こんなにも活躍しない主人公がかつていただろうか?(笑)
森見登美彦さんの久しぶりの長編小説、
『聖なる怠け者の冒険』(朝日新聞出版)
を読みました。
森見さんといえば京都!
今回も祇園祭本祭の前日に行われる宵山で賑わう京都の町を舞台に、アホだけど憎めない奇妙な面々が駆け回ります!
ん? いや、中には全然駆け回らない人もいるか(苦笑)
主に週末の京都に現れ、困っている人を助けて回る謎の怪人「ぽんぽこ仮面」
ひょんなことから「ぽんぽこ仮面」の後継者に指名されてしまった社会人2年目の主人公、小和田君は、休日をただただのんびり過ごしたいがために、あとやっかい事に巻き込まれたくないために、この頼みを断り続けるのですが・・・・・・
何のことかわからない?
いいんです、もう「ぽんぽこ仮面」については深く考えないで下さい。
とにかく、世間から見たら怠け者としか思えない主人公小和田君が、作者森見登美彦さんの分身に見えてしょうがない(笑)
とにかく何もしたくない。
のんびりしたい。
仕事も締め切りも忘れてただただ退屈にひたっていたい・・・・・・
気持ちはわからなくはないけれど、やっぱりファンとしては作品を書いて欲しい(苦笑)
眠る主人公。
京都の町を迷い続ける週末探偵。
休日をめいいっぱい楽しむことに情熱を燃やすおかしなカップル。
そして、食べて食べて食べつくし、それでも食べきれずに店内が死屍累々で埋まるという「無間蕎麦」!!
達磨が。
狸が。
アルパカが。
祭囃子に誘われて京の町へ!
北白川ラジウム温泉で湯につかり、電飾またたくレストラン菊水のビアガーデンで土下座をし、幻のお酒「テングブラン」に舌鼓を打つ。
「ぽんぽこ仮面」はステキにカワイイ狸のお面をかぶった怪人です。
旧制高校のマントを身につけ、八兵衛明神の使いと名乗り、人々を助けてまわります。
「困っているならば、我が輩の手を掴むがいい」
主人公が活躍すると誰が決めた?(笑)
馬鹿馬鹿しくもなぜか愛しさいっぱいのキャラクターに、やわらかでキッチュのきいた言葉の数々。それは京都の町にとても合っていて、まさに森見ワールド!
私にお金があったらエキストラを雇って、赤い浴衣の女の子や狸のお面をかぶった人々を仕立て上げ、宵山で賑わう夜の京都に意味もなく出没させるとかしたい!
意味のないところがとっても面白そう♪
この本を読んでいると、そんなイタズラ心がムクムクとわきあがってくるんです!
いやぁ、ゆかいゆかい。
面白い小説でした☆
聖なる怠け者の冒険 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2013-05-21 |