。

今年はあと3日ほど会社に通ったら仕事納めです。

早く年賀状書かなくっちゃ。

『沼地のある森を抜けて』

2009-12-19 10:47:00 | 梨木香歩

私が住んでいる地方でもこの冬はじめての本格的な雪が降りました。

カーテンを開けると一面の銀世界!

雪が降るとテンションが上がります♪

車の運転をなさる方はお気を付け下さい。

最近、ちょっと体調を崩して会社を休んだりしていたのですが、このところ何とか回復して来ています。

何もかもが灰色に見えていた世界も、ちょっと回復しだして食事がおいしく食べられるようになると「別にそこまで深刻に考えることもないな」と、あっけなく色付いて元の世界に戻るのだから人間って現金なものです☆

あ~、ラーメンがおいしい♪

会社を休んでいる間も、復帰した後も、ずっと読んでいたのが梨木香歩さんの小説、

『沼地のある森を抜けて』(新潮文庫)

ぬか床の中から人間が生まれてくる!?

もう読み出したら他の事が手に付かなくて、没頭してしまいました。

曾祖父母が故郷の島を駆け落ちした時に持ち出したという、いわく付きの「ぬか床」

代々の女たちの手で毎日かき混ぜられ、台所でひっそりと引き継がれて来たその「ぬか床」が、母親や叔母の手を巡って、回り回って長女の長女である独身の主人公の元に引き取られます(母親は三姉妹の長女)。

初めは面倒臭がっていた主人公ですが、ちょうど新しいアパートを探す必要があったこともあり、その「ぬか床」を持っていた叔母が住んでいたマンションをもらえると聞いて、交換条件のように引き取ることを承知します。

しかし、その「ぬか床」がただ者じゃなかった。

朝と晩の2回、毎日ぬか床はかき混ぜないといけない。

化学メーカーに勤める主人公は、とりあえずキュウリやナスを漬けてみますが、これがなかなか美味しくて、職場でも好評。

化学メーカー勤務らしく、酵母とか乳酸菌とか微生物といった言葉が出て来ます。

ぬか床に釘などの金属を入れて置くと、ナスのアントシアンと結合して、安定した青紫の塩類を作るそうです。

その他には明礬(みょうばん)なんかを入れたりしますね。

ところが、毎日「ぬか床」の世話をしているうちに、手に何かが触る感触が…

…卵がある。

「ぬか床」が産んだ(?)卵から出て来た不思議な人たちとの奇妙な共同生活!!

梨木香歩さんの作品は好きなので、新作を見つけるたびに読んでしまうのですが、このお話にはのっけからやられました。

代々の女たちが朝に夕に繰り返して来たぬか床をかき混ぜるという行為に、伝えるもの、引き継ぐもの、食べる、命、果ては生命の根源といった意味まで彷彿とさせて、生と死についての物語が読めるようになっています。

物語のほとんどと、間に挿入される「寓話」のような「シマの話」も好きなのですが、主人公が「ぬか床」の故郷の島に渡るラストはちょっと不満足。

書きすぎじゃない?

そこがインパクトがあるのかな?

(あくまで個人的な感想です)

ただ、「ぬか床」に染み付いた女たちの情念とか、いやらしさとか、涙や強さとか、女性って怖いなって思いました(苦笑)

男は物語の中で秘密基地を作ったりしてますからね(いい年をしたおっさんが)☆

原初の地球。
まだ世界にたった一人で孤独を感じていた最初の細胞。

ただ分裂して自分を増やすだけだった彼女が、自分とちょっとだけ違う相手を見つけた時、彼女は、話しかけたようとしたのではないか…

分裂ではない、融合と結合という形で…

常に様々な立場と視点から物事を捉えることの出来る作者らしい「愛」の物語…なのかな?

でもまさか、細菌や酵母の立場から愛を語られるとは思わなかった(苦笑)

うちには代々引き継がれているぬか床なんて無くてホント、幸いでした。

…アレ?
…無い…よね?

そういえば、実家の台所の床下収納、開けたこと無い…

知らないだけだったりして!?


