私的図書館

本好き人の365日

秋の落し物

2010-08-31 23:59:00 | 本と日常
道に緑色のドングリがたくさん落ちていました。

そこはすぐ横がちょっとした雑木林になっていて、大きな木の枝が道に影を落として緑のトンネルのようになっている所。

ドングリを見るととっさに「トトロ」を思い出してしまいます☆

拾って帰ろうかとも思ったのですが、感傷にひたって行動するとたいてい後悔するのでそこは我慢。

田舎に住んでいても木の種類には詳しくなくて、ぼんやり特定の「どんぐりの木」があるものだと思っていたので、正式名称が知りたくて、家に帰って調べてみました。

ドングリってブナ科の木の実の総称で、いろいろな種類があるものなんですね。

コナラ、ミズナラ、クヌギ…

それぞれ全部が「どんぐりの木」でした。

知らんかった。

独楽(こま)にして遊んだりして子供の頃はけっこう身近なおもちゃだったのに、木の種類までは気にしていませんでした。

大人になっても勉強することがたくさんあります。

私が勉強不足なだけなんですけどね☆


偉大な母は大いに笑う

2010-08-30 23:04:00 | 本と日常
仕事中、職場で一緒に働いている女性のもとに、高校生になる娘さんが学校で気分が悪くなったという連絡が入りました。

最初女性は職場に迷惑がかかるからと迷っていましたが、みんなで「こっちは大丈夫だから」と言ってとりあえず学校に行くよう説得。

ま、結果からいうと娘さんはちょっと熱が出ただけで深刻な症状ではなかったのですが、かといって授業を受けられるような状態でもないのでそのまま早退させることにしたそうなんです。

問題はここから。

一時間以上してから戻って来た女性は明るく、「ごめんね、大丈夫だった。ちょっと熱が出ただけ。朝から調子が悪いっていってたのよ」と朗らかに報告。

どうやら娘さんは自分の体のことよりも、早退してしまったことで部活の先輩たちに迷惑をかけることの方を気にして、ずっと車内では泣いていたらしいのです。

「それなにの私、また余計なこと言っちゃったみたいで」と女性。

「ついね、早退したからこれで皆勤賞ももらえないねっていっちゃったのよ」

「そしたらまた泣き出しちゃって、アハハ…」
    

…アハハって。


何だか一度も会ったことも見たこともないけれど、この高校生の娘さんに深く同情してしまいました。

自分の体より部活動のことを思う責任感の強い子なのにね~

早退するのは自分のせいじゃないのにね~

何も今、そんなことを言わなくてもね~(苦笑)

いますね、思ったことを状況も考えずにそのまま口に出してしまう人。

傷口に塩を塗るっていうか、泣きっ面に蜂っていうか。

悪気はないんだろうけれど、時と場所を選んだら? お母さん。

それとも高校生の娘のそんな繊細な心を笑い飛ばすことのできるお母さんの方が偉大なのかな?

また一つ、勉強になったような気がした出来事でした。




下心なんてないってば!

2010-08-27 17:28:00 | 本と日常
同じアパートに住んでいるのに、めったに顔を合わすことのない住人たち。

この間ゴミ出しでたまたま一緒になった若い女の人は、こちらに気が付いたのに顔を伏せてそのままそそくさと立ち去ってしまいました。

いいよいいいよ、「知らない人には近づかない」というのは近頃の物騒な世の中では当たり前のことなんだし。

だいたい最近では成人男性は肩身が狭い。

知らない子供に声をかけると不審者と思われそうだし、満員電車の中では痴漢に間違われないように両手で吊り革につかまっているサラリーマンもいるっていうし、夜道で前を女の人が歩いていたりするとこっちの方がドキドキする(警戒されてやしないかって…)

この間も車に乗っていたら急に雨が降り出して、その中をびしょ濡れで歩いている女子中学生を見かけたので思わず傘を貸してあげたくなったけれど、怖がらせてもいけないと思い通りすぎてしまったし。

親切をするのもなかなか難しい世の中です。

今朝、たまたまこの間の女の人にやっぱりゴミの集積場で会って、再び無視されそうになったので、こちらから「おはようございます」と声をかけてみました。

「お、おはようござ…い…(ゴニョゴニョ)」

何やら小声で、しかもゴミの集積場ってアパートのすぐ横なのに彼女は日傘を差していて、その日傘で顔を隠しながらでしたが、とりあえず返事はしてもらえました。

…日傘? もしかして早朝だったからスッピンだったとか?

考えすぎかな?

ま、一歩前進。
よーし、次の目標は「笑顔で挨拶を交わす」これだな!


