私的図書館

本好き人の365日

葉室麟 『秋月記』

2012-02-29 19:21:08 | 日本人作家

図書館で借りた本を読まなくちゃいけないのに、生来の移り気が頭をもたげて、またまた他の本を先に読んでしまいました。

『蜩ノ記』で第146回直木賞を受賞された葉室麟さんの作品。

 

 『秋月記』(角川文庫) 

 

です。

九州の小藩「秋月藩」を舞台にした時代小説。

秋月藩は豊臣秀吉の家臣として有名な黒田長政の子孫が治める藩ですが、本家である福岡藩というのが別にあって、支藩と呼ばれるいわば分家のあつかい。

その福岡藩が何かにつけてちょっかいを出してきて、主人公である秋月藩の家臣たちは、本家から秋月藩を守り抜こうとそれぞれのやり方で侍(さむらい)としての生き様を読者に見せてくれます。

力なき者が、いかにして力ある者に立ち向かうのか…

理不尽な要求。力にまかせた妨害。金と流言が飛び交う中、命を落とす者も現れ、ついに秋月藩は本家の支配下に置かれてしまいます。

前半から中盤までのあらすじはざっとこんなものですが、確かに直木賞を受賞した『蜩ノ記』に比べ、強引なところがないわけではありません(十七人対一人の対決とか、いきなり大風が吹くとか♪)、ラストも静かな中にドラマチックなものがあった『蜩ノ記』に比べると、スッキリしない感じ。

でもでも、選考委員はちょっと突き抜けた感じの仙人みたいな『蜩ノ記』が好みかも知れませんが、私は個人的に泥くさいこの『秋月記』もとっても面白かった!!

ちょっと生意気なことを書くと、忍者みたいなのが出てきたり、戦いのシーンがけっこう細かく描写されていて、葉室麟さんの筆が「時代小説の売り」に突っ走っているのはよくわかるのですが、葉室麟さんの「売り」は薄幸の女性「いと」や彼女を助ける久助、主人公を慕う男装の女性漢詩人、猷(みち)といった、人々の”想い”を表現した描写なんですよね。

『蜩ノ記』ではそこがちゃんとメインになっていました☆

でも、作者のそんな気負いも嫌いじゃない!

今回、運命に翻弄されながらも健気に生きた「いと」には一番泣かされました。

ちょっと強引な「十七人対一人」の対決シーンだって、男の友情に熱いものがこみあげてきて思わずジーンときましたし♪

悪人をあまり描写しないのは葉室麟さんの作風なのかな?

老かいな古狸、家老の宮崎織部とか、柔術の達人とか、魅力的なキャラクターもたくさん出てきます。

己を捨てて他者のために生きる…

「正しいことだけをすればいいというのは怠け心だ」

というセリフが印象的。

これはあくまで小説の話ですが、自分が悪役になってまで守るべきものを守るために、静かに身を引くことのできる大人がどれだけいることか…

残念ながら、小説の設定を現代にもってくると、とたんにウソくさくなってしまうのでは、と思ってしまいました。

自分が損をしたくない。自分が傷つきたくない。自分の身を第一に考えるのが当たり前でしょ、と何の臆面もなく口に出してしまう。そんな薄っぺらな考えが「常識」になりつつあるような…

テレビで言い訳しかしない政治家や役人、企業のお偉いさんたちをみているとそう思ってしまうんです。

ちょっと飛躍しすぎですね(苦笑)

誰も見ていなくとも、誰一人評価してくれなくとも、自分だけがわかっていればいい。

本人が望むと望まざるとに関わらず、美しく咲いた花の匂いは風に運ばれそれとわかるもの。

そんな言葉がピッタリの本でした。

フゥ。

いい読書ができました☆

 


石田衣良『スイングアウト・ブラザース』

2012-02-29 01:32:48 | 日本人作家

確定申告も無事に済ませたので、ちょっと病院に行っていつも飲んでいる薬を出してもらいました(たいした病気じゃありません☆)

昨年の年末に受けた検査の結果がちょっと悪くて、お医者さんから摂生するようにいわれていたのですが、私が毎日の食事内容とそのカロリーを記録する「レコーディングダイエット」で少し痩せたので、医者の先生と看護婦さんがホメるホメる。

婦長さんに「痩せてカッコよくなったんじゃない?」と笑顔でいわれましたが、私はその時マスクをしていて顔の半分が隠れた状態だったので、なんだか素直に喜べませんでした(苦笑)

きっとホメて伸ばす方針の病院なんでしょうね~

帰りに本屋さんでちょっと休憩。

読んだのは、石田衣良さんの、

 『スイングアウト・ブラザース』 (光文社)

親友として付き合うには「いい奴」なんだけれど、女性に対してはなかなか積極的になれない、いい歳の男3人が、モテ男になるために次々と出される課題に挑戦していきます。

「スイング・アウト」というのは野球でいう空振り三振のことなので、女性に振られる(モテない)男たち、という意味かな?
課題のひとつとして手当たりしだいナンパするというのは面白かった♪

顔や経済力はすぐには改善できないけれど、教養は身につけることができるといって、本屋さんで自由に3冊の本を買ってくる、なんて課題もあります。

少子化や晩婚化、30代前半の男性や女性の約半数が交際相手がいないという現代の実情を踏まえながら、一歩踏み出したら案外誰でもモテ男(女)になれるよ、と石田衣良さんは言っているようです。
ま、小説というよりも、肩の力を抜いて読める自己啓発本といったところかな?