「正しい戦争」

2009-12-11 23:58:00 | 本と日常
先日、北欧ノルウェー王国の首都オスロで行われたノーベル平和賞授賞式。

そのノーベル平和賞を受賞した、アメリカ合衆国大統領、バラク・オバマ氏の受賞演説の翻訳文を読みました。

アメリカの全てが好きというわけではありませんが、こういう演説の出来る大統領を持つことの出来るアメリカという国をうらやましいと思いました。

母親から6年余で11億円の政治資金って…
日本の首相は何やってんだか。

この授賞式の直前にアフガニスタンへの3万人増派を決定したこともあり、平和賞受賞を揶揄する声や、批判があることも知っています。

「正義の戦争」「正当な戦争」という言葉を使ったことも、その言葉だけを聞くと確かに反感を感じます。

ですが、演説全体を読んでみて「現実の中で苦悩する大統領」が見えて来たりして、私個人としては好感が持てました。

それが狙い?

単純だからまんまと乗せられてるだけかも知れません(苦笑)

もちろん、「正当な戦争」なんてないし、それは外交、国家の敗北であり、暴力は人間性の敗北だと思っています。

しかし、戦争は今も続いている。

今回のオバマ大統領の演説は、自分は「戦争と平和」という問題に決定的な解決策を持ってはいないし、私たちが生きている内には戦争という暴力は無くならないだろうと認め、

人間が不完全な存在であり、人間の理性には限界がある、とした上で、

その上で、それでも平和を求めて働くことはできる。
私たちにはそれができます。

と続いていました。

それが人類の進歩の歴史なのであり、世界全ての希望なのだと。

アメリカの教育では、そのものの善悪は置いといて、どちら側であろうといかに論理的に自分の立場を正当化できたかが評価される傾向があるそうです。

日本的な「言ってることはわかるけどさ」などという曖昧さは人気がありません。

あくまで論理が通っているかどうかが重要です。

それでいくと、今回の演説は矛盾を抱えながら、それでも前に進んで行くという、一挙両得、反対の反対は賛成みたいな論法で面白かったです。

弁証法的?

面白がってはいけませんが、「読み物」としては非常に興味深かった。

もちろん、まじめに考えなきゃいけない問題です。
そうは見えないかも知れませんが、これでも当人はいたってまじめに考えています。


『ゲーデルの不完全性定理』

2009-12-08 22:07:00 | 本と日常
喫茶店で面倒くさいお客さんを見ました。

もうかなりの年配の紳士だったのですが、メニューの一つ一つを指しては、アレコレ質問。

若いウエイトレスさんは辛抱強く説明していましたが、あれもダメこれもダメと、なぜかダメ出しして、結局コーヒーを注文。

これで静かになるかと思いきや、コーヒーをソファーにこぼしてまたもや大騒ぎ…

…話し相手がいないのかな?

と思わずよけいなお世話の想像が頭に浮かびました。

コーヒーカップに文句を言って、席を替えろという紳士に、謝るウエイトレスさん。

ちょうど私の席から紳士の正面が見えたので、ウエイトレスさんがいなくなったすきにこれ見よがしに紳士をジロジロ観察しました。

紳士と目があったので、そのままアルカイックスマイル♪

紳士はすぐに目をそらしましたが、落ち着かない様子で、すぐに席を立って、捨て台詞を残して店を出て行ってしまいました。

少なくとも羞恥心は残っていたのか。

注意する勇気がないのでちょっと安心。

相手が若い子ならニラみつけられていたかな?

その喫茶店で読んでいたのは、結城浩さんの、

*(キラキラ)*『数学ガール ゲーデルの不完全性定理』*(キラキラ)*(ソフトバンククリエイティブ)

高校生を主人公に、青春小説の形を借りて数学を楽しく紹介しようとする意欲作『数学ガール』の第3弾なのですが…

こんな高校生いないよ(苦笑)

「ペアノの公理」とか
「数学的帰納法」とか
「ゲーデルの不完全性定理」とかが出て来ます。

Σ(シグマ)とかn′(エヌ・プライム)とか、自然数とか、極限値とか、ラッセルのパラドックスとか、加算の公理とか出て来ます。

難しく聞こえますが、「加算の公理」とは要するに1+1=2というのはどういうことなのか、+(足す)を定義するお話。

哲学を楽しく紹介した『ソフィーの世界』というのがありましたが、それと似たような狙いで、ただし、ストーリー性が弱いので文系には読むのが辛い…

楽しいですけどね☆

例題  正直者は誰?

 A1 「ここに、嘘つきは1人いる」
 A2 「ここに、嘘つきは2人いる」
 A3 「ここに、嘘つきは3人いる」
 A4 「ここに、嘘つきは4人いる」
 A5 「ここに、嘘つきは5人いる」

5人のうち、本当のことを言っているのは一人だけ。

さあ、正直者は誰?

