「ラムラム王」をご存知ですか?
本当の名前はとっても長いのですが、これから何度も登場するので、ここでは単に「ラムラム王」と呼ぶことにします。
「王」といっても王様ではありません。
エッペ国という国の、貧乏な珊瑚削り職人の子どもです。
「王」というのは名前の一部で、だから、ラムラム王を呼ぶ時は、必ず「王」までつけて、ラムラム王ちゃん、ラムラム王くん、ラムラム王さま、などと呼ばなくてはなりません。
もっとも、みんなはただ「ラムラム王」と呼んでいるので、やっぱりここでも「ラムラム王」と呼ぶこことにしましょう。
ラムラム王が七歳の時、珊瑚削り職人のお父さんは、珊瑚を削るために使っている、”ろくろ”の隣に、同じような、だけど少し小さな”ろくろ”が、置いてあるのをみつけます。
突然あわられたこの小さな”ろくろ”に驚くお父さん。
しかも、ふと見ると、それまですぐそばで絵本を見ていたラムラム王の姿がありません、
そう、この小さな”ろくろ”は、ラムラム王が変身した姿だったのです!
それからが大変。
お母さんが干葡萄を食べようとしたら、その干葡萄がいきなり「痛い、痛い」としゃべり出したり、居眠りをしているお父さんの耳の中で、だしぬけに耳くそが「ヨオヨオ」と大きな声を出したり、どんなものにでも姿を変えられるラムラム王の不思議な力に、みんなは不気味がります。
そしてついには、悪魔がラムラム王の姿をしているに違いない、ということになり、まだ小さなラムラム王は、なつかしい削られた珊瑚でいっぱいの自分の住みかを追い出されることになってしまうのです。
しかし、ラムラム王はそんなことちっとも気にせず、夜になると小鳥の姿で眠り、昼間はラムラム王の姿になって、どんどん旅を続けていきます。
そして、巨人の国に行き着いたラムラム王は、その国の力自慢が何人かかっても開けられない不思議な鉄の箱を、珊瑚を削る”ろくろ”に変身して、見事に開けてしまいます。
ところが中から出てきたのは、ラムラム王にそっくりのもう一人のラムラム王で、箱を開けたラムラム王と溶け合うように一緒になると、みるみるうちに一人になった二人のラムラム王の体は、巨人みたいに大きくなってしまうのでした。
こんなお話し、信じられませんか?
これはラムラム王の長い一生のお話しの中でも、ほんのさわりにすぎません。
本当のラムラム王のお話しは、これから始まるのです。
ラムラム王は、その長い人生で、五たび王さまになり、一たび奴隷となりました。
美しい王妃さまと共に過ごしたり、魔法使いや、お星様と出会ったり、羊になって動物たちと暮らし、魚になって海に住んだこともありました。
多くの人に会い、多くの人が去っていきました。
そして、1894年六月二十五日、日本の国の小さな湖のほとりに生まれ変わる、と書き残して姿を消したラムラム王。
1894年の六月二十五日というのは、このお話しを書いた武井武雄さんの誕生日です。
彼は長野県の諏訪湖のほとりで生まれました。
この『ラムラム王』というお話しが、最初に本に載ったのは大正十三年のことです。
挿絵もご本人が描いています。
まるで、紙芝居のように、一枚一枚、本のページをめくる楽しさ♪
何が飛び出すのかわからない驚き!
