私的図書館

本好き人の365日

八月の本棚 5 『さいごの戦い』

2004-08-31 23:54:00 | ナルニア国物語
「ナルニア国物語」の紹介も、いよいよ今回が最終回となりました。

七冊目にあたる、その名もズバリ、『さいごの戦い』のご紹介です☆

今回はオールスター総出演の豪華版!

各巻に登場した人物や動物達が集まっての大盤振る舞い。
最後を飾るのにふさわしいお話となっております。

もちろん、いままでのお話で主人公だった子供たちも、そのほとんどが登場しますが、中でも活躍するのは、学校嫌いの二人組。
ユースチスとジルです☆(くわしくは『銀のいす』を読んでね)

ナルニア国最後の王、チリアン王を助けて大活躍!

とってもたくましく成長してる二人が勇ましいこと♪

お話はというと、今回はなんと偉大なライオン、アスランのニセモノが登場します。
ものいうケモノ達や小人やフォーンといった、アスランを信じて疑わないナルニア国の人々をだまして働かせたり、馬達をこき使って、ものいう木々を切り倒してカロールメン国に売り飛ばしてしまったりとやりたいほうだい。

アスランが最後に現れてから二百年以上たっているナルニアでは、誰もアスランに会ったことはありません。
それをいいことに、アスランの言葉だといって、人々をいいなりにさせ、自分達の都合のいいようにアスランを利用するのです。

そんな詐欺師に、カロールメン国の思惑と手酷い裏切りもからまって、ユースチスとジル、チリアン王達は、現れたカロールメンの軍隊だけでなく、ナルニアの人々までをも敵に回し、戦うことを余儀なくされます。

どんなに苦境に追い込まれても、信じ合う人々。
しかし多勢に無勢、ついにナルニア国の終わりを悟ったチリアン王は、親友の一角獣と、ユースチス、ジルと共に最後の戦いに臨む決意を…

ありえない!

普通のファンタジーではちょっと考えられない結末。
日本人の感覚では、なかなか思いつかないような展開が待っています。

あえて例えるなら、まるでフランダースの犬の最終回を見ているような…

圧巻はやはりアスランです。

なにもかもが終わり、崩れ去った後で見えてくる世界。
影の国に別れを告げ、真実の世界に一歩足を踏み入れた時、この「ナルニア国物語」を包み込む世界観が明らかにされます。


うちがわは、そとがわよりも大きいものだよ…


二ヶ月に渡り紹介してきましたが、ナルニアの魅力を伝えるにはまだまだ言葉が足りません。
拙い文章でかえって誤解を与えたのでは、と後悔してたりもするのですが、少しでも興味を持ってもらえたら幸いです。

ナルニアへの扉は、子供たちだけにしか開けられないけど、物語への扉は、誰の前にも開いています。

必要なのは、想像力と好奇心☆

よろしかったらあなたも、ちょっとのぞいてみませんか?













C・S・ルイス  著
瀬田 貞二  訳
岩波少年文庫

明日は新しい日

2004-08-30 00:26:00 | 日々の出来事
あらあら、なんて生きていくことはやっかいなんだ。

一度裏切られたからって、自分の殻に閉じこもっていたら、いつまでたっても信じることなんてできやしないじゃないか。

なにを信じればいい?

なにも信じなくていい?