男性に求めるコミニュケーショ能力として、「女性の話を聞く能力」というのは納得でした。

さあ、次回も摂生につとめて、せいぜい婦長さんにからかわれてこようかなぁ~

 


スーパーな人々

2012-02-28 19:46:28 | 日々の出来事

我が目を疑うってこういうことをいうんですね。

スーパーで買物をしていたら、大根売り場であれでもないこれでもないと、場所を占領してとっかえひっかえ熱心に品定めをしているご婦人をみかけたんです。

私も大根が欲しかったので、早く選んでくれないかなぁ~と少し離れて待っていました。

ご婦人が選んでいるのは、半分に切られて透明ビニールに入れられた大根。それを次から次へと手に取っては首をかしげ、戻しては別の大根を手に取っていきます。

なにげなく眺めていた次の瞬間、私は気づいてしまいました!

そのご婦人、なんと次の大根を手に取る瞬間、指をペロッとなめているのです!

よく新聞や本のページをめくる時に指をなめる人がいますよね(アレ見ているだけで苦手です)

たぶんページがくっついてめくりにくいとか、そういうことで指をなめるんだと思いますが、ビニール袋に入った大根を手に取る時なんて関係ないじゃん!!

クセがつい出ちゃった?

いやいやいやいや、引っ込めとけよ! そんなとこで出しちゃダメだよ!

小さい子が公衆の面前でズボンを脱いでお尻を出したら「ダメでしょ」と叱れますが、相手が年配のご婦人では、もはや呆然と立ち尽くすことしかできませんでした。

そのご婦人は満足のいく品物が見つかったのか、すぐにその場を立ち去りましたが、さすがにその大根を買う気は起きませんでした。

はぁ、目撃してなかったら気にせずに買えたのに…

 


OCNカフェ終了によせて

2012-02-27 00:22:14 | 日々の出来事

8年前、パソコンを初めて買って始めたインターネット。

その時から続けていた「OCNカフェ」が今月をもってサービス終了。

先程最後の更新をしました。

過去の日記はすべてこのgooブログに移行させてありますが、さすがに寂しい…

でもまあ、嘆いていても始まらないので新たな気持ちで明日から書いていこうと思います。

最後の日記をいちおうアップしておきますが、これは記念として。

このgooブログ「私的図書館」もここからが新たな出発ということで。

…書いてる内容はまったく進歩しそうにないんですけどね。

 

 

 

―「OCNカフェ」より―

 閉館のお知らせ~長年のご利用ありがとうございました~

始まりがあれば終わりがあるもの。

サービス終了にともない、この「私的図書館」も閉館する時がやって来ました。

わたしがOCNカフェで日記を始めたのが2003年の4月から。
自分でも飽きっぽい性格だと思っていたのに、カフェ友とのコメントのやりとりや、お互いの日記を読むことが楽しくて、8年と10ヶ月、続けてくることができました。

ネット初心者のわたしに付き合っていただき、本当に感謝しています。
ありがとうございました☆

好きな本、読んだ本を思いつくままに紹介してきたので、ずいぶん読みにくい文章だったと思います。
グチや弱音も多かった(苦笑)

たくさんの人にご訪問いただき、また多くのコメントをいただきました。
どれもわたしの宝物です。

別れはいつも苦手なので、あまりくどくどと書かずにこのくらいで最後のカフェ日記を終了したいと思います。

最後に、わたしのお気に入りの詩を☆





 我々の親しいものたちは

 あちこちにやしろを築いた、

 そこで我々の知っている神々に祈り、

 そしてささやかな美しい家に住む






    ―イギリスの詩人 ルーパート・ブルーク―






私にとって自分と同じ感性を持つ人々は、例えネットの中の世界だったとしても、親しい友です。
そしてその人々が書き残した作品は、彼らのやしろであり、そうした作品に出会うたびに、私は喜びを感じます。
そうした人々の作品が、私にとっての美しい家であり、再び訪れたいささやかな場所であり、わたしの歩む路の光です。




長年のご利用ありがとうございました。
皆さまの歩む未来に、いつも誰かの照らす光があることをお祈り申し上げます。

          ―ホーク―
      
           2012.02.27.      

 


心地よく生きるための生き方

2012-02-26 00:48:09 | 日々の出来事

アパートが競売にかけられるということで、ちょっと引越しを真剣に考え始めました。

身辺整理というか、余分な荷物が増えたなとは前から思っていたんですよね。

捨てられなかった領収書の束に、雑誌、着なくなった服に、本棚からあふれ出している本。

人間一人が生きていくだけなら、もっと荷物は少なくできるはず。
理想は寅さんみたいにトランクひとつ♪

ま、そこまで極端でなくてもいいので、軽トラ一台に乗るくらいにならないかな?

