私的図書館

本好き人の365日

石田甚太郎 『ヤマトンチュの沖縄日記 -ライトブルーの空の下で』

2014-05-25 13:30:04 | 日本人作家

沖縄戦の様子を語る沖縄の人々の声がズッシリと響く本でした。

石田甚太郎さんの『ヤマトンチュの沖縄日記 -ライトブルーの空の下で』(創樹社)




ヤマトンチュの沖縄日記―ライトブルーの空の下で (1984年)

著者 : 石田甚太郎
創樹社
発売日 : 1984-08


沖縄戦から38年後の1983年。ヤマトンチュである作者は、沖縄に家を借り暮らし、沖縄の空気、土、人々の雰囲気を肌で感じながら地上戦の記憶に耳を傾けます。

鳴き声で敵にみつかるといわれ、赤子の口を手で塞ぐ母親。

捕虜になるくらいなら自決せよと迫る日本兵がいる一方で、民間人は投降すれば殺されないとすすめてくれる日本兵も。

砲弾が飛び交い、すぐ隣にいた家族が、同級生が倒れていく。

「ひめゆりの塔」の女学生たちも悲劇だが、赤子や子供を連れてあの地獄を逃げ惑った母親たちの塔こそ建てるべきだという声にジーンときました。

1945年敗戦。

沖縄戦で亡くなった人は二十万人ともいわれています。

 

戦後、アメリカ軍の基地が置かれたことで起こった様々な問題。現在にまでつながる沖縄の複雑な立場や、琉球王国時代から1609年の薩摩藩による侵攻、そして大和民族(ヤマトンチュ)による支配の歴史にもふれ、沖縄の、ウチナンチュの中のヤマトンチュや、天皇家に対する一部の意見も紹介されています。

古い本なので、現在とは少し違うところがあるかも知れませんね。

 

以前沖縄を訪れた時、旧海軍司令部壕やひめゆりの塔、平和記念公園を見学しました。

沖縄は好きです。まさにライトブルーの空が広がり、目前には美しい海。食べ物もおいしく、人々はやさしく接してくれました。

モノレールにも乗ったし、首里城や美ら海水族館にも行き、国際通りで買い物も楽しみました。

 

今年も6月23日に「沖縄全戦没者追悼式」が沖縄で行われます。



 

 


柏葉幸子 『つづきの図書館』

2014-05-15 22:46:28 | 児童文学

柏葉幸子さんの『つづきの図書館』を読みました。

主人公の女性は勤めていた会社が倒産。パートの仕事も四十をすぎていては探すことさえ難しく、家賃の支払いも心配なくらい。

そこに舞い込んだ生まれ故郷からの手紙。

市役所の福祉課が、顔も憶えていないような伯母の世話を頼めないかと問い合わせてくる。

独り暮らしで親しい者のいない主人公は、断るくらいのつもりでその町を訪れるのだが・・・

 

著者 : 柏葉幸子
講談社
発売日 : 2010-01-15

 

 

入院しているのに皮肉屋で口のへらない伯母さんがなかなかイイ♪

主人公が四十過ぎてるからって、「若い娘でもあるまいし」とか、「額のシワ」とか言われすぎなのはどうなんだろう?(苦笑)

なんだかんだあって、伯母さんの家、自分が幼い時に過ごした家で寝泊まりしながら病院に通うことになる主人公。伯母さんの人徳なのか、不思議な縁があったのか、昔とっておいた資格のおかげで、町の図書館の小さな別館で、何とか見習い司書として雇ってもらえることにもなります。

ここまででもけっこう魅力的な設定なんですが、ここからがこのお話の真骨頂!

 

ある日、めったに人の上がっていかない図書館の二階で女性が出くわしたのは、上半身裸の、小太りの、白いパンツをはいただけの、八の字ひげをはやしたおじさん。それもどうも外国人みたいで、頭の上には王冠をかぶっていて、その、なんていうか・・・・・「裸の王様」!!!

そして王様はいうのです「青田早苗ちゃんのつづきが知りたいのじゃ」「おお、司書どの、さがしてくれるか?」

 

!!!!!!!!!!!!!!!

 


物語のつづきじゃなくって、図書館で自分たちの物語を借りてくれた子供のつづき、その後が気になってしかたがない物語の登場人物たち!!

物語の世界に入ってしまうというのは、『はてしない物語』や『ナルニア国物語』などの例がありますが、物語の登場人物が現実の世界に出て来てしまうなんて珍しい!(新井素子の『絶句!』とか探せばあるかも知れませんけど♪)

四十すぎた(しつこい?笑)主人公が、物語の登場人物たちをかくまいながら、かつてその本を読んでくれていた子供たちの「つづき」を探し求めます!

