私的図書館

本好き人の365日

『もつれた蜘蛛の巣』

2010-04-29 14:51:00 | 本と日常
世間ではGW(ゴールデンウィーク)とかいって浮かれているみたいですね…

私は今日も明日も仕事です。

休みの間だって電車は動かさなきゃいけないし、電気は発電しなきゃならないし、コンビニは開けておかなけりゃいけませんからね。

みんな頑張ろう!

今日は少々グチっぽくなってしまいました。

最近読み終わったのはルーシー・モード・モンゴメリの

*(キラキラ)*『もつれた蜘蛛の巣』*(キラキラ)*(角川文庫)

これ面白かった♪

モンゴメリといえば『赤毛のアン』が有名ですが、この作品では由緒あるダーク家とペンハロウ家という二つの家系を巻き込んだ大人のロマンスが展開されます☆

ペンハロウという名前は確か『赤毛のアン』にも出ていました。

舞台は『赤毛のアン』と同じカナダのプリンス・エドワード島。

昔から婚姻をくり返し、深い間柄のダーク家とペンハロウ家には、代々受け継がれて来た家宝の「水差し」というのがあって、現在はペンハロウ家からダーク家に嫁いだ一族の長老、ベッキーおばさんがその持ち主。

何でもズバズバ言って、人を怒らせることが趣味みたたいなこの老かいな御婦人が、遺言によってその「水差し」を”誰か”に残して亡くなるのですが、条件が一つあって、その条件とは、

相続人の名前を明かすのは一年後とする…

それまでは保管人が管理することになるのですが、ベッキーおばさんはこれみよがしに遺言に書いた内容をぼかして伝え、一族の者が一年間「水差し」を相続するにふさわしい行動を取るようしむけるのです。

「水差し」が欲しい人々は、長年のいがみ合いをやめて仲直りしたり、汚い言葉使いをひかえたりと、もうてんやわんや。

あちこちでおかしな騒動が持ち上がります♪

二つの家系が入り乱れて本当に蜘蛛の巣がもつれたみたいな人間模様!

十代の少女は恋人との間で揺れ動くし、戦争未亡人には新たな出会い、一人夢見がちなオールドミスの女性にも意外な申し込みがあったり、結婚式の当日に新郎の元を飛び出した女性には過酷な真実が待ち構えていて…

告白に駆け落ち。
三角関係にキスと抱擁。

白樺の林では少女が泣き崩れ、結婚を申し込んだ男は怒りながら相手の家を後にする。

一冊の本でこんなに多様なロマンスを楽しめるなんてとってもお得です☆

それぞれの人物描写(とくに結婚を控えた女性)はさすがはモンゴメリといった感じだし、予想外の展開で「え~!」という恋人たちもいました。


教訓:男女の仲は理屈じゃない


(苦笑)

個人的には両親を亡くし、一族の中でもっとも過酷な運命をしょった、労働を強いられ、食べ物もろくに与えてもらえず、友達も、家族の温かさも知らない少年、孤児のブライアン・ダークの幸せを祈らずにはいられませんでした。

屋根裏で眠り、着ている物はすり切れた薄いセーター。

両親と食卓を囲み、母親の腕に抱かれる同じ年代の子供たちを窓から眺め、「いったいかわいがられるってどんな気持ちなんだろう?」と憧れるブライアン。

彼の母親のお墓には墓石もなく、大人になったら自分にも母親の墓石が買えるだろうかと考える幼いブライアン。

過酷なおじ夫婦の仕打ち。一人ぼっちで、あまりの辛さにフラフラと歩き出し、見捨てられた母親の墓に体を投げ出し「かあさん―連れて行って―ぼく、もう生きていられない―もういやだ―もういやだあ。お願いかあさん」と泣くブライアン…

モンゴメリってすごい…

ブライアンは雇い人のコンウェイさんがこの世の中がうまくいっていないのは神さまがまだ若い神さまだからだと言うのを聞いてそっとつぶやきます。

「ああ、若い神様、どうかぼくのことを忘れないでください」

このブライアンもそうですが、一族の変わり者、月を愛し預言者のように歩き回る「月の男」、オズワルド・ダークに、

スペイン人の血を受け継いだ炎の女、ジョスリン・ペンハロウ・ダークといった魅力的な人物、

そしてなんといってもベッキーおばさんことレベッカ・ダークのキャラクターは必見です♪

あー面白かった☆




晴明神社に行きました☆

2010-04-26 15:19:00 | 本と日常
ふと思い立って京都に行って来ました♪

岐阜県からは新幹線を利用すると早いのですが、お金も節約できるし電車の中で本も読めるので在来線を乗り継いでの旅です。

京都では陰陽師「安倍晴明」をまつった神社。「晴明神社」に行って来ました☆

最近は観光地にもなっているみたいですが、やっぱりファンの人が多いのか、写真を撮る時も場所を譲ってくれたりして優しい人が多い!