これが数年前なら本棚2つ分のビデオテープとか、大量のCDとかがまだ加わっていましたからね。(実家にはラジオ放送を録音した大量のカセットテープもあります)
あぁ、デジタル化ってありがたい!

本も読んでしまったものは思い切って売ろうかな?
でも角川文庫の「マイディアシリーズ」とか、村岡花子さん訳の「赤毛のアン」とか、マルクス・アウレーリウスの「自省録」とか、梨木香歩さんの本は無理。
引越すたびに持ち歩いてきたのでボロボロだけど、いつも手元に置いておきたい。

アパートは競売にかけられて万一引越すことになっても、6ヶ月くらいは猶予があるそうなので、今のうちから少しずつ片付けたいと思います。

大家さんからはアパート経営から手を引く旨、迷惑をかけてすまないとの手紙が届きましたが、少子化と不景気で過疎化の進むこんな田舎じゃ、なかなか新しい入居者を探すっていっても難しいんでしょうね。

宝クジが当たったら、アパート経営でもしてのんびり暮らそうかとも思っていましたが、そんな楽なものじゃないみたい。
もっとも宝クジなんて当たらないだろうから、私が心配する必要もないんですけど(苦笑)

アメリカの作家ソローみたいに暖炉のある小さな山小屋で森と共に暮らす、なんていうのもいいなぁ。

実家の近くの別荘地には、海外からそういう生活を目指して移住してきた家族や、陶芸家の方が住み着いているんですよね。

実際には地元との付き合いとか、学校や病院とか、いろいろ問題があって大変みたいですけど。

これも私は一生家なんて買えないだろうから、心配する必要はないんですけどね(苦笑)


 

 どうして僕らはこんなに慌ただしく、こんなに命を無駄使いして生きねばならないのか。飢えもせぬうちから餓死すると決めこんでいる。今日の一針は明日の十針などと世間では言うが、その流儀で明日の十針を節約するために今日は千針も縫ってしまう。

  ― ヘンリー・D・ソロー ―

 


『東京日記3 ナマズの幸運』

2012-02-23 21:25:15 | 本と日常

この間、数十年ぶりに図書館を利用しました。

どうしても読みたい本があって、地元の図書館の蔵書をネットで調べたら、貸し出しOKになっていたので。

これ、私にとってはけっこう勇気のいる行動でした。

実は地元の図書館には、幼なじみの女性が勤めているんですよね~
だからって別にどうということはないのですが、私が勝手に思い込んでいる、ちょっと後ろめたい過去があるんです(苦笑)

借りてきたのは、久木綾子さんの『見残しの塔』(新宿書房)と、先日感想を書いた、三山喬さんの『ホームレス歌人のいた冬』(東海教育研究所)

私が初めての利用です(実際は数十年ぶり)、と言って本の題名を告げると、すぐに職員の人が探してきてくれました。
建物は昔のままでしたが、パソコンが導入されていて、貸し出しカードも電子入力になっていました。

貸し出しカード、あれ好きだったんですけどね。
自分が何番目だとか、前にどんな人が借りたのかとか、想像するのが楽しかったのに。

幸い幼なじみには遭いませんでした。
よかった~

無料で読みたい本が読めるなんて、考えてみるとすごいサービスですよね。

活用しなかったのはもったいなかったかな?

今週はもう一冊。
本屋さんで注文していた本も受け取りに行って来ました。

芥川賞作家、川上弘美さんの書く、ウソとホントのまざったおとぼけ日記。

 『東京日記3 ナマズの幸運』 (平凡社)

相変わらず脱力できる楽しい文章♪

赤いパンツをはいて気力をみなぎらせたり、奈良ホテルの池で捕獲され、秋篠宮家に献上された四匹のナマズの幸運を祈ったり、友だちと絹の腹巻の話で盛り上った後、「そういえばこのところあたしたち、恋愛の話とか、ぜんぜんしないね」と言われて、思わず放心してしまったりする川上さん(笑)

こちらはあっという間に読み終えました。

あぁ、面白かった。

この間は会えなかった図書館勤めの同級生。
高校まで同じ学校だったのですが、ある日、彼女にこう聞かれたことがあったんです。
私が当時所属していた剣道部にY君という男の子がいたんですが「ねえ、Y君ってカッコイイよね。彼女とかいるの?」と聞かれた私。
全然関係ないくせいに「そう? けっこうだらしないよ」とわざと嫌われるようなことを思わず口に出していました。

今から思えば幼稚な嫉妬心だったんでしょうが、まさかあの一言が数十年間、私を図書館から遠ざけるとは(笑)

げに若気の至りとは恐ろしい!

ま、これはちょっと大袈裟で、たんに行くのが面倒くさいとか、他にも理由はあるのですが(だいたい彼女が就職したのはずっと後ですし)、まあ、図書館に行くと、こんなどうでもいいような学生時代の思い出がよみがえって、小さな傷口がチクチク痛むんですよ(苦笑)

後悔するようなことをするもんじゃありませんね。
たいてい気づいた時には手遅れなんですけど☆

返却日には、バレないように、こそっと返してこようと思っています。


たまには大人の話

2012-02-22 21:02:38 | 日本人作家

今日はちょっと贅沢して思いっきり食べました!

