私的図書館

本好き人の365日

『銀のロマンティック…わはは』

2010-02-28 19:04:00 | 本と日常
昨日、2月27日に南米チリで起きた大地震。

日本にも津波が押し寄せて来たりして、各地に津波警報や注意報が発令されたので、避難された方も多いのではないでしょうか。

太平洋を横断して来るなんて自然の力ってスゴイなぁ~

震源地のチリでの被害も大きいみたいですね。

先週はバンクーバー冬季オリンピックで日本の浅田真央選手がフィギュアスケートで銀メダルを獲ったり、個人的にも確定申告を済ませたりと忙しい一週間でした。

オリンピックはもちろんTVの前での応援が忙しかったのです。

フィギュアスケートで思い出すのが、川原泉のマンガ、

*(キラキラ)*『銀のロマンティック…わはは』*(キラキラ)*(白泉社文庫『甲子園の空に笑え!』収録)

という作品。

名作です!

天才バレエダンサーの娘と元スピードスケートの選手がフィギュアスケートでペアを組んで銀盤の上に躍り出る♪

女子が男子を持ち上げ(リフト)たり、クワドラプル(四回転ジャンプ)のきっかけを飼い犬に教えてもらったり(笑)

技術点は高いものの、芸術点というやつが二人には足りない…

手足をブンブン振り回す二人に「情緒」とは何かをコーチは説明します。



「氷の上のリリカルマジック!!」「叙情性の魔法、観る者の共感を呼び、魅了し、そして感動の嵐、貴方と私の魂の共鳴、氷上の奇蹟、…それを私は銀のロマンティックと呼んでいるのだ!!



恥ずかしい。
とてつもなく恥ずかしいぞ、「芸術」っていうやつは。

題名に『…わはは』と付けるところが何とも川原泉らしいところ。

芸術点を狙うには常識がありすぎるため、二人が選んだ道は、クワドラプル(四回転ジャンプ)!

しかし、その前には大きな障害が…

いたるところで笑えるのに最後はちょっとジーンときて泣いてしまう、そんなお話になっています。

真央ちゃんだって3回転半なのに、4回転って無茶だよなぁ~

このマンガ大好き♪






梅の咲く頃

2010-02-25 23:58:00 | 本と日常
アパートの敷地の中に小さな梅の木があって、毎朝何気なく観察しながら出勤しているのですが、今のところまだ花は咲いていません。

ここ何日か春のように暖かい陽気だったので、

そろそろかな…

と期待してはいたのですが、やはり標高の高い山に囲まれていると春の訪れも遅いようです。

山の雪も残ってるしなぁ。




『日本人の知らない日本語 2』

2010-02-20 19:49:00 | 本と日常
イラストライター蛇蔵さんと、日本語教師をなさっている海野凪子さんのコミックエッセイ、

*(キラキラ)*『日本人の知らない日本語 2』*(キラキラ)*(メディアファクトリー)

を読みました♪

今回は『2』ということですが、前作が大好評だったこともあり、田舎の本屋さんにも平積みで置いてありました☆

日本語学校で外国人に日本語を教える凪子先生。

今日も生徒たちの斬新で自由な発想の質問に立ち向かって行きます!!

「スッパ抜くのスッパって何ですか」

「先生 ピンク映画って何ですか」
(日本では”そういう”色っぽい映画のことをピンク映画といいますが、アメリカではブルーフィルムといって青、中国では黄色電影といって黄色、スペインでは緑で表現するそうです☆)

カッコイイフランス人の男の子はアニメオタク。

怪談話に免疫のない中国人。

ゴージャスな韓国人姉弟は門松のかわりにクリスマスツリーを飾る(苦笑)

相変わらずパワフルな外国の人々の言動や、常識や習慣が違うことによって生まれるすれ違いは読んでいてとっても面白いのですが、今回は日本語についての真面目な解説ページが多くて、前作よりはパワーダウン。

読みたいのはそこじゃないって~

凪子先生、きっと真面目な方なんでしょうね。

国により太陽を絵に描く時の色が違ったり(赤で書く国は少数派)、「パピプペポ」という半濁音を考えたのが日本にやって来たポルトガルの宣教師だったということも初めて知りました。

タイトル通り、日本語のことなのに日本人でも知らないことがまだまだたくさんありますね♪

あぁ、面白かった☆

ちなみに「スッパ抜く」のスッパとは、戦国時代に大名が情報収集などのために使っていた忍者(透破または素破)のことだそうです。

彼らが情報をすばやく手に入れる様から「スッパ抜く」というようになったとか。

現代の日本にまだ武士や忍者がいると信じている時代劇マニアのスウェーデン人女性。

凪子先生が辛抱強く現代に忍者はいなことを説明したりします。

日本ってどんなイメージ!?







今年の目標

2010-02-18 23:59:00 | 本と日常
一月に今年の目標を決めました。

2010年は「体のメンテナンスをしっかりする」

具体的にはお風呂にちゃんと入る!