世界の中心でアイを叫んだけもの

2010-08-25 18:25:00 | 本と日常
今日は満月。

たまには夜空を見上げてみるのもいいかも。

月はいつも同じ大きさというわけではなくて、地球の周りを近づいたり遠ざかったりしながら楕円を描いて回っているので、今日の満月は今年で一番小さく見える満月なんだそうです。

夏の夜空に見える代表的な星座といえば南の空に赤く輝く星が目立つサソリ座。

その尻尾から少し東によったところに、天の川の中で最も星が集まっているところがあります。

そこが私達の住む「天の川銀河」の中心です。

天の川、中国では「銀漢」

エジプトでは「天のナイル川」または「女神イシスからこぼれ落ちてばらまかれた麦の穂」

アイルランド(古い名をエリン)やケルトの伝承では光の神ルーの名を取り「ルーの鎖」と呼ぶそうです。

英語圏では「乳の道(ミルキィー・ウェイ)」

はるか昔から人類は夜空に輝く星を眺めていたんですね。

銀河の中心から地球までの距離はおよそ2万8千光年。

今私達が見ている光は、だから2万8千年かけて銀河の中心からやってきたことになります。

スゴイなぁ…

私達はこんなスケールの世界に生きているんですね。

圧倒されます。



『HAPPY NEWS』

2010-08-20 18:01:00 | 本と日常
毎年「今年は異常気象」と言われているような気もしますが、今年の残暑も厳しいですね。

私の勤めている工場ではクーラーの部品を作っているのですが、毎日残業で休日出勤のフル稼働。

この暑さでクーラーの需要が増えているのか、グリーン家電が安く買える「家電エコポイント制度」が今年の年末で締め切られるためなのか、いつもならヒマなこの時期に何だかとても忙しいです。

冷房で冷え切った体と心をやわらげるために古本屋で手に取ったのは、社団法人日本新聞協会が新聞で見かけたHAPPYなニュースを募集し、書籍化した、その名も…

*(キラキラ)*『HAPPY NEWS』*(キラキラ)*(2004年度版 マガジンハウス)

新聞といえばどちらかというと殺人事件や政治家の汚職、テロや子供の虐待、最近でいえば高齢者の所在不明など、暗いニュースが多い印象ですが、一面ではなく三面の片隅に、地方のニュースや「こぼれ話」といったちょっとしたコラムの中に、心が温まる小さな記事が隠れていたりするんですよね☆

私が印象に残ったのは、作家の眉村卓さんが、病床の奥さんのために一日一話、毎日ショート・ショートを書き続けたという記事。

ガンと闘う妻をせめて笑いで励ましたいと、5年近く、「最終回」を迎えたその日まで、妻の笑顔のために小さなお話を書き続けたと知り、ジーンときてしまいました。

お二人は高校の同級生だそうです。

あとは新潟で、熊に襲われた中学一年生の女子生徒が「怖かったけど、陸上部だし自信あった」と一目散に走ってみごと逃げ切った記事(笑)や、

山形で、雪の降り積もった広場に誰かが足跡で巨大なクマの顔を描いたことを知らせる写真付きの記事。

沖縄県の波照間島で観光客の財布が自転車のカゴから無くなったのだけれど、島民がドロボウなんてするはずがないと直感した駐在さんが、犯人がカラスだったと突き止めたという記事など、どこかニッコリしてしまうような記事がたくさん投稿されています☆

音楽家の中村彩子さんが作曲したのは、小学校の音楽の授業で楽器が苦手で目立たなかった生徒でも主役になれるカスタネットを使った合奏曲♪

「スペインのカスタネット」という曲名で、ドレミがないのでリズム感だけで演奏でき、楽譜やおたまじゃくしで音楽につまいずいていた子供たちに、音楽の楽しさ、喜びを実感してもらえる、そんな工夫がなされているそうです☆

いいなぁ、こういう記事。

この本は2004年度版とちょっと古めですが(その分安かったのです)、その後もこの「HAPPY NEWS キャンペーン」は毎年続けられており、昨年2009年までの投稿作品は、それぞれ文藝春秋社から本になって出版されています。

アメリカの北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)では、毎年年末になるとウェブ上にサンタクロースを追跡するサイトを開設するそうです♪

子供達の「サンタさんは今どこにいるの?」という疑問に答えるためだとか☆

普段は北朝鮮などのミサイルを探知したり、北米上空に侵入する未確認飛行物体などを監視するまじめな組織なのに、この心の余裕がいいですよね!

