私的図書館

本好き人の365日

六月の本棚 『ムーミンパパ海へいく』

2008-06-30 23:53:00 | 本と日常
雨が降ったりやんだり。

もうじき夏がやって来ます。

心の中も雨模様。
落ち込んだり、悩んだり、笑ったり、ふっきれたり、コロコロ変わるお天気みたいに振り回されてばかり。

感情って不思議ですよね。

喜怒哀楽のどれか一つが欠けても、そればっかりになってしまっても、人間って不安定になってしまいがち。

自分の心なのに自分の自由にならない。

そんな時、あなたならどうしますか?

さて今回は、そんなことはちょっと横に置いといて、誰もが知っているのにあまり知られていない、カワイイキャラクターのお話を紹介したいと思います♪

フィンランド生まれの作家、トーベ・ヤンソンさんが生み出した、どこかユーモラスで、変わった生き物!

ムーミン・シリーズの一冊!!

ムーミン一家が住み慣れたムーミン村を飛び出して、海に浮かぶ燈台の立つ島に住み着くまでを描いた、*(キラキラ)*『ムーミンパパ海へいく』*(キラキラ)*です☆

このお話で、ムーミントロール(ムーミンの本名です♪)とムーミンパパ。
ムーミンママにちびのミイは、住み慣れたムーミン村を出て、ボートに乗って旅立ちます。

自分たちが本当に住み着く場所を求めて。

ムーミンといえば、臆病なスニフや、優しいスノークのお嬢さん、ニョロニョロたちに、いつも旅をしているムーミンの親友スナフキンなど、魅力的な登場人物がいっぱいいますよね?

ところが今回はそんなみんなは登場しません!

登場するのは、ムーミントロールに、ムーミンパパとムーミンママ。
養女になったちびのミイに、ムーミンたちが住み着くことになる島にたった一人で住んでいる漁師。
そして、何でも凍らせてしまう冷たいモラン。

ムーミンパパは自分が一家の大黒柱として、役に立つところを見せようと、リーダーシップをとろうとするのですが、自分の満足するような結果が得られません。

ムーミンママも、そんなムーミンパパを優しくフォローしようとするのですが、なにもかも違う島の暮らしに、ついついムーミン村のことをなつかしく思ってしまいます。

ムーミントロールはムーミントロールで、自分のことを気にかけてくれない両親に、不満をおぼえながら、自分ひとりの世界を作ろうと苦労します。

そう、このお話では、ムーミンたちの心の中に焦点があてられているのです!

ムーミンパパが、燈台のある島にたどり着き、海を調べるところが印象的です。

ムーミパパが思い描いたような理想の世界はそこにはありません。
失敗し、検討はずれなことに苦労し、落ち込み、八つ当たりし、自信をなくしかけた時、ムーミンパパは海と向き合います。

海は生きている。

海を自分の思い通りにしよう、理解しようと苦労しているムーミンパパ。

その姿が、他人を思い通りにしよう、他人の行動を理解しようとして苦しんでいる人間の姿に重なります。

または、自分の感情を思い通りにしよう、自分の感情を理解しようとしている自分の姿にも…

海は平和な時ばかりではありません。

時に荒れ狂い、命さえ危険な目に遭わせることだってある。

ムーミンパパは海に語りかけます。

「おまえさんはあらゆる方法でわれわれを苦しめた。でも、うまくいかなかったね。われわれはなんとかかんとかきりぬけてきた。…(中略)
 わしがこんなことをいうのも、つまりは―おまえさんがすきだからさ」

テレビアニメの「ムーミン」や、キャラクターとしてのムーミンなら知っているけれど、原作は読んだことがないというあなた。

本の中のムーミンは、カワイイだけじゃなくて、いろいろなことを考えさせてくれる、いろいろなとらえ方のできる、とっても魅力的な内容となっています☆

「いったい、どうしたというんだろうな」
 むすこがいってしまってから、ムーミンパパはたずねました。
「春のめざめよ。あの子自身でも、気がついてはいないけど」

自分の中の思いが、時に自分自身をがんじがらめにしてしまい、身動きがとれなくなってしまうことがあります。

それは、誰にも起こること。

あの優しいムーミンママでさえ、そういうことはあるのです。

そんな時、一人になることはとても大切。

自分と語り合って、自分の体の声に耳を傾ける。

そして、誰かがそばに居るってことは、もっと大切。

あたたかいお茶を飲んで、今日あったこと、考えたことをおしゃべりすること。

どんなに頑張っても、ムーミンパパは燈台の明かりをつけることはできませんでした。

頑張ってもできないことはたくさんあるのです。

でも、意外な方法で、燈台の明かりは戻ってきます。

どうか、そんなラストシーンをご自身の目でお確かめ下さい☆

では、最後にムーミントロールのこんなセリフで…



「人間についてだって、おんなじですよ。まず、すきにならなくちゃ―」











トーベ・ヤンソン  著
小野寺 百合子  訳
講談社文庫




闇もなほ

2008-06-14 23:52:00 | 本と日常
夜の帰り道。

蛍を見ました。

今年初めての蛍です。

キレイだったなぁ~

普通に駐車場にいました。

自然だけがとりえみたいなところだから…

夏の夜には蛍がよく似合います。
あ、まだ梅雨明け前か。



 夏は夜。
 月の頃はさらなり。
 闇もなほ、
 螢の多く飛びちがひたる。
 又唯一つ二つなど、
 ほのかにうち光りてゆくもをかし。

         (枕草子)