あーお腹いっぱい♪

たまにはこういう日もなくっちゃ頑張れません。

帰りにコンビニで「ザッハートルテ」も買って食べました。
チョコレートケーキの王様って呼ばれているらしいですが、これが美味しい!

甘くて苦い、ちょっと大人の味。
そえられた生クリームがとっても合います。

さすがにちょっと食べすぎたかな?

最近、大人の小説も読みました。

文豪、川端康成の背徳的でエロティシズムあふれる短編。

 『眠れる美女』 (新潮文庫)

ちまたには文学賞などを含め、「過激な性描写で人間の本質を描いている」なんて書評を書いている人をたまに見かけますが、いつもなんか違うよなぁ~と思っていました。
そういう作品もあるんでしょうが、できたらもうひと工夫欲しい…
具体名を書いちゃいますが、田中慎弥さんの「共喰い」とか、村山由佳さんの「ダブルファンタジー」とか、ちょっと前なら金原ひとみさんの「蛇にピアス」とか、村上春樹さんの「1Q84」や「ノルウェイの森」とか、そのシーンいる? と思ってしまいます。
ま、あくまで個人的な感想ですが。

せっかく文学の土俵で書くのなら、これくらいのことはしてくれないと!

川端康成さんの『眠れる美女』は、ある秘密の宿が舞台。
深紅のビロードのカーテンに囲まれた一室には、美しい、まだ少女と呼ぶのがふさわしい全裸の女体が布団に横たわり眠っています。
彼女たちは死んでいるわけではありませんが、薬か何かで眠らされているらしく、決して起きません。
そこにやって来るのはすでに年老いて男性としての能力を失った老人たち。
彼らは一晩、決して目覚めることのない少女たちと一緒に眠るためにやってくるのです。

このファンタジー!
老人の醜さと悲しさ、人形のように意志を持たぬものへの執着。人間のエゴと少女に代表される無垢なものへの憧憬。

一見女性蔑視とか男尊女卑とかの批判がきこえてきそうですが、それこそある意味ファンタジーを信じている人々の意見。老人たちを案内する宿屋の女や、伝聞でもれ聞こえる少女たちの言動を読めば、そんな表面的な描写ではないのがわかります。

老人と眠った少女なので直接的な描写が無いにもかかわらず、全体に流れるエロティシズム。
少女の細い指や桜色の爪を眺め、黒髪に指をからめる…
ある意味ゾッとする光景ですが、若い「命」を目の前にした老人たちの「命」の対比が、これほど鮮やかに浮かび上がる光景もありません。
迫ってくる「老い」に、だれもが背負っている人間としての「性(さが)」

さすが川端康成とため息が出てしまいました。

甘いだけのお菓子にも、苦いだけのビールにも、マネのできない「大人の小説」です。

世の小さいお子さんをおもちの保護者の皆さん。読書は教育にいいからと、お子さんがたまたま「川端康成」を手に取ったらどうか「有名な人だから大丈夫」なんて思わないで下さいね。
文豪と呼ばれてはいますが、決してすべてが教育にいいわけじゃありませんから(苦笑)
いや、逆に安心して読める文豪なんていないような気も…

新潮文庫のこの本には、他にも女の片腕を取り外して一晩借りる「片腕」などの作品が収められています。
解説は三島由紀夫。

たまにはこういう作品を読むのも面白いです。
さすがにこればっかりだと胃にもたれそうですけどね。


『ホームレス歌人のいた冬』

2012-02-21 23:50:15 | 本と日常

思わぬ通知が届きました。

アパートの大家さんがローンを返済できなくなって、私たちの住んでいるアパートが競売にかけられるというのです!

エ~!!

不景気の波がついにここまで!?
大家さんの豪邸がアパートの目の前にそびえているので、はじめはちょっと信じられませんでした。
でもいろいろ聞いてみたところ事実みたい…

わからないものですね。
お金の心配なんてないのかと思っていました。まだ高校生の子供もいるのに、大丈夫かな?

競売で持ち主が替わった場合、賃貸目的で保有するなら住人はそのまま継続して住める可能性もありますが、最悪、立ち退き。
その場合は新しいアパート探さなきゃ…
ここ気に入ってたのになぁ(墓地の隣だけど)

人生、いろんなところで転機が訪れますね~

最近読んだ本は、三山喬さんの、

 『ホームレス歌人のいた冬』 (東海教育研究会)

数年前、「ホームレス歌人」として朝日新聞の歌壇欄に登場し、その後消息を絶った、公田耕一(おそらくペンネーム)を取り上げたルポタージュ。

序盤は作者の想いばかりが先行し、ちょっと的外れな感じですが、いわゆる「ドヤ街」の人々が語りだす中盤から、その人生観、日々の生活、送ってきた壮絶な人生に引き込まれてしまい、最後まで読んでしまいました。

リーマンショック後、派遣切りや首切りで多くの労働者が収入と住む場所を失い、テレビで「派遣村」が話題となったのはたった3年前のことです。
2008年12月8日の朝日新聞朝刊に、初めて彼の作品が掲載されます。


(柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ


〈ホームレス〉公田耕一。この本は彼の人生に迫るものでも、ましてや真実に近づく内容でもありません。
作者は彼の痕跡を求め、横浜寿町界隈をグルグル徘徊するだけです。まるで聖地を巡る巡礼者のように…

南米で暮らしたこともある作者が、ドヤ街で暮らす多くの人が老人、特に男性が多いことを見て、「そこには希望がない」とつぶやくのが印象的でした。貧しさなら、南米のスラムの方が数倍貧しい。だが、そこには女性や子供たちの姿があった。家族がいて、明るい笑い声と希望を感じさせる何かがあった。それに比べ、日本の老人たち、いや、いまや中高年、若者たちの何と孤独で孤立してしまっていることか。

七十七歳で二十年近く路上生活や保護施設で暮らしてきた女性はその歳でようやく生まれ故郷近くの市営住宅の抽選に当たり「人生で一番幸せ」と語ります。

「たぶん神様が、ふるさとで死になさい、とプレゼントしてくれたんだと思います」

公田耕一さんの歌はもちろん、アメリカで終身犯として二十年以上収監されている、郷隼人の詠んだ歌も紹介されています。
とても考えさせられる本でした。

読書後、こんな言葉が思い浮かびました。



 私たちは忙しすぎます。だからお互いを見つめ合う時間も、互いにほほえみ合う時間も持ち合わせていないのではないでしょうか。

  ―マザー・テレサ―

 


調べもの、探しもの、お手伝いします

2012-02-20 18:18:51 | 本と日常

先日本屋さんであるマンガを探してもらったのですが、在庫が一冊あるはずだと店員さんはいっていたのに、結局3人で探しても見つけられませんでした(私と店員さん2人の計3名で探しました)

それでもどうしても読みたくって、週末に隣町の本屋を3軒回ったのですが、どこも品切れ。

しかたがないので、最初の本屋さんに戻って改めて取り寄せてもらおうと注文窓口へ行きました。

対応してくれたのはこの間の若い女の子じゃなくて、ちょっと頼りなさそうな男性。
先日在庫はあるはずなのに見つからなかった事情を説明し、注文したいと告げると、彼はパソコンをパパッと操作して、「一応探してきます」と、小さな声で言って売り場の方へ。

それから5分くらいは待たされたでしょうか。

頼りなさそうだし、二度手間だなぁ、と思っていると、なんとその男性はちゃんと一冊のマンガを持って戻って来るじゃありませんか!

「そう、これです。あぁよかった♪」

この間は三人で探しても見つけられなったのに、やるなぁ~

私が20代後半の独身女性だったらホレていたかも!

お互いむさくるしい男同士というのが残念(苦笑)

その場で購入して、ようやく手に入れることができました!!

埜納タオさんの
 『夜明けの図書館』 (双葉社)

雑誌「ダヴィンチ」で紹介されていて、読んでみたかったんですよね。

市立図書館で働く新人司書が、様々な利用者からのレファレンス(「調べもの、探しもの、お手伝いします」)の要望に、悪戦苦闘しながら答えようと奮闘する物語。

あこがれの職業に就けて、はりきりすぎてカラ回りしたり、同僚とのエピソードがあったり、それぞれのレファレンスにそれぞれの物語があったりして、絵柄はいわゆる少女マンガしていますが、楽しく読むことができました♪

欲をいうと、探している本が実在の著名な本だったりしたらもっと面白かったかな?

図書館ってあまり利用しないので、レファレンスがこんなに大変だとは思いませんでした。
自分の好きなジャンルならまだしも、郷土史とか社交ダンスのマニュアルとか、いろんな要望に答えるなんて、自分だったらちょっと無理かも。

だからマンガを探してくれた本屋のお兄さんには感謝しています。

頼りなさそうなんて、見た目で判断してゴメンナサイ(苦笑)


 


「ほとんど無害」芥川・直木賞贈呈式

2012-02-18 22:35:33 | 本と日常

先日、第146回芥川賞、直木賞の贈呈式が行われた、というニュース記事を読みました。

東京都知事に対する発言で注目をあびた芥川賞受賞者、田中慎弥さんは、今回は一言だけで挨拶を終えてしまい、会場をどよめかせていたみたいです(苦笑)

その前に挨拶された同じく芥川賞を受賞された円城塔さん。

自身の作品を評して「ほとんど無害」と発言されていたみたいですが、著作権の問題か、文芸担当の記者がSFを読まないのか、私が探した限りでは、どこの社も触れていなかったので解説すると、この「ほとんど無害」という言葉はイギリスの有名なコメディSF『銀河ヒッチハイクガイド』に出て来る言葉です。

銀河のありとあらゆることに言及しているこの銀河ヒッチハイクガイドには、もちろん「地球」のことも書いてあるのですが、銀河の辺境にある地球の説明はたった一言。
「ほとんど無害」

いやぁ、SFファンとしては放っておけなくて(苦笑)

円城さん、ちゃんと伝わってるよ!