人生やっぱり何事も楽しまなくっちゃ♪

人工衛星や最先端レーダーで探知されるサンタクロースと赤鼻のトナカイも大変そうだけど☆(もちろんこれは仮想の探査プロジェクトです。でも、子供達にはナイショに願います)






『椰子・椰子』

2010-08-14 23:59:00 | 本と日常
最近読み終わった本は、川上弘美さんの、

*(キラキラ)*『椰子・椰子』*(キラキラ)*(新潮文庫)

もぐらと一緒に写真を撮ったり(小学校六年生くらいの背丈がある)

世をはかなんだ友人の山本アユミミと宿に泊まったり(土産に日本酒とカラスミを要求される)

夫も子供もいるのに片思いの相手がいたり、オランダ水牛と話す恋人がいたり、ペタペタさんと結婚するつもりになったり(でもペタペタさんは他の女の子についていってしまう)

そんな大人の女性の日記のようなとぼけた物語。

川上弘美さんは作品『蛇を踏む』で芥川賞も受賞したちゃんとした作家さんなのですが、こういう不思議で可笑しな話を書かせたら天下一品です♪(『蛇を踏む』も不思議なお話ですけどね☆)

私のお気に入りはヘヴィメタのコンサートの帰りに若い女の子から突然、

「この人よ、この人が五年前に、まだ揚げていないあんドーナツをあたしにくれた人よ、あの時はそりゃあ困ったわ」

と言われるお話♪

もちろん主人公にそんなおぼえはないのだけれど、

”十五歳にもなってあんドーナツのタネのひとつやふたつどうにかできないものか、甲斐性のないことはなはだしいではないか…”

と説教したくなる主人公がとってもいい☆

川上弘美さんの文章、好きなんですよね。

あー、面白かった。




世界遺産「白川郷」

2010-08-13 23:59:00 | 旅行

お盆休みを利用して岐阜県の白川郷に行って来ました♪

合掌造りで有名な岐阜県の誇る世界遺産です。

同じ岐阜県に住んでいながら行ったことがなかったので一度行ってみたかったんですよね。

休日ということで観光客が多かったのですが、ここでも中国人の団体客が目立っていました。

きっとお金持ちの人たちなんでしょうね~

うらやましい。

合掌造りの中にはいろいろ昔の道具が展示されていたのですが、元々白川郷ほどではないにしろ、私のうちも岐阜のかなり山の中にあるので、けっこう見慣れた道具ばかり(苦笑)

変わりばえしないなぁ☆

それでも飛騨牛コロッケと、どぶろくアイスと、飛騨牛のほうばミソ焼きはいただいてきました。

美味しかった~

何だかこの夏は食べてばっかりです。





『MM9』

2010-08-09 09:29:00 | SF

今日から会社はお盆休みです。

今年は一週間ほど休めます。

田舎はこの時期帰省する人々で人口が急増するのか、どこもかしこもすごい人。

傍若無人に走り回っている子どもたち。
夏休みの宿題は早目にやっておいた方がいいぞ~(私はギリギリまで遊んでいました♪)

今年はちょっと近場に出掛ける予定があるだけで、私は相変わらず家でのんびりしています☆

初めて購入した電子書籍、山本弘さんの、

『MM9(エムエムナイン)』(創元SF文庫)

を読み終わりました♪

…これは、日夜怪獣災害を防ぐために、その正体を調査し、進路を予測し、名前を決め、対処法を検討する、気象庁特異生物対策部(気特対)の面々の活躍を描いた物語である。

特撮マニア、かつて「ウルトラマン」に心躍らせた人々よ、刮目して見よ!!

♪ ♪ ♪

怪獣小説って(笑)

「MM9」の「MM」とは「モンスター・マグニュチュード」の略。

ゴジラやモスラはいわば天変地異のたぐいだからいってみれば自然災害。

自然災害ならば管轄は気象庁のはず。

台風の進路を予測するように、気象庁から怪獣予報が発表され、予報がはずれれば国民から抗議の電話がかかってくる…

その年発生した最初の怪獣は「怪獣1号」と呼ばれ、その後に固有名が決められる。

怪獣の大きさによる危険度、MM=モンスター・マグニュチュードも発表され、1~9と数字が大きくなるほど危険度は増し、その最大のものが「MM9」

山本弘さんはSF作品『アイの物語』がシリアスでけっこう面白かったので、この作品も読んでみたのですが、かつて子供心に「ゴジラ」や「ウルトラマン」でビルや街並みが破壊されるのを見てショックを受けた年代としてはとても面白く読めました☆

そうか、あの裏側はこうなっていたのか♪

この物語にウルトラマンは登場しません。
戦うのはもっぱら自衛隊。

しかも我らが主人公である気象庁の面々は一発の発砲もしない、基本戦わない♪

それでも怪獣の目撃情報があれば現地に飛ぶし、いざ怪獣災害となれば自衛隊に適切な助言をするために同行する。

戦いはしないけれど、怪獣の足下でチョロチョロしている人、それが彼らなのです♪

マニアックな内容のようですが、SF的な要素もたくさんあって、怪獣が日常的に出現し、我々の世界の歴史と似通っている世界を成立させるための辻褄あわせの理屈がこれまた面白い!