仲間意識というか同類意識が働いて何かいい雰囲気♪

陰陽師は小説にもよく登場するので、一度来てみたかったんですよね。

おみやげに御守を買って来ました☆

その他、鴨川を見ながら幕末の志士が歩いたであろう街並み、坂本龍馬や新撰組が走り回ったであろう細い道、二条城や京都御苑などを歩いて来ました。

森見登美彦さんの作品が好きなので、その小説の登場人物たちが愛した京都の街を歩くのはとっても楽しかったです☆

「なるほど、これがかの有名な賀茂大橋か」

「ここが今出川通りか」

「河原町通りとはここだな」

うんうん。

それにしても京都は自転車に乗った人が多いですね。

修学旅行の生徒さんと外国人観光客の姿もたくさん見かけました。

タクシーも路線バスさえ使わず4時間歩き続けたのでクタクタになりました。

鴨川に等間隔で並ぶ恋人たちも眺めて来ましたが、水質だけなら普段見慣れている木曽川の方が断然キレイだったです。

フッ、勝った☆

何の勝負をしてんだか…

電車の中ではたっぷり時間があったので、モンゴメリの『もつれた蜘蛛の巣』を読み終えました。

たまたま近くの席の女性二人の会話が聞こえてきたのですが、どうやら同窓会に出席したらしく、かつて素敵だった男の子が変わってしまっていて「どうしてあの頃そう見えたのかしら」と笑い飛ばしていました。

出席した同級生の男性の方、さんざん言われてかわいそう(笑)

たまにはこんな電車の旅もいいものです。

また京都行きたいな。




「歓喜の白路」

2010-04-24 13:33:00 | 本と日常
4月24日はカナダの作家、ルーシー・モード・モンゴメリが67歳で亡くなった日です。

『赤毛のアン』の主人公、アン・シャーリーがアヴォンリーにやって来た初日。

迎えに来てくれた老農夫、マシュウ・クスバートを相手に馬車の上でしゃべり続けていたアンはその途中で叫びます。


「まあ、クスバートさん! まあ、クスバートさん!! まあ、クスバートさん!!!」(村岡花子訳「新潮文庫」より)


アンの目の前には、真っ白な花がまるで天蓋のようにつらなるリンゴの並木道が広がっていたのでした。


「ああ、クスバートさん、あたしたちが通ってきたところは―あの白いところは何ていうの?」

「そうさな、お前さんは並木道のことを言ってるんだろうがな」(村岡花子訳「新潮文庫」より)


このシーン大好き♪

見慣れてしまうと身近で起こっている奇跡にも気が付かなくなってしまうんですよね。

アンがアヴォンリーにやって来たのは6月。
5月のはじめにはそろそろリンゴの花が咲き始めます。

うちの実家にもリンゴの木があるので楽しみです☆

父親が趣味でやっている家庭果樹園で、6本くらいしかないのでとてもアンがアヴォンリーの並木道に付けた「歓喜の白路」みたいな風景には遠くおよびませんが、それでも毎年白い花を咲かせ、食べ切れないほどの実を付けてくれます。

余った分は近所におすそ分けしたり畑のこやしになったり☆

モンゴメリの作品は今読みかけなのが2冊ほどありますが、最近はなかなか読めていません。

代わりに読んでいるのは…

中村光さんの罰(バチ)が当たっても知らないぞマンガ♪

*(キラキラ)*『聖☆おにいさん』*(キラキラ)*

1巻~4巻まとめ買い!!

神の子イエス・キリストと、目覚めた人ブッタが休暇を利用して東京の立川でアパートをシェアして下界暮らし…

聖人であることは隠していても、駅のホームに立てばいつの間にか彼らの後ろには沢山の人が並んだり、銭湯のお湯が赤ワインに変ってしまったり、行く先々で奇跡を起こしたり聖人ならではのトラブルに巻き込まれたり♪

イエスがお腹を空かせていると、目の前の皿に猫が横たわって別の猫がマッチを差し出す…

「神さまどうぞ私を食べてください」(←という目)

しかもその目が涙目!(笑)

カワイすぎる!!