直感じゃなくて、それを論理的に証明するのが数学的思考。

ちなみに、

 0.999…=1

この式が間違って見える人はまだ直感で数学を捉えているんだとか。

ヒント

0.999…≠0.999…9




 いったん発見されれば、
 どんな真理も理解するのは容易である。
 大切なのは、真理を発見することだ。


         ―ガリレオ・ガリレイ―






未来

2009-12-07 23:59:00 | 本と日常
実家の裏山に、私が幼い時に父親と一緒に植えた杉の林があります。

30年以上経ちましたが、まだ切ることはできません。

小さい頃から、あの杉は私の次の世代でちょうどいいと、父親から聞かされてきました。

その話をする時の父親は、なぜかとても楽しそうで,
下草を刈ったり、枝打をしたり、結構大変なはずなのに、もくもくと世話をしていました。

私はというと、そういう労働が嫌で、ろくに手伝いもしませんでした。

今になって、ふとその杉林のことが頭に浮かぶことがあります。

この30年、自分としてはけっこう色々なことがあったように思うけれど、あの杉の木に比べたら、まだまだだなぁって。

学生だった私。
社会人になった私。
人を好きになった私。
落ち込んだり、悩んだりしていた私。

どんな私になろうと、杉の木からしたらあんまり関係ないよな~、って。

こんな思い出話のように書くと誤解されるかも知れませんが、父親は今も元気です☆

定年を迎え、実家で田んぼや畑、果樹園なんかを作っています。

裏山の杉林の枝打ちも終りました。

私は相変わらずあまり役には立っていません(苦笑)



2009年の年間ベストセラー

2009-12-04 20:50:00 | 本と日常
書籍の取次ぎなどを行う会社、トーハンが、2009年度の年間ベストセラーを発表しました。



1位 『1Q84(1)』、『1Q84(2)』 村上春樹 (新潮社)



2位 『読めそうで読めない間違いやすい漢字 』 出口宗和 (二見書房)



3位 『ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人 大冒険プレイヤーズガイド』 Vジャンプ編集部 (集英社)



3位のゲーム攻略本は置いといて、2位はやっぱり漢字の読めなかった、あの日本の元首相の影響かな?(苦笑)

テレビでもクイズ番組が盛んで、漢字検定の人気もウナギのぼり。

漢字検定を行っている財団法人「日本漢字能力検定協会」の元理事親子が背任の容疑で逮捕されるという事件もありました。

5位には日本語教師、海野凪子さんとイラストライター蛇蔵さんのマンガエッセイ

『日本人の知らない日本語』

これは面白かった!

けれど、そんなに売れていたとは!

驚きです。

第2弾の発売も予定されているそうなので、発売されたら読もうと思っています。

そして今年は何と言っても1位 に輝いた村上春樹さんの『1Q84』

1、2巻合わせた累計発行部数は223万部。

文芸作品が1位になるのはランキングを取り始めた1990年以来、初めてのことだそうです。

う~ん、『1Q84』は確かに魅力があったけれど、100年後も読み継がれる物語かな?

あんまりマスコミが騒ぐので、何となく流れに乗りたくない自分がいる…

なんて言いながら、万一続編が出たら、気になって読むと思いますけどね☆

村上春樹さんは短編が好きなので、今度の新作は短編にして欲しいなぁ。

昨年文芸部門のトップに輝いた東野圭吾さんは、『新参者』で文芸部門第4位。

健闘したのが『告白』で文芸部門第2位に入った、湊(みなと)かなえさん。

ゴメンナサイ。
湊かなえさんの作品、読んだことありません。

あとは芥川賞などの受賞作品がベスト10に入っていました。

トーハンのベストセラーなので、どこまで読者の好みが反映されているのかは怪しいところですが、個人的な感想としては、やっぱりちょっと寂しい感じ。

ダイエット本や悩み解決本など、小説家以外のいわゆる専門家の人の書いた本が売れているみたいです。

みんな迷っているのはわかるけれど、小説は人生のヒントにはならないかな?

私は年末年始の読書用に、モンゴメリの

*(キラキラ)*『もつれた蜘蛛の巣』*(キラキラ)*

と、笙野頼子さんの

*(キラキラ)*『幽界森娘異聞 』*(キラキラ)*

を注文しました。

届くのが楽しみ♪