田中慎弥さんも自分ばかりが注目されてしまって「他のお二人に悪い」と恐縮されているとか。
マスコミなんて一時的に持ち上げておいて、飽きればポイですからね。もう少しのガマンかな。
女子ソフトボールのニュースなんて最近めっきり聞かなくなりましたから。

今日は天気は良かったものの、けっこう冷え込んだので、自転車で近くの喫茶店へ。
ホットコーヒーを頼んで1時間くらい、本を読んでいました。

三崎亜記 著
 『鼓笛隊の襲来』 (集英社文庫)

元市役所職員の三崎亜記さんは、私たちの世界とそっくりなのに、少しだけズレた日常を描くのが得意な作家さん。
この本は短編集なんですが、台風ではなく鼓笛隊が災害のようにやってくる表題作「鼓笛隊の襲来」や、覆面をかぶることが労働者の権利として法律で認められている「覆面社員」など、ちょっとだけズレた世界が、かえって我々が「当たり前」と受け止めている「この世界」の常識をゆさぶります。

それを不気味と取るか、優しさと取るか、それは読者しだい。

私は体にボタン(押すほう)のある女性(たち)を描いた、「突起型選択装置(ボタン)」が面白かった♪

今日は一日腹の立つこともなかったし、本も読めたし、洗濯もしたし、いい土曜日の午後を過ごせました☆


円城塔『これはペンです』

2012-02-18 01:01:43 | 本と日常

確定申告に必要な書類が見つからない…

いつも追い詰められてから動き出すので、今年もアタフタしています。
ま、私の場合は自営業の方と違って、株式関係のわずかばかりの収支を申告するだけなので、たいしたことないといえばたいしたことないんですけどね。

おかしい、書類があと2枚あるはずなのになぁ…

この間ようやく円城塔さんの小説、

『これはペンです』(新潮社)

を読みました。

『道化師の蝶』で146回芥川賞を受賞。この作品も145回芥川賞候補になっています。

いやぁ、わけわからん(苦笑)
100ページほどの中編なんですが、文章を自動的に書くことのできる機械を発明した叔父と、その姪の物語…なのかな?

ロジック小説とでも呼ぶのか、様々な情報媒体から語句を選び出し、”それらしい”文章を機械が作り出すかと思えば、その文章をさらに分析して、機械が書いた物か人間が書いた物か識別する機械まで作ってしまいます。だから、叔父さんらしい文章で送られてくる姪に宛てた手紙も、機械が自動的に書いているってことだって…

ニワトリが先かタマゴが先か。
繰り返される因果律。
メタ言語?

読んでいるうちに、これは小説でも何でもなくて、理屈を並べてそれらしく書かれているだけの、読者をからかった円城さんの悪ふざけでは?
なんて思ってしまいました。
自分がダマシ絵の世界に迷いこんでしまった感じ。

アハハハ…わけわからん!

ところどころに差し込まれたSFの小ネタは面白かったです?

「銀河帝国の興亡」や「銀河ヒッチハイクガイド」などを読んでいるとけっこう楽しめます♪

これが芥川賞候補って、日本の文壇は大丈夫かな?(苦笑)

その他に読んだのは、最近奈良に引っ込んで、さっぱりブログの更新がない作家、森見登美彦さんが自身の作品でよく取り上げる京都を写真付きで紹介しているガイドブック。

『森見登美彦の京都ぐるぐる案内』(新潮社)

小説家も売れてくると妙な仕事もしなくちゃいけなくて大変ですね。
文学賞候補を辞退した伊坂幸太郎さんや、今回本屋大賞候補を辞退した有川浩さんの方が潔いのかも。

アメリカでもっとも愛された挿絵画家、ジェシー・ウィルコックス・スミスのイラスト本も読みました。

『ジェシー・W・スミスの世界』(新人物往来社)

「ハイジ」や「水辺の子どもたち」といった児童書の挿絵、絵本、雑誌、広告などのイラストで、今から100年くらい前に活躍した作家さんです。

絵本も一冊。
十二単を着た女の子がなぜか小学校に転校してくるという、ユーモアあふれる本。
清水真裕 著、青山友美 絵。

『たかこ』(童心社)

平安言葉でしゃべる「たかこ」を、とまどいながらも受け入れていく子供たちが可笑しい☆
自分と違う価値観、見た目の違い、変わった格好、そうしたものを「差別」するのではなく、「個性」としてお互いちょっとガマンして受け入れていくというメッセージがいい♪
そんなことを考えなくても、とにかく絵が楽しいので見ているだけで笑顔になれる絵本です。

さあ、ちょっと部屋をひっくり返して、書類を探そうかな…

やれやれ、本だけ読んで生きていきたいよ。

…来週には確定申告できるかな?


