消費税増税前になんとか買えました。
川上弘美さんのエッセイ、東京日記4『不良になりました』(平凡社)
平凡社
発売日 : 2014-02-14
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話は少し飛びますが、先日、芥川賞と直木賞の創設150回を記念して行われた「芥川賞直木賞フェスティバル」の様子を見たのですが、作家の皆さんが思い思いに着飾った衣装を身に付ける中(特に桜庭一樹さんは目立っていました♪)、川上弘美さんと宮部みゆきさんのお二方が、とても自然な服装をされていて、(やっぱり作家はこうでなくちゃ!)と、とても好感を持ちました。
いや、ただそれだけなんですけどね(苦笑)
東京日記は川上さんがエッセイ風に書いている文章で、その奇妙な味と文章のリズムが好きで読んでいるシリーズ。
本当のことも少しは含まれていると思います(苦笑)
あ、でも今回川上さんがMRI 検査を受けてくれたおかげで、検査の時にヒートテックを着ていかない方がいいということと(鉄分が含まれるため電子レンジの原理で火傷する危険性がある)、刺青や眉いれずみをしている場合も注意が必要だということは初めて知りました。
こうしたタメになる知識は本当にまれです。
この本のウリは、そういう所じゃなくて、どうでもいいようなところ(笑)
日に干されたイグアナだとか(笑)
送られてきたウナギイヌのハガキだとか(笑)
前髪にふりまわされたり、ゲームのソリティアに熱を上げたり、病院で、電車で、お店で、ひっかかったり、気になったり、後悔したり、気持ちの整理がつかなかったりするところ(笑)
2010年から2013年にかけて書かれているので、震災当時の文章も載っています。
私が好きなのはトンボを捕まえては放してやる少女についてのところ♪
「トンボ獲って放つのが好きな女の子」
句会でその句を見て「いい句でしたね」と作者にいうと、女の子というのは作者の姪っ子のことだという。
その女の子は虫かごいっぱいぎゅうぎゅうにトンボを捕まえてきては、「さあ放してやるわよっ」、と女王様のような口調で数十匹のトンボを放すのが好きで、一日に何回も捕まえてきては・・・(笑)
ロシアで日本語学科の学生達と話す回では、日本のポストモダン文学についての発表で、日本の主人公は暗くてカワイソウ、一人で悩んでいてサミシイ、というので、どんな作品を読んだのかと聞くと、イサカコウタロウにミヤベミユキ・・・伊坂幸太郎と宮部みゆき。
ノルウェー産のスモークサーモンをロシア名物と思い込んでいた川上さんは、二人の名前が出てきて、虚をつかれた、と書いています(笑)
蕎麦屋で、(けっっっっ)とお腹の中で叫び、こんな店二度と来るか! と誓うところも好き♪
独特の観察眼に物の捉え方は、川上作品の特徴でもありますが、作家さんみたいな個性的な才能が無くても、ちょっと視点を変えて見ると、物事の意外な一面が見えたりすることってありますよね。
実は、自分が見ている世界を、他の人も同じように見ているかどうかなんて、誰にもわからない。
やわらかくというか、こわばった体をほぐすように、硬くなった心や感性をほぐすにはピッタリの本だと思います。
あぁ、面白かった☆