『お伽草紙』

2008-06-13 23:47:00 | 本と日常
昭和23年の6月13日の深夜、山崎富栄と共に玉川上水に入水した太宰治。

その太宰治を偲んで、誕生日の6月19日には、東京三鷹の禅林寺で桜桃忌の会が開かれます。

「桜桃」とは「さくらんぼ」のこと。

太宰は入水する直前に『桜桃』という題名の作品を発表していて、また、この季節にさくらんぼが真っ赤な実をつけることから、太宰治と同郷の作家、今官一(こん かんいち)が、「桜桃忌」(おうとうき)と名付けたそうです。

今日は、太宰治の作品『お伽草紙』を読みました。

太宰治の作品では『女生徒』と『斜陽』が好きです。
『斜陽』の中で貴婦人然とした「お母さま」が月夜に庭でオシッコをするシーンには衝撃を受けました。

『お伽草紙』では、日本の昔話、「こぶとりじいさん」「浦島太郎」「カチカチ山」などが、太宰風に解釈され、新しい物語に組み立て直されています。

「カチカチ山」は、おじいさんとおばあさんに悪さをした狸を、兎がやっつけるお話しですが、太宰は兎のやり方が、あまりにも男らしくないとし(柴刈りをさせてその背中に火をつけるとか、泥の舟に乗せて沈めるとか)、狸を三十を過ぎた中年男、兎を十六歳の処女だとして、若すぎる女に懸想した男を、潔癖すぎて、男を嫌悪の対象としか見ない少女が、無慈悲に残酷な手段で切り捨てる物語としました。

どこまでも醜く描かれる狸(それでも彼なりに少女を愛している)を、散々な目に合わせて苦しめ、ついには泥舟に乗せて沈めてしまった後、兎はさも嫌そうに自分の顔をぬぐってこう言うのです。

「おお。ひどい汗。」

人間の中には、こうした残酷な一面、愚鈍な一面が確かにあります。

ある意味救いようのないしかたのない生き物。

もっとも、救おうとすること自体、人間の持つ欲への色気なのかも知れません。

太宰治の作品には、こうした人間のしかたのなさが多く描かれているような気がするのですが、不思議と読み終わると、書いてあることと反対の、人間のいいところ、愛すべきところが自分の頭の中に浮かび上がってきます。

不思議な作家さんです。

折りしも今日は太宰治の命日。

一年に一度くらい、彼の作品を読み返すのは、いいものです☆





紫陽花

2008-06-12 23:59:00 | 本と日常
岐阜県も梅雨入りして雨の日が続いています。

うちのアパートのお隣は、お寺の墓地になっているのですが、そこへあがって行く道の両側に、紫陽花がきれいに咲きました。

雨の日は好きです。

土壌が酸性だと、紫陽花の花は青くなるとどこかの本で読んだ記憶があります。

本当かな?





六月の名言集

2008-06-09 11:44:00 | 本と日常
死にゆくものがかたみの言葉をささやくとか、幻を見るとか、

ひときわ美しいおもかげを残して去っていくとかいうようなことは、お話の本以外にはめったにないことであって、

多くの別れゆく魂を見送ったことのある人は、たいていの人にとって死は眠りのように自然にかつ簡単に訪れるものだということを知っている。

ベスがかねがね願っていたように

「潮はらくに退(ひ)いていった」。










         ―オルコット「続・若草物語」吉田勝江訳 角川文庫―




マイ・ディア

2008-06-08 19:43:00 | 本と日常
小説家、氷室冴子さんが、6月6日、東京都内の病院で亡くなられたとのニュースを読みました。

51歳。
肺がんだったそうです。

氷室冴子さんの作品というと、コバルト文庫の『なんて素敵にジャパネスク』や、スタジオジブリで映画化された『海がきこえる』などが有名ですが、私は『レディ・アンをさがして』が好きだったし、エッセイ『マイ・ディア―親愛なる物語』にいたっては、今も常に手元に置いて、何度も何度も読み返していました。

ここで本の紹介をさせて頂く時、いつもこの『マイ・ディア―親愛なる物語』の中で氷室さんが語るように、楽しく、魅力的に作品を紹介できたらいいなぁ、とお手本にさせてもらっていたんです。

『リンバロストの乙女』も、『昔気質の一少女』も、『八人のいとこ』も、この本で出会いました。

『赤毛のアン』で、マシュウに向けた温かい目。
モンゴメリとオルコットを比較している、ちょっと辛辣なコメント。

家庭小説を愛するがゆえに、その作品たちを大切に思っているがゆえに、突っ走ってしまう気持ちと登場人物たちに対する友人のような厳しい目が、とってもとっても氷室さんの性格が出ていて楽しかった☆

