スーパー銭湯に行って来ました。
岩風呂、サウナ、ジャグジーといった定番から、緑茶成分入りとか、高酸素風呂とか、蒸気風呂とか、種類がたくさんあって、のんびりゆったりしながら楽しめました♪
郊外の大きな施設で、田舎の温泉とはまた違った雰囲気ですが、アカスリや岩盤浴、マッサージとサービスは充実。
やっぱりたまには体もリフレッシュしないとね。
先日、女優の室井滋さんのネコ好きエッセイを読んでから、特に意識しているわけでもないのに、猫関係の出来事が続いています。
今回は、前から読みたかった谷崎潤一郎の、
『猫と庄造と二人のおんな』(新潮文庫)
を読みました。
この本、やっぱり女優でネコ好き、エッセイも面白い、本上まなみさんが推薦していて、「猫好きのあきれる行動」を如実に表現している小説なんです。
猫の登場する作品で印象深いのは、ハインラインのSF小説『夏への扉』。宮沢賢治の童話『猫の事務所』。佐野洋子さんの絵本『100万回生きたねこ』。ポール・ギャリコの小説『トマシーナ』。大島弓子さんのマンガ『綿の国星』などなど、あげていけばきりがないほどたくさんあります。そうそう、夏目漱石の『我輩は猫である』も有名ですね。
谷崎潤一郎の『猫と庄造と二人のおんな』に登場する猫の名前は「リリー」
まずは庄造の前妻「品子」から、後妻の「福子」に宛てたこんな手紙から始まります。
「…私決して貴方に恨み云うたり泣き言聞かしたりするつもりではないのです。…オホホホホホホ…あの人を返せと云うのではありません。実はもっと下らないもの、つまらないもの、……リリーちゃんがほしいのです」
前妻の品子は頭がよくてしっかり者。でもそこが気に入らない庄造の母にうとまれ、持参金が多くて庄造のいとこにあたる気心の知れた「福子」と、”嫁交換”のために追い出されたといういきさつがあります。
一方、庄造はというと、母親に甘えるクセはいい歳になっても抜けず、のんべんだらりと過ごすのが大好き。母親と福子が嫁を追い出す算段をしているのも、ただ流れに任せて見ているだけ。猫のリリーと”いちゃつき”ながら、二人の世界に逃避してしまっています。
庄造のリリーに対する態度はまさに「猫っかわいがり」
完全に従属状態で、リリーがつれない態度をとると、庄造は何とか自分に興味を持たせようとそれはそれは涙ぐましいご機嫌とりをおこなうのです。
夫婦の寝床にまで入りこんでくるリリーに、初めは一緒になって可愛がっていた新婚の福子も、品子の手紙をきっかけに、リリーと庄造に関係が目につくようになってきます。
「たかが猫ぐらいと気を許していらっしゃったら、その猫にさえ見かえられてしまうのですわ。」
品子の望みをかなえてしまうのはシャクだが、庄造のリリーに対する態度も目に余ってくる…
ついに福子はしぶる庄造をあの手この手で脅し、強引にリリーを手放すことを承知させてしまいます。
福子にも母親にも頭の上がらない庄造。
そしてリリーを手に入れた品子。
手放したものの、やっぱりリリーが忘れられない庄造は、ある日品子の住む町へ…
猫への嫉妬。女同士の確執。
女たちの激しい攻防の中、リリーしか見ていない庄造が、とっても愚かで何となく哀れに見えてしまう。
でも、人間にそこまでさせる、そんな魔力が猫にはあるのかも知れませんね。
現実の世界でも、猫のために犯罪にまで手を染めた、そんな人間が室井滋さんのエッセイの中で紹介されていました。
ある清掃員の女性は、自分の生活も大変なのに、たくさんの野良猫の世話をしていたところ、ついにお金が底をつき、思い余って万引きをしてしまいます。自分だってろくに食事をしていなかったのに、万引きした商品はなんと猫缶…
やっぱり猫の食事代を確保するために、ある男がとった行動は、タクシーを盗み出し、そのタクシーを運転してタクシー代を稼ぐということ。
あきれるというか、一線を超えてしまっているというか、ここまでくるとある意味美談に聞こえてしまう(苦笑)
(注意…万引きやタクシーの窃盗は犯罪です!)
庄造、品子、福子。それぞれの思いが交錯し、人間ドラマとしても面白い。
猫や他のペットに愛情をそそぐ人間の心理って、昔も今も変わらないんですね♪
でも、あんまり愛情をかけすぎると、誰かさんに嫉妬されちゃうかも。
こんなに庄造から思われているのに、リリーの態度がこれまたとっても猫らしくって好きです。
いい読書ができました☆