いえ、去年までお風呂にちゃんと入っていなかったわけじゃありませんよ。

ちゃんとの意味は、「ちゃんとお湯を張ったお風呂に入る」

今まではお風呂といってもほとんどシャワーで、たまに湯船につかってもカラスの行水という有様だったので、今年からはちゃんと毎日お湯につかって、本でも読みながら汗をかくまでしっかり体を温めるようにしています☆

同世代の同僚と「若い子にはついていけない」とぼやく齢になりましたからね(苦笑)

何ていうのか、若さが疲れる。

しっかりお湯につかると心なしか体の疲れが取れるような気がします。

今年は風邪も引いていないし。

その他に忙しくてついつい手を抜いてしまいがちだった朝食も、簡単なものですがちゃんと食べることを心がけるようになりました。

といってもご飯とおみそ汁というシンプルな物。

これだけのことが今まではなかなかできなかった。

白菜と油揚げを買っておくと何かと便利なので(おみそ汁に入れても炒めてもいい)最近は買い置きしています。

油揚げは冷凍して保存。(本上まなみさんのエッセイ『はじめての麦わら帽子』に載っていたので♪)

体のメンテナンスに食事は重要ですよね。

何か当たり前のことしかやっていませんが、これが今年の目標です。


『幸福な質問』

2010-02-13 23:10:00 | 本と日常
2月14日はバレンタインデーですね。

本屋さんで、おーなり由子さんの絵本、

*(キラキラ)*『幸福な質問』*(キラキラ)*(新潮社)

を衝動買いしてしまいました。

幸せって、嬉しくて思わず泣きたくなってしまうような幸せもあるんですね☆

恋人たちが交わす質問の数々。
「ねえ、もしも…」

「私がネコになってたら」
「言葉をしゃべる女の子の木になってたら」

「あなたどうする?」

絵本なのでそこそこのお値段がしたのですが、心が動いたら買うしかありません♪

立ち読みした森見登美彦さんの『宵山万華鏡』『恋文の技術』も面白かったのですが、こちらは文庫本待ち☆

買うか買わないかは直感と感性で決めているので、どちらがどうというわけではないのですが、とにかく買うしかない本と出会ってしまったらそれは買うしかないのです(苦笑)

食事の時、ベッドの中で、何気なく交わされる恋人たちの質問。

幸せすぎて泣きたくなりました。

「ぼくがきみに
 もう少しおなかをひっこめて
 きれい好きになってほしいって
 頼んだら?」

(笑)

「じゃあね
 明日 一日で
 世界が なくなって
 しまうんだとしたら?」

さて、恋人たちは何と答えるでしょう?






スーパーで恋に落ちる

2010-02-08 22:34:00 | 本と日常
スーパーで見かけた女性にひと目惚れしました♪

…いいじゃん、いい歳した男だってひと目惚れくらいするよ。

何も若者だけの特権じゃないぞ。

レジですぐ前に並んでいた女性なのですが、買い物の合計がなんと500円!!

食パンとあと数品の買い物だったのですが、その質素だけれどしっかりした買い物の内容に思わず見とれてしまいました。

こういう買い物をする人はしっかり地に足をつけて生活を送っているに違いない!

着ている物も地味だけれどちゃんと手入れされているし、靴も使い込まれたスニーカーだったけれど、清潔で全然汚れていない。

人を見る時に男女関係なく履いている靴をついチェックしてしまうのは私の変なクセです。

そして極めつけは、レジから離れようとした時、通りかかったおばさんに道を譲って立ち止まったのです!

なんて素敵な女性なんだ!
こういう女性好き☆

久しぶりにドキドキしました。

気が付くと何とか声をかけるきっかけを探している自分がいましたが、まさか「あなたの買い物の仕方が好きです」とは言えなくて(私にも常識はあります)、後ろ髪を引かれる思いで別れました。

あ~ぁ、根性なし。




「牛首を掲げて馬肉を売る」

2010-02-07 23:47:00 | 本と日常
今年、2010年は「国民読書年」だそうです。

「活字離れ」「読書離れ」が、言語力、読解力の衰退や精神文明の変質の大きな要因の一つとなりつつある…(「国民読書年に関する決議」より)

として、

政官民協力のもと、国をあげてあらゆる努力を重ねる
…(同上)

らしいです。

子供たちの読書の機会を増やしたり、本と触れ合う環境を整えることは大切だと思いますが、すでに「言語力、読解力の衰退」してしまった大人は大丈夫かな?