わからないけれど、とにかくいえること。
夜中に考えるのはやめたほうがいい。
明日になったら考えよう。
明るい太陽の下で。
光を迎えながら。

今夜は眠る。
おいしい朝食を夢見て。


焼きそばマーボー茄子

2004-08-29 00:17:00 | 日々の出来事
焼きそばが一玉あまっていたので、長ネギと炒めて、別で作ったマーボー茄子と和えてみました。

これが好評♪

わざわざ作ったものじゃなくて、あまったりした惣菜で工夫した料理が美味しかったりすると、二倍お得な感じ☆

食べた時タレが飛ばないように焼きそばをあらかじめ切っておくと食べやすいです。

最近夏バテでへばっていたので、汗をかくほど辛くしていただきました。

でも、今朝は風邪をひいたらしくて、体がだるい…
朝方はめっぽう寒くなってきたのでそのせいかも。
いつの間にか、秋の足音が近づいてきていたんですね*(紅葉)*

八月の本棚 4 『魔術師のおい』

2004-08-29 00:13:00 | ナルニア国物語
先月から紹介している「ナルニア国物語」もいよいよ残り二冊となりました。

今回は、最初から順番に読んできた人にとってはお待ちかね、様々な疑問が解消される謎解き編となっております☆

時は、名探偵として名高いシャーロック・ホームズがまだベーカー街に住んでいた頃のロンドン。いままで登場してきた子供達はまだ生まれていない時代から物語は始まります。

夏休みのある日、ポリーは塀を乗り越えてあらわれた泥だらけの男の子、ディゴリーと知り合いになります。
この女の子と男の子。ポリーとディゴリーが今回の主人公。

そして、毎回気になる不思議な冒険への導き手として使われるアイテム、今回それは「指輪」です☆

不思議な指輪の力で、こことは違う別の世界に投げ出されてしまうポリー。さらに、そんなポリーを助けるために、勇敢にも指輪を手にするディゴリー。

黄色い指輪はあちらの世界へ。
緑色の指輪はこちらの世界へ。

しかしこの時点で二人が出会う世界は、ナルニアではありません。

新たな展開に、初めっから目が離せない!

でも、別の世界に旅立つ道具が指輪だなんて、イギリスっぽくて好きですね☆

物語は、この二人を中心にして、ロンドンと別の世界を行ったり来たり。どうやら世界は、こっちの世界とナルニアの世界以外にも、たくさん、た~くさんあるらしいのです。

すべての世界をつなぐ場所。
《世界と世界のあいだの林》の描写がとっても神秘的♪

第一巻「ライオンと魔女」で、洋服ダンスを通ってナルニアに降り立った子供達が出会う、印象的な一本の街燈。
まるでロンドンの街角に立っているようなこの街燈が、どうしてナルニアの森の中に立っているのかも、今回ついにわかります☆

魔女ははたしてどこから来たのか?
なぜ人間がナルニアの王となったのか?
そしてなにより、あの洋服ダンスの秘密とは?

知りたい知りたいと思っていたことが、次々と明らかになっていく興奮。
そして子供達に課せられる新たな試練。

翼あるものいう馬、天馬に乗って二人が目指すのは、ナルニアのはるかな果て、氷の山々に囲まれた緑の丘にある一本の木。

その木になるリンゴをアスランのもとに届けなくてはなりません。

その実には不思議な力があり、食べたものは不老不死になるといいます。
病気のお母さんがいるディゴリーは、そのリンゴが欲しくて欲しくてたまりません。

(一つぐらい食べても…)

心揺らぐディゴリー。

さらに魔女の言葉が追い討ちをかけます。

誘惑に打ち勝つって本当に難しいですよね。

さあ、この試練を前にディゴリーはどうするのでしょう?

ディゴリーとポリーの様々な体験と冒険。勇気と決断は見所です。

謎解きを各所に散りばめながらも、ストーリーとしての魅力も盛りだくさん。ものいうけもの達はカワイイし、子供達は勇敢だし、なにより偉大なライオン、アスランの存在感はスゴイ☆

毎回違った形で楽しませてくれる「ナルニア国物語」の魅力は尽きません♪

ちなみに、もし不老不死の実があったとしたら、私なら食べます!
たとえ愛する人や友達が年老いて死んでしまったとしても、それにも増して未来の世界が見てみたいって思いが強いから。

もしそんなチャンスがやってきたら、あなたなら、どうします?













