回転寿司で食事をしていると、隣の席の小学生くらいの男の子に話しかけられました。
「いま何皿目ですか?」
まったく見ず知らずの男の子です。
「え、6皿目かな?」
「お寿司以外の皿は何皿ですか?」
「え、1皿?」
男の子のお母さん(らしき女性)は「もう、そんなこと聞かないの!」と恐縮してみえました。
その男の子は物怖じしない性格らしく、お店の人に「お寿司を握る人は何ていうんですか?」と訊いてみたり、その答えが「板前さん」だと知ると「なぜ板前っていうんですか?」とたたみかけたり、「このお店の従業員は何人ですか?」とまるで経営コンサルタントか株主ばりの質問をあびせていました。
質問を受けるパートの女性も苦笑い。
私も最後に会計をしようとすると「何皿ですか?」と再び訊かれたので、「8皿だよ」と答えると「勝った!」と勝手に勝敗を告げられました。
お母さんが「もう、これはお母さんと二人ぶんでしょ」と男の子の計算方法を注意すると(注意するとこそこかい!!)男の子は「大人の男の人と比べるんだからこれでいいの」と彼独自の主張で張り合っていました。
いっておきますが、その日たまたま隣に座っただけのまったく見ず知らずの親子です。
…ぼうや、オジさんは本当はもっと食べられるんだけど、貧乏だからこれ以上は食べないで我慢しているんだよ。
とさすがに真実は告げませんでしたけどね(苦笑)
いやぁ、子育てって大変ですね♪
7月21日に封切られた映画、細田守監督のアニメーション作品。
『おおかみこどもの雨と雪』
を観て来ました☆
なんだかすっごく共感してしまって、涙があふれてきて困りました。
おおかみ男と恋をして、二人の子供を産んだ若い女性が、一人で子供を育てることになります。
おおかみの血を引く子供たちは、何かのひょうしにすぐおおかみに姿を変えてしまう…
一見コミカルな描写ですが、世間の目を逃れて暮らす息苦しさ、誰にも相談できない孤独は、ただでさえ大変な子育てに加えて主人公に重くのしかかり、しだいに彼女を、家族を追い詰めていきます…
夜泣き、洗濯、食事の用意。
病気になっても出生が出生なだけに簡単には医者に診せられない。
大変な苦労の末、周りの目を逃れて田舎のボロ屋を借りて住む決断をする母親。
そこに現れる田舎の人々。
すぐそばに山が、自然があるという環境。
子供たちが通うことになる学校での人間たちとのふれあい。
「先生」
オオカミとして生きるのか? それとも、人間として生きるのか?
おおかみ男と恋をして、二人のおおかみこどもを育てる主人公「花」の声を女優の宮崎あおいさん、おおかみ男の声を大沢たかおさんが演じてみえて、とても生き生きと、深みのある演技で物語に奥行きを与えていました。
画面を所狭しと走り回るおおかみの姿をした子供たちもいい♪
おおかみこどもというファンタジーのような要素はありますが、描いているのは親と子の関係、母親になるということと、子供の自立、そして巣立ちです。
私が守ってやらなくちゃ。
どこかで泣いてやしないか…
どこかでお腹を空かしてやしないか…
姿を消した子供をさがす花の気持ちがグサグサと心に刺さってきました。
生まれた時にその目も開いていない顔をながめて思ったこと。
この子はどんな大人になるのだろう…
どんな人生を歩むのだろう…
大きくなるまで、しっかり見守ってやらなくちゃ。
もう、それなのになんで花一人に背負わすんだよ!?
男ってなんて勝手なの!!
と、映画を見ていて何度も思いました!
ま、本人もやむにやまれぬ事情があったんでしょうけれど、それにしても勝手すぎる!
果たしてこの母子はどんな決断をするのか?
母子が移り住む田舎の農夫で、頑固なジイさんを演じた菅原文太さんがジブくていい役なんです!
細田監督の出身地で、映画の舞台となった富山県の自然もとっても美しく、CGも使った植物や風の描写は見事でした。
特に水(涙)の描写は注目です。
しかも、そんなにこだわっているのに、ストーリーも登場人物の存在感も邪魔せずに、ひっそりと、しかししっかり描きこまれていたのはさすが!
監督のこだわりを感じました。
元気で! しっかり生きて!
子育ての経験のない私でも共感できて涙をボロボロこぼしましたから、きっとどんな人にも共通する「何か」にしっかり訴えかける映画なんだと思います。
前作『サマーウォーズ』のようなエンターテイメントを狙った作品ではありませんが、人間に焦点をあて、しっかり描きこまれた人物像には映画という枠に耐えられる完成度がありました。
ともかく、細田監督、私の感情をゆさぶってくれてありがとう☆
正味2時間、泣いたり笑ったり、感動したり、忙しかった~♪
私にとって、感情に訴えてくる「何か」を持っている映画が、いい映画なんです!
そういう意味では、間違いなくいい映画でした。
あぁ、面白かった☆