こんな笑ってはいけないようなことをあえてマンガにしたそのチャレンジ精神に完敗です。

前から話題になっていた作品だったので気にはなっていたのですが、ついに買ってしまいました☆

これいいの? でも面白い♪

ブッタが料理が得意でイエスが秋葉原好きとは知らなかった。

本当にいいのかな(苦笑)

モンゴメリの亡くなった日にこんなマンガを紹介してしまって…罰が当たらないといいけれど。

ちなみにイエスとブッタが組んだお笑いコンビの名前は「パンチとロン毛」

いいのかな~(笑)


お役所仕事

2010-04-21 11:46:00 | 本と日常
お役所というのはニガ手です。

どうしてあんなぶっきら棒な人ばっかりなんでしょう?

そんな人ばっかりじゃないのかな?
人運が悪い?

ちょっと用事があって電話で問い合わせをしたのですが、受付だという女性はこちらの名前、住所、用件を聞いた上で、担当者は今忙しいのでこちらから電話をかけ直しますとの返事。

ま、ここまではいいのですが、こちらもヒマじゃないので「だいたいどのくらい待てばいいですか?」と聞くと「あなたの用件が何分かかるかわからないように、今の方の用件も何分かかるかわかりません」とのこと。

う、まあ、そう言われればそうなので、しかたなく電話で対応してくれた受付の人の名前を聞いて待つことにしたのですが…

受付嬢「私の名前ですか? …加藤(仮名)です」

私「加藤何さんですか?」

受付嬢「………それって、下の名前も必要なんですか?」

私「……………。」

私の名前は下の名前どころかどんな漢字なのかも詳しく聞いたくせに…

すでに彼女の対応にちょっとカチンときていたのは事実ですが、もうちょっと言い方ないの?

それから電話を持つこと1時間。

ようやく担当者という人と話せることになったのですが、その人は「たらい回しみたいで申し訳ないんですけど、ここでは無理なので、○○というところがありますから、そちらに問い合わせたらいかがですか」

私「……………。」

会話は2分ほど。

まったく別の相談窓口を紹介されました。

受付で名乗った名前も住所も用件も、懸命にわかりやすく説明した漢字も、電話の前で待った1時間も、あれはいったい何だったの?

用件だけ聞いて、名前なんてひらがなでもカタカナでもよかったじゃん!

担当者が「これは私の担当だな」と判断してから詳しく漢字でも何でも必要なら下の名前でも聞いたらいいんじゃないの?

ねえ、加藤さん(仮名)!!

あなたが下の名前を聞かれて不快に思ったように、あなたにこちらの事情を色々聞かれて、結局それがすべて無駄になってしまった私にも感情というものがあるんですよ!

私の方が訊きたい「それって必要なんですか?」

お役所ってどうしてこんなに非効率なんでしょうね?

ちょっと立腹してしまいました。

私もまだまだ心が狭いな。

その日、買い物ついでに近くの本屋さんにふらっと立ち寄ったのですが、目立つところに張られていたのは村上春樹さんの『1Q84 BOOK3』のポスター。

売り切れだろうとは予測しながらも、一応店員さんに訊ねると、「BOOK3」どころか「BOOK1」も「BOOK2」も売り切れなんだとか。

小さな田舎の本屋さんなのに、買う人がいるんですね。

立ち読みできるのはもう少し先になりそうです。



花よりだんご

2010-04-14 01:32:00 | 本と日常
朝、出勤しようと駐車場に出てみると、車が桜の花びらでおおわれていました。

(よその車ならキレイなんだが…)

夜のうちに降った雨と強い風のせいで、満開だった近くの桜の木から盛大に降りそそいだみたいです。

一面に敷きつめられた桜の花びらというのは確かにキレイ。

一瞬だけ、車を動かすのがもったいないような気がしましたが、こっちも食べていかなきゃならないので、さっさと車に乗り込みフロントガラスに張り付いた桜をワイパーで左右にかき分け、そのまま会社に向かいました。

芸術よりも現実を選択した瞬間でした。




井上ひさしさん死去

2010-04-11 21:17:00 | 本と日常
作家の井上ひさしさんが4月9日夜、肺がんのため亡くなられたそうです。

75歳でした。

劇作家として活躍する中、小説も執筆、テレビなどでも活躍されていました。

NHKで放送された人形劇「ひょっこりひょうたん島」はあいにく私が生まれる前の作品なのでリアルタイムでは見ていませんが、学校の図書館に置いてあった『ブンとフン』や『ドン松五郎の生活』は面白く読ませてもらったし、随筆もいくつか読ませてもらいました。