C・S・ルイス  著
瀬田 貞二  訳
岩波少年文庫

八月の本棚 3 『馬と少年』

2004-08-28 23:30:00 | ナルニア国物語
さて今回は、「ナルニア国物語」全七巻中、私がもっとも早く読み終えた一冊。

『馬と少年』のご紹介です☆

主人公の少年、シャスタは生まれも定かではない拾われっ子。
貧しい漁師の下でこき使われ、朝から晩まで働かされる毎日。

そんなシャスタと漁師のもとに、カロールメン国の貴族が馬に乗って訪れたことによって、シャスタの運命が動き出します。
…いえ、馬が貴族を乗せてやってきたことにより、と言ったほうがいいのかも。

だってその馬、ブレーはナルニア生まれの「ものいう馬」だったのです☆

このブレー、カロールメンの貴族を乗せて数々の戦場を駆け抜けてきた立派な軍馬だということで、プライドが高くって小生意気。
馬に乗ったことのないシャスタにアレコレと指図して、辛抱強く教えますが、「やれやれ、人間ってなんて不器用なんだ」という態度がみえみえ。

あやうく貴族に売られそうになったシャスタを励まし(そそのかして?)ナルニアに逃げ延びようとする馬と人間。

だけれどカロールメン国とナルニア国の間には、アーケン国という国があり、しかもアーケン国に行くには大きな砂漠を横切らなければならないのです。

さらにさらに、いけ好かないひひジジイと結婚させられそうになった貴族のお姫様が逃げ出してきて、シャスタ一行に合流したり、ライオン(!)に追いかけられたり、はたまた元気いっぱいでいたずら好きの王子様にシャスタが間違われたりと大忙し。

しかもナルニアの女王にふられたカロールメンの王子が、ナルニアに攻め入ろうとしていることを知ってしまった一行は、ナルニアに急を知らせるという使命まで帯びることになってしまいます。

もう読み出したら止まらない。
シャスタがいい。お姫様のアラビスがいい。馬のブレー最高!

はたして軍隊との追いかけっこはどうなるのか?
家出したアラビスの結末は?
ナルニアはカロールメンに勝てるのか?
そしてシャスタの出生の秘密とは?

そうそう、もちろんライオンのアスランだって忘れてはいけません。

ちなみに題名の『馬と少年』の原題は『The Horse and his Boy』。
つまり、『馬と、彼の少年』です☆

どうです、シャスタとブレーの関係、わかってもらえます?





C・S・ルイス  著
瀬田 貞二  訳
岩波少年文庫

2004.08.16.





 八月の名言集より




世界は粥やジャムからできていない。それゆえ、怠け者を気取っていてはならぬ。固い食物も噛まねばならぬ。喉につまってへこたれるか、消化してしまうかどっちかだ。

         ―ゲーテ「格言的」―

心のコンパス

2004-08-23 00:09:00 | 日々の出来事
最近夕立が多くて安心してバイクに乗れやしない。
夜はオリンピックの中継を見ているので寝不足だし。
職場は新工場に引越したばかりで仕事が山積み。

給料日も近いことだし、こんな時は本の買出しに出かけます。

今日は二冊の本が目に留まりました☆

河原れん 著 *(キラキラ)*「バードフライ」*(キラキラ)*

ある日、天使からもらった”心のコンパス”バードフライ。
鳥たちが体の中のコンパスを信じて海を渡っていくように、自分を信じる手助けをしてくれる心のコンパス。

文体が柔らかくって、あせらずゆっくりと素直に自分と向き合いましょうというメッセージが文章から伝わってきます。
そんな本です☆

ダイ・シージエ 著 新島進 訳 *(キラキラ)*「バルザックと小さな中国のお針子」*(キラキラ)*

文化大革命時代の中国。
再教育のため送り込まれた山奥で、禁書となっている西欧の小説に夢中になる主人公とその親友。
仕立屋の美しい娘にバルザックの小説を語り聞かせるが、本によって三人の運命は大きく動いていくことに…

在仏中国人の著者が、自らの体験をもとに綴ったほろ苦い青春小説。
まだパラパラとめくっただけですが、オビの文句が気に入ってしまいました☆

「本を禁じられた日々、恋するあの子に物語を語り聞かせたい」

いいですね~*(ハート3つ)*

新しい本を開く時はいつもドキドキします。
たまに期待を裏切られたりするけれど、読み終わった時のあの気持ちをもう一度味わいたくて、ついついまた手に取ってしまう。

睡眠時間がまたなくなっちゃうんですけどね☆

「俺の後ろに立つんじゃねえ!」

2004-08-18 23:59:00 | 日々の出来事
三十年以上生きてきて、今日ほど、立居振る舞いに気を使ったことはありませんでした。

静かな動作、崩さぬ姿勢、そして神妙な顔つき。

なぜ職場で作業服を着て、場違いに静々としているかというと、それは…
ズボンのお尻が破れているからさ*(ハート3つ)*(なぜハート?)