『絶望名人 カフカの人生論』

2012-02-15 23:33:35 | 本と日常

ネガティブかポジティブかといえば、ポジティブなことがもてはやされ易い現代。

前を向いて歩こう。
夢をあきらめるな。
日本ガンバレ。

そんな言葉がすぐに思い浮かびます。
でも、いま絶望している人に、そんな言葉が本当に届くのか…
軽い気持ちで口にした励ましの言葉が、かえってその人を傷つけることだって…
言葉って難しいですからね。

ある人には当たり前にできることでも、ある人にとってはすごく困難なこともあります。
健康な人には、階段を一段登るという行為の難しさと苦痛はなかなかわからないものです。


 将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。
 将来にむかってつまずくこと、これはできます。
 いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。

   ―カフカ―


ものすごく後ろ向きな言葉ですよね♪
今日は『変身』などの名著で知られる作家、フランツ・カフカの言葉を取り上げた、頭木弘樹さんの、

『絶望名人 カフカの人生論』(飛鳥新社)

を読みました。


 カフカはあらゆることに失敗する


小説を書くことが自分の人生だと思いつつ、生涯作家としては認められず、普通のサラリーマンだったカフカ。
体が弱く、不眠症で、父親のせいで自分が歪んでしまったと思いつづけていたカフカ。
結婚したくてしかたがないのに、一生独身だったカフカ。
彼の書いた長編小説はすべて未完です。

始終グチをこぼし、仕事が嫌で、病気や家族のグチを言い続けたカフカ。

そんな彼が残した言葉が、これがとっても面白い♪

成功して大金持ちになったり、立身出世をして名前を残したり、偉人といわれる人々の名言集はたくさんありますが、しょせんは成功者の後付。マネしたからって誰もが彼らのようになれるわけじゃない。
しかし、カフカは誰よりもネガティブに人生をとらえ、失敗に学ばず、自分を変えようともしないで、ただひたすら嘆き続けます。

人のつまずかないようなところでつまずいてしまう人にしか見えない現実。
生きにくさを感じている者にしか感じられない一日一日の重み。
頑張れといわれても、頑張れない人はたくさんいる…それは、自分の人生の否定でもあるから。

カフカの言葉自体は面白いのですが、この本、文字は少ないし、解説は多いし、そのくせ値段がやたらと高い!
装丁にお金かけすぎなんだよ飛鳥新社!!
水野敬也さんの『夢をかなえるゾウ』くらいペラペラにすればいいのに~

カフカは道端の草の上に寝転んでいる時、知り合いの紳士が立派な馬車に乗って通りすぎていくのをみつけて、「社会的な地位から追い落とされていることの喜び」を感じます。

”弱者”だから見える世界。
ネガティブだからこそ、気付いてしまう、世間がもてはやす価値観や生き方の危うさ、その本当の価値。

なんとなく、太宰治の作品と共通している物を感じました。

…それにしても、値段高いなぁ。

 


酷道を行く

2012-02-14 23:41:30 | 日々の出来事

山奥の温泉に行って来ました。

車のナビに従って運転していたのですが、とんでもない道に連れ込まれてしまい、笑いが止まりませんでした♪

切り立った山肌に申し訳程度につけられた道は、もちろん未舗装。落石注意の看板のすぐ先には、こぶしだいの石が実際にいくつも落ちています。ガードレールなんてもちろん無くて、車一台がようやく通れる道の下は深い谷。落ちたら確実に死にます。ちょっとハンドル操作をあやまると、タイヤがそのギリギリのところを通過していく。しかも道はいろは坂も真っ青というカーブの連続。

「アハハ…ありえない♪」

こういうのを「酷道(こくどう)」というのでしょうね。
もうあまりに危険と隣り合わせすぎて、逆に何だか可笑しくて笑ってしまいました。

だって落石注意って看板が出ていて、本当に石が落ちているんですもの。これって”本物”の危険ってことでしょ?

アハハハ…ガードレールつけろよ♪
アハハハ…道幅狭すぎ♪
アハハハ…今のは危なかった♪

いや、大丈夫です。別に頭がおかしくなったわけではありません。おそらく。

とにかくジェットコースターなんかより全然スリルある道のりでした。
あー面白かった。

ようやくたどりついた温泉は、大浴場に露天風呂、ジャグジーにサウナまであってかなり立派な建物。
のんびり手足を広げて、ゆったりして来ました。肌もツルツル。

やっぱり温泉は最高ですね。

帰りは反対方向から。
そしたらこっちには立派な道路があるじゃないですか!

どうなってるのナビゲーションシステム!?

やっぱり七年落ちじゃもう限界なの?

多分限界なんでしょうけれど、今回みたいに思わぬ経験もさせてもらえるから、当分買い換えるつもりはありません(苦笑)

スリルを味わって、思いっきり笑って、温泉でのんびりできて、いい気分転換になりました。
これでまたしばらくは頑張れそうです!