怪獣なんて”科学的”に考えればアノ体重では骨や筋肉が支えきれないはず…

口から光線!? そんなバカな!!

だいたいどうやって生きているんだ?

そんな疑問にちゃんと答えている☆

市民には税金の無駄と思われ、婚期は遅れ、ネーミングが悪かったりするとマスコミにも叩かれる!

そんな彼らがとっても愛しい!

お休みに読むにはピッタリの楽しい娯楽作品でした♪

こういうのが好きな人はどこにでもいるらしく、テレビでドラマ化され、放送もされているんだとか(2010年8月1日現在)

久しぶりに「ゴジラ」の映画が見たくなったなぁ☆



日本人の顔

2010-08-08 11:05:00 | 本と日常
若く見られるというのはちょっと嬉しいかも…♪

田舎の工場でブラジル人の方と一緒に働いているのですが、世間話の中で年齢の話になり、私が実年齢を告げたところ「若く見える!」とすごく驚かれたのです。

これは一方的な見方なのかも知れませんが、海外から来ている人ってみんなけっこう感情を表に出して自分の考えをちゃんと口に出してくれるので、日本人よりとても素直に見えてしまうんですよね☆

…わかっています。ブラジルの人だっておせじぐらい言うってことは。

そりゃあ言葉や風習の違う国にやって来て、日本語を覚えながら慣れない仕事をするんですから、相当感情を抑えているところもあるとは思うんですよ。

それでも早く周囲に溶け込もうと自分から積極的に話しかけたり、いつも明るく場を和ませようとしてくれたり(うまくいかなくても全然めげずに何度でも挑戦してる!)、こちらが仕事で失敗した時なんて、たどたどしい日本語で励ましてくれたりして、すごく人間的にいい人が多くて、その感情、思いが強く伝わってくるんです!!

伝えなきゃ伝わらない。
日本人社会の中で「空気を読む」とか「察する」ことに慣れてしまっているとこれがかなり新鮮♪

時々日本人の間では忘れてしまいがちな「仕事よりも人間が優先」ということに気付かされてハッとすることもあります。

逆に派遣社員だからだとか、言葉が通じないからとか、そんなささいなことで彼らに横柄な態度で接する日本人もいて、こちらの方が同じ日本人として恥ずかしいくらい。

そんな私と話していたブラジル人の彼。
よほど驚いたのか、周りの人にも「この人いくつに見える? 実は○○歳なんだよ!」と次々と私の歳の宣伝をしはじめ、今度はこっちが驚く番。

やめてくれ~
その話題はそんなに盛り上がらないから~

そうです、日本人からしたら歳相応に見える何の特徴もない私。

案の定みんなは(そりゃそれくらいだろ)という顔を一瞬だけして黙々と仕事を続けてる…

あぁ、せめて一言くらい何か言ってくれ、だから日本人って…

ブラジル人の彼はそんなことにも全然めげず「日本人の顔は年齢がわかりにくいね」と一人で結論づけていました。

あれ、日本人でひとくくりにされちゃった?

おせじじゃなかったのはわかったけれど、もう少し気遣いというか、遠まわしにというか、遠慮というか、「察する」ことも時には必要だよね…と自分の中でつぶやく声が聞こえました。

職場で国際交流ができるのは面白いけれど、何だか今回一番損しているのは自分のような…

気のせいだろうか?




『あゝ、野麦峠』

2010-08-06 06:47:00 | 本と日常
年配の男性の自慢話といえば、過去に自分がいかにモテたかというのがあります。

おじさん、その話何回も聞いたよ…

新しい人が来るたびに、自分の武勇伝を聞かせる会社のおじさん。

私達の町にはその昔、大きな紡績工場があったそうで、そこで住み込みで働く女工さんたちのために、これまた大きな寮があったらしく、若かりしおじさんはその寮にこっそり忍び込み、多くの女性と逢引きを重ねていたと、毎回それは自慢げに話すのです。