こんなこと初めて!
TVでは見たことあったけど、まさか自分の身に起こるとは!!
どうすればいい? どうなっちゃうの?
重たい荷物を降ろそうとしゃがんだら、「ビリリィィィー」と布を引き裂くような音が!(イヤ、実際裂けてるんだけどね…)

退社時間まで、あと三時間。
はたして誤魔化しきれるのか?
バレたらいったいどうしよう?

なんて、自分で勝手に盛り上がって、自分だけで勝手に困っていました。…ヤレヤレ。

でも姿勢に気を付けて立ち振舞うと、浴衣を着た時みたいになりますね。(見えないように、見えないように)
もしかして、日本人の美しい姿勢って着物がはだけて見えちゃわないように気を付けているうちに、自然と形になってきたのかも。

と、いうことは、みんなが穴あきズボンをはけば、立居振る舞いが優雅になって、美しい姿勢の人が増える…わけないか、穴あいたズボンはいてるわけだから(笑)

ともかく、なんとか無事に家までたどり着きました。
ズボンは見事に股のところがパックリ!
…バレてないよね?
う~、こんなに緊張したの、久しぶりだ。


『負け犬の遠吠え』

2004-08-16 01:11:00 | 日本人作家
三十歳以上の結婚していない女性を「負け犬」と言うそうです。

「負け犬」にはバツイチの人も、シングルマザーの人も含まれます。
要するに普通の家庭を築いていない人全般が、この分類に属します。

この、結婚していない人=「負け犬」という過激な表現で少し前に話題になった本。酒井順子の『負け犬の遠吠え』を読んでいます。
決して結婚していないことを卑下する内容ではありません。
「負け犬」に愛情を持ちつつも、そのどうしようもない生き方を克明に暴き出している。

「負け犬」はいかにして「負け犬」になったのか?
一人で生きていくことを決意してしまう、その裏に秘められた本音とは?
「負け犬」にならないためにはどうしたらよいか。
または「負け犬」になってしまったらどうしたらよいか。

など、可笑しくもどこか寂しい「負け犬」の実態が、著者の鋭い人間観察とユーモアのある視点で書かれていて、思わずうなずいてしまうことばかり。

確実な道を迷うことなく歩く「勝ち犬」に対し「人生楽しまなくっちゃ」と面白そうな道をついつい選んでしまう「負け犬」。
狙いを定めた男性の前で自分を売り込み、一人では生きていけないようなフリをしたり、弱さを見せたりすることのできる「勝ち犬」に対し、恥ずかしくってとってもそんなことのできない「負け犬」。

かく言う自分も三十を過ぎた立派なオスの「負け犬」なので、この本に出てくる「負け犬」の条件にはかなり覚えのあるものが…

そういや最近、口うるさく「結婚しなさい」と言っていた親や親戚も、妙に言わなくなってきたような気がする。
アレ、そろそろ本気で考えないとヤバイ年代なのかな?

そう思いつつ、「なんとかなるさ」とどこかで高をくくっているのがすでに「負け犬」の条件。

三十五歳を過ぎたら、そう楽観もしていられないんだとか。

決して「勝ち」=「幸せ」ではないところが人生の面白いところ。

晩婚化、少子化の進む中、なかなか面白い本ですよ☆

初盆をむかえました

2004-08-15 00:44:00 | 日々の出来事
祖母の初盆のため、親戚が一堂に会しました。

相変わらず親戚って苦手です。
いまだに顔しかわからない小父さん小母さんがいるし、こっちもいちいち自己紹介しなくちゃいけない。
この土地に移ってから父親で十五代目くらいになるらしくって、両親も把握できないほど付き合いは複雑。

その日も結構な人数が集まったんですが、それにしても五平餅(土地の名物)100本は頼みすぎだよお母さん。

寿司にオードブルが大皿で四皿づつあって、さらに山菜や漬物の皿が並び、トウモロコシに枝豆まで出すと、もうテーブルに載せきれないほど。
その上100本の五平餅なんてとっても食べきれない。

おかげで次の日は朝昼晩と五平餅でした*(汗)*

実はまだ残ってます。
どうすんだろう、これ?