『SFが読みたい! ベストSF2011』

2012-02-13 23:12:27 | SF

今年もこの季節がやってきました。

昨年、2011年に発表された書籍の中から、ベスト作品を選出する、SFマガジン編集部によるSFランキングの発表です。

『SFが読みたい! 2012年版 発表!ベストSF2011〈国内篇・海外篇〉』(早川書房)

ランキングだけでなく、各作品の書評、SF作家、評論家による座談会や、インタヴュー、SF映画の紹介や、これだけは読んでおきたいオススメ本が紹介されています。

本好きの女の子たちを描いたCOCOさんのマンガ「今日の早川さん」も掲載♪

まずは国内篇第1位に選ばれたのは、最近芥川賞を受賞された、円城塔さん。

『これはペンです』(新潮社)

2位は瀬名秀明さんの『希望』(早川書房)
3位は三島浩司さんの『ダイナミックフィギュア(上下)』(早川書房)

『ダイナミックフィギュア』は、謎の生物が地球に渡来し、軌道上にリングを建設、その一部が日本の四国に落下するという設定。そこから発生した生物は、学習し進化するため、「翼」を学習されて広範囲に飛散させないために、人類は歩行型大型兵器「ダイナミックフィギュア」で対抗しようとします。
いわゆる巨大ロボット物なのですが、その必然性を出すためにこういう設定を考え出したのが面白い♪

海外篇の第1位は、難解な作品が多いグレッグ・イーガンの短編集。

『プランク・ダイヴ』(早川書房)

2位にパオロ・バチガルピの『ねじまき少女(上下)』(早川書房)
3位にジャック・ヴァンスの『奇跡なす者たち』(国書刊行会)
が選ばれました。

『ねじまき少女』は石油が枯渇し、遺伝子組換え食品で育てられた動物が巻く「ゼンマイ」がエネルギー源になっている世界が舞台。
遺伝子工学で作られた人工生命体(ねじまき少女)に人権が認められていなかったり、少々猥雑で、退廃的な雰囲気。

私は国内篇第5位に選ばれた、北野勇作さんの『きつねのつき』(河出書房新社)が気になりました。
…大災害後の日常。保育園送り迎えSF。
どんな話なんだろう♪

映画やアニメ作品も紹介されていますが、昨年亡くなった小松左京さんや、ファンタジーの女王、ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんのことも取り上げられていました。

海外と違って日本のSF作品って評価が低い(と個人的には思っている)ので、もっと盛り上げて欲しいなぁ。

最近NHKBSプレミアムで放送された「怪奇大作戦・セカンドファイル」は面白かった☆
人体発火現象などの、不可解な事件に挑むSRI(特殊科学捜査研究所)の活躍を描く特撮ドラマ!

あと現在放送中の、笹本祐一さん原作のアニメ「モーレツ宇宙海賊(パイレーツ)」
タイトルとキャラクターは若者向きだけど、SF設定はわりかしちゃんとしていて本格的!
恒星の光やイオンを受けて宇宙空間を航行する宇宙ヨット、太陽帆船(ソーラーセイラー)の描写とか。

ちなみに日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)は、世界初となる惑星間航行宇宙機、太陽帆船(ソーラーセイル)「IKAROS(イカロス)」の実証試験をすでに成功させていて、今後木星圏への探査を計画しています。(民主党政権ではどうなるかわからないけれど…)

小惑星「イトカワ」から帰還した無人探査機「はやぶさ」は映画にもなっていますからね。
YouTubeで公開された初音ミクを使った動画「はやぶさ~はじめてのおつかい~」は何度見ても感動してしまいます。

円城塔さんの『これはペンです』はまだ読んでいないので、探してみようかな。

また読みたい本が増えてしまいました☆


夜のウォーキング

2012-02-11 23:43:17 | 日々の出来事

 照りもせず
 曇りも果てぬ
 春の夜の
 朧月夜に
 しくものぞなき

  ―大江千里―

寒くてサボッていた夜のウォーキングに久しぶりに出かけると、雲が薄くかかってぼんやり輝く月が夜空に浮かんでいました。
一応暦の上では立春が過ぎているから、2月でも「春の夜」になるのかな?
でもこの歌を口ずさんでいた『源氏物語』の登場人物、朧月夜と光源氏が出会ったのがたしか春のお花見の席だったから、やっぱり桜の季節?
短歌とか詳しくないので、見当はずれだったらごめんなさい。

ま、どっちでもいいですね。
歩いている時はだいたいこんなとりとめのないことばかり考えています。

ウォーキングの目的地、近くのコンビニで雑誌を立ち読み。
夜も遅いというのに、相変わらず幼い子供を連れた夫婦がいたり、仕事帰りのサラリーマンに、ATMのやり方がわからなくて店員に聞いている若いカップルがいて、コンビニは賑わっていました。

この時間、駅を見下ろす高架橋の上から決まって見えるのが、停まった電車の中を点検している車掌(運転手?)さん。
田舎の駅で周りが真っ暗だから、闇の中に電車の中だけが明るく照らし出されて、よく見えるんですよね。

何度か猫が飛び出したことがある曲がり角を曲がり、自動販売機がコーと鳴っているマンションの入口を眺めながら、誰もいない公園を通り過ぎて、お寺の墓地を左手に見ながら坂道を上る。

たいした距離じゃありませんが、けっこう体がポカポカになります。

でも、寒い時ってやっぱり温かいものが欲しくなっちゃいますよね。
コンビニのおでんとか、肉まんとか、この季節すごく美味しそうに見えます♪

 がまんせず
 食欲果てぬ
 春の夜の
 おでんを買って
 しまう我が身よ

  ―ホーク―

…ウォーキングの目的地をコンビニにしたのって、間違いだったかな?