『マイ・ディア―親愛なる物語』

この本と出会わなかったら、私の人生は違うものになっていたでしょう。

氷室冴子さん。

ほんとうにほんとうに、ありがとうございました。

心より、

心よりご冥福をお祈り致します。

これからも、おすすめの本を読み続けていきます。

どうか、安らかに、

願わくば笑顔で、

お休み下さい。



気になる呼び声

2008-06-06 23:56:00 | 本と日常
うちの近所の総合病院では、カルテを電子カルテに切り替えました。

それをきっかけに、今まで呼び出す時、患者さんの名前で呼び出していたのをやめて、受け付け番号で呼ぶことに。

確かにたまに知った人が呼ばれたりすると、「おや? あの人何の病気なんだろう?」と知らず知らずに気になっていました(狭い地域なので)。

これも個人情報保護のためかな?

天井近くの表示版に番号が表示され、看護師さんも番号を呼ぶけれど、おじいちゃんおばあちゃんは素知らぬ顔。

まぁ、自分の名前なら他のことをしていても呼ばれたら何となく気が付くものだけれど、番号じゃそういうわけにはいかないし。

それに番号の順番も、決して診察の順番じゃないみたい…

結局、誰もこないものだから、業を煮やした看護師さん、最後には患者さんの名前を呼んでいました。

あはは、意味ない(笑)

使い方や説明のしかたには、まだまだ改善の余地があるけれど、コンピュターやネットワーク化は、体の不自由な方やお年寄りには便利な道具になりえると、個人的には思っています。

それに中には、インターネットのオークションで車が安く買えると話しているおばあちゃんがいたりして、逆にビックリ!

なかなか侮れません☆

うちの両親も、まだ60代そこそこなのに、最初すすめた時は全然覚える気がなかった携帯電話。

ところが孫が生まれて写真がメールで送ってもらえると知って、必死で覚えようとしていました。

恐るべきは孫パワー。

やっぱり好きなもののためなら、人は学んだり覚えたりするものなんですね。

 「好きこそものの上手なれ」

いっそ病院の呼び出しも、孫の名前にしてもらったらいいのに☆




『ほとんど無害』

2008-06-04 22:29:00 | 本と日常
朝から作業の音。

夜勤明けで寝ていたら、アパートのすぐ隣にある駐車場で、植え込みの手入れが始まりました。

うちの駐車場は、周りがグルリと生垣に囲まれているのです。

ずいぶん枝が伸びていたからなぁ~

車のいない昼間にやっちゃおう、てつもりか…

窓からのぞくと(本当にすぐ隣なんです)自分の車の置かれているところだけ残して、植木がきれいに散髪中。

あぁ、車が邪魔で手入れできないんだ。

しかたがないので車でおでかけ。

別にちょっと車を移動させればいいようなものの、作業をしている人に、気を使って車を移動させたと思われたくないので、偶然出かけた風を装います。

いや、なぜ装う? 自分?

と、とにかく、平日の昼間に行くあてといったら、本屋さんしかありません。

某国営放送の番組で、本の選び方が変わってきた、といっていました。
なんでも最近はランキングに載っている本しか売れなくて、人気のない本はすぐに返品されてしまうのだそうです。

機械にデーターが入っていて、どの本を平台に置き、どれを棚に並べ、どれを”抜き取る”かまで機械で決められているのには驚きました!

売れてる本がいい本ってわけじゃないのに…

本屋さんをグルグル回って誰も知らない面白い本を見つける楽しみは、商業主義にはむかないみたいですね。

しかし生垣の剪定が終るまでは帰れないので、本屋さんをグルグルして来ました☆(いや、別に帰ってもいいとは思うんですけどね…)

とりあえず、よしもとばなな(作家)さんと押井守(映画監督)さんの対談本を読んだり、2008年の本屋大賞に選ばれた伊坂幸太郎さんの作品をつまみ読みしたり。

ついでに先月注文しておいたジェローム・K・ジェロームの

*(キラキラ)*『ボートの三人男』*(キラキラ)*

を受け取り、グルグル回って見つけたダグラス・アダムズの『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズの最終巻、

*(キラキラ)*『ほとんど無害』*(キラキラ)*

と、前から読みたかった上橋菜穂子さんの

*(キラキラ)*『精霊の守り人』*(キラキラ)*

を買って来ました♪

私も時にはランキングを参考にします。
それで知らなかった作家さんに出会ったり、面白い本に出会えたりするので。

でも、やっぱり最初の一行を読んでみて、買うかどうかは決めます。

たまにどうしようもない本に出会うのも本屋さんでの楽しみなんですけどね☆



水無月(みなづき)

2008-06-01 23:34:00 | 本と日常
今日から六月。

六月は水無月というから、雨が降らないみたいに聞こえるけれど、旧暦の六月は今でいう七月あたりなので、もっと日差しが強く梅雨も明けた頃のこと。

今の六月は梅雨入りまじかで雨も多い。

衣更えといっても学生と違ってそんなにすることもないので、そうめんを茹でて食べました☆

薬味はネギと大根おろし!

他になんにもない時は、買い置きのお茶漬けの素をつゆの中に入れて食べます♪

これが美味しいんだって!