どこまでもつづく緑の絨毯

2004-08-13 23:44:00 | 日々の出来事
長野県は車山高原へ行って来ました☆

FMラジオの公開生放送に参加するためです。
サムシングエルスのライブもあって、楽しんできました♪

ラジオの裏側や、リハーサルするアーティストの様子などがとっても興味深かったです。

スキー場のゲレンデに作られた特設ステージで行われたのですが、抜けるような青空と、緑の山々に囲まれて聴く音楽は、原始的な匂いがして、一味違ったライブの雰囲気がしました。

ただし、あまりの天気のよさに、露出していた腕が見事に真っ赤。
そりゃあ高原で三時間も日差しの下にいれば、日焼けもするわな*(汗)*

日焼けしても黒くならず、ヒリヒリと真っ赤になる体質なもので、お風呂に入っても痛いし、タオルで拭いても痛い!

しばらく長袖ですごすことになりそうです。(ヤレヤレ)

でも車山高原はいいところでした。
牧場もあって、のんびりのどかに時間が流れています。
今度はぜひバイクで訪れたいですね。
風を切って走るには、素晴らしいところです☆


クマがやって来た

2004-08-12 00:23:00 | 日々の出来事
熊がでました。

クマですクマ!
ぬいぐるみでも、着ぐるみでもない本物のクマ!

人に危害は加えなかったそうですが、人家の近くで目撃されたため、有線放送で各家庭に注意が呼びかけられました。

この人家というのが、近所ではないのですが、それほど遠くでもない場所だったので、ちょっとビックリ。
平気で一山二山は越えて移動する熊のことなので油断はできません。

ちなみに有線放送とは、農家や公共施設に設置してある電話型の有線通信機を使った放送のことです。
普通に会話もできるのですが、一日に四回、スピーカーから農作業についての情報や地域の催し物の紹介。各地区の組長さん(ヤクザじゃないよ)からの連絡などが流れてきます。
それぞれの電話を使って、市内の組合員全員に向けての放送もできるようですが、たいてい災害などの時に使われます。

私が子供の頃から、たいていの家では、普通の電話と、この有線放送用の電話が並んで置いてありましたが、他の市町村にもこうしたものはあるんですかね?

とにかく、熊と普通に戦っても勝てそうにないので、注意するにこしたことはありません。
以前は父親が猟銃を持っていたのですが、今は我が家の老犬だけが頼り。

それにしても熊なんて…
久ぶりにビックリしたニュースでした。

八月の本棚 2 『銀のいす』

2004-08-10 02:08:00 | ナルニア国物語
「ナルニア国物語」の中で、私が一番気に入っているお話が、この『銀のいす』です☆

主人公は前回『朝びらき丸東の海へ』で、嫌々ながらナルニア国に来てしまった男の子ユースチス・スクラブ(変わった名前でしょう☆)。

学校でいじめられて泣いていた同級生の女の子、ジル・ポールを慰めてやりたい彼は、誰にも言わないという約束で、彼女にナルニアの話をしてしまいます。

「どうして、そこにいけたの?」
「いける方法はただ ―魔法でだけだ。」

今回も、ナルニアへの扉は、思いもよらない形で二人の前に開かれます。そして、思いがけずたった一人で金色に輝くライオンに出会ったジルは、行方不明になっている王子、ナルニア王カスピアン十世の息子を捜すよう、その金色に輝くライオン、アスランその人から言いつかるのです。

自分の弱さを認めたくなくて苛立ったり、自分の強いところをみせびらかそうとして失敗してしまう、そんな人間味あふれた女の子のジルがとっても魅力的☆

でもやっぱり今回のキャラクターナンバーワンは、子供たちのお供をして、王子探索の旅に出るナルニア国の住人、沼人の”泥足にがえもん”です☆(水かきのある長い手足を持っています)

物事の悪い面のことを考えずにはいられない性格で、しかも必ず口に出さずにはいられない超マイナス思考でお喋りな泥足にがえもん。ところが最悪の結果を常に口にするくせに、やるべきことはやり通す勇敢さは誰にも負けないのだからカッコイイ!