どんな歴史の本にも載っていない、ラムラム王の不思議な一生☆
予測不能なところがとっても魅力的なお話しです。
ラムラム王の開けた箱の中からは、もう一人のラムラム王が出てきました。
…人間には、絶対に開けられない箱というものがあります。
あなたが生まれた時から、あなたと共にある、あなただけの、絶対に開かない箱。
毎日毎日、その中を想像したり、思い描いたり、そしてちょっぴり不安になったり。
そういう”想像の余地”のある、あなただけの絶対に開かない箱。
それなのに、箱の中身がつまらなくてガッカリ、もう想像することもやめてしまった、なんて人がけっこういたりして…
本物は、絶対に開けられないのに。
では、絶対に開けられない箱の中身。
ここにいる皆さんにだけお教えしましょう。
といっても、誰もがみんな、持っているものなんですけどね。
そう、それは「未来」☆
箱が開けられるのは想像の中でだけ。
だからラムラム王は面白い♪
武井 武雄 著
銀貨社
本当の名前はとっても長いのですが、これから何度も登場するので、ここでは単に「ラムラム王」と呼ぶことにします。
「王」といっても王様ではありません。
エッペ国という国の、貧乏な珊瑚削り職人の子どもです。
「王」というのは名前の一部で、だから、ラムラム王を呼ぶ時は、必ず「王」までつけて、ラムラム王ちゃん、ラムラム王くん、ラムラム王さま、などと呼ばなくてはなりません。
もっとも、みんなはただ「ラムラム王」と呼んでいるので、やっぱりここでも「ラムラム王」と呼ぶこことにしましょう。
ラムラム王が七歳の時、珊瑚削り職人のお父さんは、珊瑚を削るために使っている、”ろくろ”の隣に、同じような、だけど少し小さな”ろくろ”が、置いてあるのをみつけます。
突然あわられたこの小さな”ろくろ”に驚くお父さん。
しかも、ふと見ると、それまですぐそばで絵本を見ていたラムラム王の姿がありません、
そう、この小さな”ろくろ”は、ラムラム王が変身した姿だったのです!
それからが大変。
お母さんが干葡萄を食べようとしたら、その干葡萄がいきなり「痛い、痛い」としゃべり出したり、居眠りをしているお父さんの耳の中で、だしぬけに耳くそが「ヨオヨオ」と大きな声を出したり、どんなものにでも姿を変えられるラムラム王の不思議な力に、みんなは不気味がります。
そしてついには、悪魔がラムラム王の姿をしているに違いない、ということになり、まだ小さなラムラム王は、なつかしい削られた珊瑚でいっぱいの自分の住みかを追い出されることになってしまうのです。
しかし、ラムラム王はそんなことちっとも気にせず、夜になると小鳥の姿で眠り、昼間はラムラム王の姿になって、どんどん旅を続けていきます。
そして、巨人の国に行き着いたラムラム王は、その国の力自慢が何人かかっても開けられない不思議な鉄の箱を、珊瑚を削る”ろくろ”に変身して、見事に開けてしまいます。
ところが中から出てきたのは、ラムラム王にそっくりのもう一人のラムラム王で、箱を開けたラムラム王と溶け合うように一緒になると、みるみるうちに一人になった二人のラムラム王の体は、巨人みたいに大きくなってしまうのでした。
こんなお話し、信じられませんか?
これはラムラム王の長い一生のお話しの中でも、ほんのさわりにすぎません。
本当のラムラム王のお話しは、これから始まるのです。
ラムラム王は、その長い人生で、五たび王さまになり、一たび奴隷となりました。
美しい王妃さまと共に過ごしたり、魔法使いや、お星様と出会ったり、羊になって動物たちと暮らし、魚になって海に住んだこともありました。
多くの人に会い、多くの人が去っていきました。
そして、1894年六月二十五日、日本の国の小さな湖のほとりに生まれ変わる、と書き残して姿を消したラムラム王。
1894年の六月二十五日というのは、このお話しを書いた武井武雄さんの誕生日です。
彼は長野県の諏訪湖のほとりで生まれました。
この『ラムラム王』というお話しが、最初に本に載ったのは大正十三年のことです。
挿絵もご本人が描いています。
まるで、紙芝居のように、一枚一枚、本のページをめくる楽しさ♪
何が飛び出すのかわからない驚き!
どんな歴史の本にも載っていない、ラムラム王の不思議な一生☆
予測不能なところがとっても魅力的なお話しです。
ラムラム王の開けた箱の中からは、もう一人のラムラム王が出てきました。
…人間には、絶対に開けられない箱というものがあります。
あなたが生まれた時から、あなたと共にある、あなただけの、絶対に開かない箱。
毎日毎日、その中を想像したり、思い描いたり、そしてちょっぴり不安になったり。
そういう”想像の余地”のある、あなただけの絶対に開かない箱。
それなのに、箱の中身がつまらなくてガッカリ、もう想像することもやめてしまった、なんて人がけっこういたりして…
本物は、絶対に開けられないのに。
では、絶対に開けられない箱の中身。
ここにいる皆さんにだけお教えしましょう。
といっても、誰もがみんな、持っているものなんですけどね。
そう、それは「未来」☆
箱が開けられるのは想像の中でだけ。
だからラムラム王は面白い♪
武井 武雄 著
銀貨社