NHKで放送された舞台番組で「父と暮せば」なども見させてもらいました。

とある本の中で書かれていた、「自分の言葉で、自分にしか書けないことを、だれにでもわかる文章で書く…」という井上さんの言葉は今も憶えています。

大変楽しませてもらいました。

ありがとうございました。

ご冥福をお祈り致します。




再び『1Q84』

2010-04-09 00:56:00 | 本と日常
4月16日発売予定の村上春樹さんの小説『1Q84』の第3巻にあたる「BOOK3」。

初版50万部に続き、発売日を待たずして早くも10万部の増刷が決まったというニュースを読みました。

すごい人気ですね~

村上春樹さんは好きですけど(特に短編☆)、正直どうしてそんなにみんなが熱狂するのかわかりません。

「BOOK1」も「BOOK2」も立ち読みで済ませたからこれも一応立ち読み候補なんですが、周りが騒ぐとどんどん気持ちが冷めていく天邪鬼なので、気が向いたらのぞく程度になるかも知れません。

他に4月発売で気になるのはブログ発信のマンガ、COCOさんの

*(キラキラ)*『今日の早川さん3』*(キラキラ)*

本好き女子のマニアックな生態を描くこのマンガもついに3巻目。

発売予定日は4月22日だそうです。

これは買いに行かなくっちゃ!



私信

2010-04-08 07:14:00 | 本と日常
夜中にヒザを抱えてヘッドフォンで音楽を聴き続けたことがあなたはあるだろうか?

私はある。

他人が気になって、立ち止まりたいのに通り過ぎたり、立ち去りたいのにその場から離れられないといった経験が、あなたにはあるだろうか?

私にはある。

その人のことを思い出すと、心が痛み、贈られた温かさと失ってしまった悲しみが交互に胸にこみ上げてくる。
そんな思い出があなたにはあるだろうか?

私にはある。

一日が終って日が沈み、うっすらと残った昼と夜の境界線に星がひとつ輝き出す頃、人々が家路を急ぐ。

その日、結婚した人。

その日、子供が産まれた人。

その日が誕生日だった人。

その日、会社で嫌なことがあった人。

その日、誰かに裏切られた人。

その日、いつものように友達とバカ騒ぎをして終ってしまった人。

その日、何もしなかったと寂しく思っている人。

その日、仕事がうまくいった人。

その日、失敗してしまった人。

その日、告白した人。

その日、大切な人を失ってしまった人。

その日、友達とケンカしてしまった人。

その日、おいしいものを食べた人。

その日、犯罪を犯した人。

その日、初めて自転車に乗れるようになった人。

その日、好きな人ができた人。

一日の終わり…

一日の始まり…

目の前を通り過ぎて行く、名前も知らない人々に、今日一日どんな人生があったのだろう。

彼らに起きたことは私にも起こる。

私に起こったことは彼らにも起こる。

彼らは私自身だ。



歩いて行こうと思う。






                2010.04.07.



JUSTICE(正義)

2010-04-04 23:58:00 | 本と日常
日曜日なのに一日かかって会社用の書類を作っていました。

春なのに…

桜がこんなにも咲いているのに…

天気がよかったので洗濯機をゴロンゴロン回しながらの書類作成です。

どこかに遊びに行きたかったけれど、とりあえず満足のいく書類ができたからまぁいいか♪

夕方にNHK教育テレビで放送された「ハーバード白熱教室」の第1回目を見ました。

アメリカの名門ハーバード大学で最も人気のある授業、政治哲学を教えるサンデル教授の「JUSTICE(正義)」

第1回目のテーマは、「殺人に正義はあるのか」

四人の船乗りが難破し、食糧も水もない状況で海の上を漂います。
漂流は十数日におよび、四人のうち三人は衰弱した仲間を殺してその血と肉のおかげで生きのびる…

実際に起こった身の毛もよだつような事件を題材にして、サンデル教授が生徒たちに「この殺人はどう裁かれるべきか」を質問していきます。

極限状態の中で生きのびるためには仕方のないことなのか?

それともやっぱり殺人は殺人?

もし公平に殺される者をクジ引きで選んでいたら、道徳的な問題は解決されるのか?

もし殺される本人がそのことに同意していたらどうか?

題材が題材なだけに、ちょっと顔をしかめましたが、いろいろな考えの生徒さんがいて興味はわきました。

もちろん事件は入口で、本題は「最大多数の最大幸福」を基本原理とする功利主義について考えるという政治哲学の授業なわけですが、「少数を犠牲にしてでも大多数の利益が優先される」民主主義を問う授業にも聞こえました。

大勢の人を救うためには少数の人が犠牲になってもいいのか?

日本では沖縄普天間基地問題なんかが思い起こされますね~

沖縄の基地も、全国の市町村でクジ引きをして移転先を決めたら公平で道徳的なのかな?

ハーバードの生徒さんの中で「例え本人の同意を取り付けても殺人は道徳的に許されない」という意見があってちょっと共感しました。

地元の同意があれば何をやってもいいというわけじゃないと私も思うから。

このシリーズはまだ続くみたいなので次回も楽しみに見たいと思います。