激しい吹雪に襲われながら。
温かくて美味しそうな料理を前にして。
三人は様々な時と場所で、信じること、信じ続けて行動することを試されます。

地下の国で三人を誘惑する魔女。

太陽なんてない。
地上の国なんてない。
すべてはこの地下の国にあるものを手がかりに、想像で作り上げた存在にすぎない。
世界は今その人が見ているとおりのものであって、ナルニアなんて国も、アスランなんてライオンも存在しない。

魔女のたくみな言葉に、つい認めてしまいそうになる三人。

暖かいベットに豪華な料理。
夢を求めて愚かな苦労をするよりも、もっと利口になって現実の世界でいい暮らしをしたらどう?

甘い魔女の言葉に、いったい子供たちはどう反論するのか?

そして行方不明の王子は無事見つかるのか?

ハラハラドキドキの展開の中、魔女との息詰る論戦が今回一番興奮しました。

天国なんてない。神などいない。さあ、現実の快楽を追求し、幸せになろうじゃないか。

信じるということはどういうことなのか。

そのことの意味がおぼろげに伝わってきたような気がして、読んでいてビックリ。

改めて物語の持つ力に感動してしまいました☆

ラスト。ジルをいじめていた同級生達が目にすることになる光景も見物ですよ♪


「あたしにいえることは、心につくりだしたものこそ、じっさいにあるものよりも、はるかに大切なものに思えるということでさ。」


あなたの心の中の大切なものはなんですか?
それをずっと信じてきましたか?

あなたが何かを信じている時、きっとどこかでナルニアへの扉が開いているはずです。

ユースチスやジルと共に、その扉を見つけにいきませんか☆





















C・S・ルイス  著
瀬田 貞二  訳
岩波少年文庫

八月の本棚 はじめて『ナルニア国物語』を読むかたに

2004-08-09 00:09:00 | ナルニア国物語
「ナルニア国物語」は全七冊からなるファンタジー物語です☆

私達の世界とは、どこか違う世界にありながら、どこかしらでつながっている不思議な国ナルニア。
そこでは動物達が言葉をしゃべり、木や水の精が楽器をかなで、ヤギ足のフォーン達が楽しげに踊る、まさにおとぎ話の世界♪

その世界に足を踏み入れた子供たちは、この素晴らしい世界で数々の冒険を体験します。

一冊一冊が、一つのお話になっていて、それだけでも充分楽しめるのですが、七冊全部読み終わると、これがまた一つの大きな物語になっていることに気が付きます。

それはナルニアという国が、この地上でないどこかで生まれ、様々な王たちに治めらた後、さいごの戦いを経て終末へと向かう一つの世界の一大叙事詩。
壮大な歴史物語でもあるということです。

先月の本棚で紹介した三冊は、次のようなお話でした。

『ライオンと魔女』

ロンドンから疎開してきた子供たちが、洋服ダンスの中から、ナルニアの世界に入り込み、偉大なライオン、アスランの助けをかりてナルニアを長き冬から解き放ちます。

『カスピアン王子のつのぶえ』

長き魔女の時代を終わらせ、子供たちがナルニアを治めてより数百年ののち、テルマール人によって失われてしまったナルニアを、王子カスピアンを助けて再び取り戻します。

そして

『朝びらき丸東の海へ』

のちに航海王と呼ばれることになるカスピアンと共に、行方不明の七卿を捜して東の大海原に船を漕ぎ出していく子供たちの冒険が描かれます。

これらの物語のどれもが、子供向けに書かれているのも事実ですが、大人の読者なら、読み進むうちに、この「ナルニア国物語」に隠された、さらに大きなもう一つの物語にも気が付くことでしょう。

それは、すべての物語に登場する偉大なライオン、アスランの物語。

アスランとはいったい何者なのか…

どうぞ、ご自身の目で確かめてください☆

では、今月は後半の四冊の紹介をしていきたいと思います。
不思議な国ナルニアへの冒険と探検の旅。

そうぞ、お付き合い下さいませ☆