笑えて、ドキドキして、ちょっと泣けるストーリー展開はさすが柏葉幸子さん。

不思議なことがたくさんおこっているのに、図書館が舞台だと不思議と納得できてしまうのもなんだか不思議。

とてもワクワクしながら「つづき」が知りたくて、ページをめくるのももどかしいくらいにどんどん読みすすめることができました。

「裸の王様」だけじゃなくって、次から次といろいろなお話の登場人物、いや、人物以外も飛び出してくるのだから大変なことになります(笑)

楽しいひと時でした☆


もぐら 『見とこ、行っとこ、トコトコ東海』

2014-05-08 18:00:00 | 日本人作家

もぐらさんの『見とこ、行っとこ、トコトコ東海』を読みました。

県民性マンガで有名になった方ですね。

 

 

著者 : もぐら
ジェイティビィパブリッシング
発売日 : 2014-03-25

 

まずは、東海地方なのに三重が入っていないのが納得がいかない!!(笑)

なんていうか、東海三県で三重じゃなくて静岡が入っているのが、東海人として言わせてもらえばはありえないでしょ?

三重は同じシリーズの関西編で取り上げたので今回はなしとのことですが、もう一度登場しても全然かまわなかったのに~

物作り愛知ということで、トヨタやノリタケ、八丁味噌に静岡のヤマハや飛騨の匠などが取り上げられていますが、全体的にグルメ情報が多いかな?

グルメというなら、ういろうやココイチや五平餅も取り上げて欲しかった。

東海地方が関東や関西と違うのは、和洋折衷じゃなくて東西折衷のような、堅実でお金にうるさく、地元愛が大げさでも淡白でもなくて、ほどほど都会でほどほど田舎のすごくバランスのとれた土地柄?

まぁ、多少身内で固まるようなところもあるので、タモリや村上春樹にはあまり気に入られていないようですけど(苦笑)

毎回その地方の特色を紹介しながら、ちょっといい話も盛り込むのがこのシリーズなので、伊勢湾台風の話とか取材して欲しかったなぁ。

あと名鉄とか、松坂屋とか、丸栄とか、ココイチとか、電力王福沢桃介とか、養老の滝とか、各務原飛行場とか、長島スパーランドとか(笑)

地元が取り上げられると、ついついあれもこれもといいたくなってしまいますね。 

 

童謡「ずいずいずっころばし」の歌詞で「茶壺に追われてとっぴんしゃん」というのが、徳川家に献上するお茶の入った壷(茶壺)が通ると平伏しなきゃいけなかったので、戸をぴしゃんと閉めて(戸っぴんしゃん)やりすごした、という解釈は初めて知りました!

あと、岐阜県民ですが、「関ヶ原ウォーランド」は行ったことないです。

あんなカオスな場所だったとは(笑)

岐阜県は山が縦横に走っているので村落が孤立しやすく、地域性があるというのはそうかも知れませんね。

山を越えて行くって、なかなかしないから、逆に川沿いに下って、名古屋とかに出た方が早い場合が多いですし。

尾張と三河の関係も納得(苦笑)

作者のもぐらさんが、あまりアクティブな方ではないようなので(笑)、ちょっと無理かも知れないけれど、潮干狩りとか、山菜採りとか、渓流釣りとか、ハイキングや山登り、キャンプにスキーと、東海地方を楽しむ方法はたくさんあるので、もっと紹介して欲しかったです。

こういう県民性とか地元の話題って面白いですね。

楽しく読書できました。

 



 




 


サツキとメイの家

2014-05-06 23:03:18 | 日々の出来事

「サツキとメイの家」を見て来ました♪

ジブリ映画『となりのトトロ』 に登場したオンボロの家です!

日本建築に西洋建築をくっつけたような姿は印象的でしたね。

 



ちょうど「サツキとメイの家」のある「モリコロパーク」というところで、日本各地のグルメが満喫できる「全日本うまいもの祭り」が開催されていたので、そのついでに見学してきたんです。

「うまいもの祭り」には東北のお店も出店していたので、三陸のホタテとウニ、仙台の牛タンを使ったつくね串を食べて来ました!!

美味しすぎてちょっと食べ過ぎました(苦笑)

 

 

「サツキとメイの家」はその名の通り「家」とその内部を再現しただけなのに、すごい人気でした。

今度 USJ で「ハリーポッター」の世界を再現した 『The Wizarding World of Harry Potter(ウィザーディングワールドオブハリーポッター)』が開業しますが、日本でもソフトはあるんだから、ハリポタくらい大々的な施設を作ればいいのに。

ジブリ美術館の東海地方支店みたいな?(笑)

田舎にはいまだに「トトロ」みたいな風景がいっぱい残っているんですけどね。

たくさん食べて、たくさん歩いて、とても充実したGWでした。