国会中継や最近のニュースを見ていると、言葉や文字の力がどんどん弱くなっているように感じてしまいます。

自分の言葉を信じていない人の言葉なんて誰も信用しないよ…

中国の古典『晏子春秋』という書物の中に、こんな話が出て来ます。

その昔、中国の斉という国に霊公という王様がいました。

この王様、婦人を男装させることを好み、宮中の女人に男装をさせたところ、それが国民の間にも広がって風紀が著しく乱れたことがあります。

そこで霊公は宮中以外で男装をすることを法律で禁じますが、違反者は後を絶たず、いっこうに治まる気配がありません。

霊公は晏子(あんし)を呼んで相談すると、晏子はこう言います。

「宮廷の中では男装をススメておいて、宮廷の外で禁止しても、それは牛首を掲げて馬の肉を売るようなものです(見せかけだけでは誰も言うことを聞きません)。どうして宮廷の中でも禁止しないのですか?」

それを聞いた霊公は宮廷の中での男装も禁じ、やがて国民もそれに従うようになったというお話。

このお話から、「牛首を掲げて馬肉を売る」という言葉が、「見かけは立派だが内実が伴わない」という意味で使われるようになったそうで、同じ意味で「羊頭狗肉」という言葉もあります。

自分に甘い人間が、いくら他人に正しいことを言っても通じませんよね。

今の大人たちがどちらなのかは知りませんが、せめて子供たちに恥ずかしくない言動をお願いします。

国会のヤジや記者会見での言い訳はみっともないよ…


医療過疎

2010-02-04 06:54:00 | 本と日常
定期的に病院に通っているのですが(たいした病気じゃありません)、担当のお医者さんが3月いっぱいで病院を辞めることになりました。

辞めるのは私の担当の先生だけじゃなくて、その科の先生のうち3分の1の方が辞めてしまうのだそうです。

以前から赤字経営で問題になっていたので、とうとう来たか…という感じ。

人工透析もできなくなるとのこと。

隣の市でも産婦人科が縮小されて出産できる病院がとうとう無くなり、妊婦さんは遠くの病院まで通わなくてはなりません。

医師不足は深刻ですね。

うちの両親の住む山間部には常駐の医師がいなくて、週に2日だけ診療所に医師が通って来ています。

病院のある町までは車で30分以上かかるし、バスも廃線になってしまったので、移動手段のないお年寄りにとってはそんな診療所でもまさに命綱。

無くならないといいけど。


『とりかえばや物語』

2010-02-01 23:57:00 | 日本人作家

日本の古典って面白い♪

田辺聖子さんの現代語訳が読みやすい、

『とりかえばや物語』「21世紀版少年少女古典文学館」(講談社)

を読みました。

活発な妹は若君として、内気な兄は姫君として育てられる、平安時代末期に書かれた物語☆

幼い兄妹ならこの設定もうなずけますが、この物語のスゴイところは、性別を取り替えたまま二人を成長させ、妹は男として、兄は女として宮中に仕えたり、何と結婚までさせてしまうところ!

いやバレるだろう…

女主人公の結婚相手はもちろん女性。

「あちらは世間知らずのお姫さまだから大丈夫」

ってお母さん!!

重い女性用の着物を脱ぎ捨て、男としてバリバリ仕事をして出世していく女主人公は、当時の女性の願望なのかも知れません。

男装もりりしく才能豊かな妹は、女性たちの憧れの的で、帝にも重宝されて出世して行きます。

イメージはベルバラのオスカル様!

形ばかりとはいえ妻も迎え、世間的にも一人前となって男として自由を謳歌する女主人公ですが、その美しさは隠しようがなく、思わぬことから一人の男に正体を見破られてしまいます。

しかもその男の子供を妊娠してしまう主人公。

『源氏物語』もそうですが、王朝文学で恋愛がからんでくると、日本の古典ってほんとドロドロな展開になりますね~

「少年少女古典文学館」ってなっているけど大丈夫かな?

自分の親友であり、奥さんの愛人(!)でもある男に妊娠させられてしまい、しかも奥さんとその愛人の間の子供をすでに自分の子供として認知しているというすごい展開!

しかも宮中で女東宮(次の天皇候補者)の側に仕えていた女として育てられた引っ込み思案な兄も、女同士と思って相手が気を許したことをいいことに、女東宮を妊娠させてしまうというあやまちをおかしてしまうのです。(引っ込み思案?)

これって昼ドラ!?

身重の姿ではもはや男として生きていくことは出来ず、男に言われるままに身を隠す主人公ですが、果たしてこの一人の男に自分の運命をまかせてしまっていいものかと悩みます。

自分のことは自分で決める。
女にはそんなことも許されないのか…

この女主人公、泣き寝入りするような性格じゃありません!

自分と自分の奥さんの元を行ったり来たりする男を笑顔で送り出しながら「バカな男」と軽蔑し、さっさと捨てる準備をしたりします♪

そして、女として生きている兄と協力し、お互い元の性別に戻って、改めてそれぞれの人生を取り戻して行く…

男ってバカ。

という雰囲気が全編からなんとなく感じられます☆

でも、この物語を読んで思うのは…

女性って強い! そして怖い!!(苦笑)

そのしたたかさといったら、男なんてとてもかないません!

登場する男たちに対する冷静な批評。
そして最後に登場する「理想の男性」。

一夫多妻制だったり、女性の意思をあまり考えていなかったり、現代とは倫理観がかなり違うのでとまどうところもありますが、昔々にこんな物語が書かれていたなんて驚きです。

平安時代には女性が口を開いて「わっはは…」と笑うことも許されていなかったんですね~

この物語を初めて知ったのは高校生の時でしたが、今回の田辺聖子さんの現代語訳を読んで改めてその面白さを再確認しました。

あぁ面白かった♪