何度もその話を聞かされた私たちは「またか」という感じですが、今回は思わぬ反撃が…

話を聞かされていた新人さんが「ボウセキコウジョウって何です?」

と聞き返したのです。

始めは自慢話にウンザリしてワザと知らないふりをしているのだろうと思っていたのですが、話がなかなか進まず、どうやら本当にわからないらしくて…

ボウセキコウジョウ。
紡績工場。
確かに昭和は遠くなりました。
『あゝ、野麦峠』が懐かしい…


『あゝ、野麦峠』は1979年に大竹しのぶさん主演で公開された山本茂美さん原作の映画のタイトル。

厳しい労働環境の中、製糸工場で働く若い女工たちを描いた映画で、私も子どもの頃に小学校の体育館にやって来た巡回映画で観た記憶があります。

実は私達の町から岐阜県と長野県の県境にある「野麦峠」はそんなに離れていないのです。

製糸産業も盛んで、私が小学生の頃までは、養蚕を営んでいる農家もあり、蚕(かいこ)の繭(まゆ)から生糸を取り出す工場も通学途中にあって毎日のようにそこで働く人々を見ていました。

今の職場にはちらほら平成生まれの社員がいるからな~
紡績工場とかいっても全然身近じゃないか…

紡績工場の説明に、まずは蚕の繭から生糸を取り出す工程から説明しなくちゃいけなくて、四苦八苦しているくだんのおじさんの姿はちょっといい気味でしたが(イジワルです☆)、私自身、我々が当たり前だと思っている地元の歴史や産業が地元生まれの人に伝わらないことに少しばかりショックも感じていました。

蚕部屋や桑畑、繭が茶色く染まった熱湯の中でクルクル回っている様子を生で見ていたあの体験は、実はもう貴重なものになって来つつあるんだなぁ…としみじみ。

歳をとったってことでしょうか?(苦笑)

でもこれにこりて自慢話をしなくなってくれるとすごくありがたいのですが。




『創世の島』

2010-08-01 00:51:00 | 本と日常
午前中はすごく暑かったので、洗濯物を干してから喫茶店に避難。

アイスコーヒーとケーキだけで3時間ねばって来ました♪

ウエイトレスさんが水を交換に来ること来ること(笑)

喫茶店で読み終わったのが最近買ったバーナード・ベケットの

*(キラキラ)*『創世の島』*(キラキラ)*(早川書房)

人類が死滅した未来。
大富豪によって世界から隔離された島でわずかに生き残った人々は独自の社会を築いていた…

遺伝子によって階級が区分され、肉親の顔も知らずに厳しい教育を受けて育てられる子どもたち。

外界とは巨大な壁で遮られ、近寄る難民は問答無用で攻撃される。

物語はアカデミーへ入学するために、ひとりの少女が口頭試問を受けるという形で進行します。

少女の口から語られる人類の歴史と終焉と、「島」での創世の物語。

それは、「島」でのルールを破り、一人の難民の少女を助けたアダムという兵士と、人から学ぶことをプログラミングされた人工知能(AI)、アートというアンドロイドの物語。

やられた! と思いました♪

これは映像化不可能!!

最後のどんでん返しは予想できなかった!

物語がずっと試験官と少女のいる部屋で静かに展開されるのに対し、少女が試験の答えとして語る未来の歴史のなんてスリリングなこと!

最終戦争や人工知能といったSF要素も盛りだくさんですが、ところどころに流れる哲学的なテーマもいい味を出しています♪

登場人物の名前がギリシアの哲学者の名前だったり、”理想の社会”を建設するというのがプラトンの思想とリンクしていたり☆

作者のバーナード・ベケットさんは高校の教師で、演劇や数学や英語などを普段は教えているのだそうです。

若者向けに書かれたこのお話は、数々の賞を受賞し、若者だけでなく多くの大人の読者をも魅了しました。

私も若い頃に
「誰もが幸せを求めているだろ?」
「でも実はそれは”幸せになりたい”と思わされているだけなんだよ。我々はそんな思惑からも自由にならなくっちゃ」

と友達に熱く語り。「思わされているって、誰に?」という友達の真っ当な問いに、

「遺伝子にさ」

と答えたことをこの本を読んでいて思い出していました。

若気の至りっていうか、あの頃はかなり痛かった…

そんな個人的なことは置いといて、久しぶりに面白いSF作品を読めました♪

喫茶店ではケーキしか食べなくて、実はカキ氷もすごく食べたかったのですが、合計金額が本一冊分より高くなりそうなのでグッと我慢しました。

私の遺伝子は「食べろ~食べろ~」と言っていましたが、そこは理性の勝利です☆

あぁ、自由ってけっこう辛いものなんだなぁ…