永子の窓

趣味の世界

源氏物語を読んできて(696)

2010年04月04日 | Weblog
010.4/4   696回

四十二帖 【匂宮(にほふのみや)の巻】 その(1)

「幻の巻」からほぼ九年の月日が過ぎました。

△源氏   
△紫の上

明石中宮(后、今后で源氏と明石の御方の姫君)今上帝の中宮。明石の御方は身分が低いので、故紫の上の養女として宮中に上がった。紫の上が養母。33~39歳
明石の御方(明石中宮の実母)                 52~58歳
匂宮(にほふの宮・匂兵部卿の宮)今帝の第三皇子        15~21歳
女三宮(母宮、入道の宮)               35・6~41・2歳
薫(宮の若君、薫中将、宰相中将)源氏の御子とされているが、実は柏木と女三宮の御子らしいと噂に聞く。                       14~20歳
夕霧(右大臣、大殿大臣)六条院を相続。落葉宮を住まわせる。  40~46歳
雲居の雁(夕霧の正室、三條殿)父の故致仕大臣の住い、三條に住む。42~48歳

朱雀院(出家して山寺に住む)
冷泉院(位を今帝に譲り、中宮に秋好中宮。弘徽殿女御には女一の宮がいる)表向きは、桐壺院の御子で朱雀院の腹違い弟宮だが、実は源氏と藤壺中宮の御子。ご自分ではご存知。


「光かくれ給ひし後、かの御影に立ち継ぎ給ふべき人、そこらの御末々にあり難かりけり」
――光源氏の薨去後、源氏のお跡を継がれるほどの人材は、大勢の御子、孫の中にもなかなかいらっしゃらない――

「おりゐの帝をかけ奉らむはかたじけなし」
――あの譲位なさった冷泉院を源氏の御子ごして口に申すのはもったいないこと――

「当帝の三の宮、そのおなじ御殿にて生ひ出で給ひし宮の若君と、この二ところなむ、とりどりに清らなる御名とり給ひて、げにいとなべてならぬ御有様どもなれど、いとまばゆき際にはおはせざるべし」
――今上の第三皇子匂宮と同じ六条院で成長された、女三宮の若君薫との二人が、それぞれ美しいと評判でいらっしゃって、なるほど、並々でないご様子ですが、それでも目がくらむほど程のお美しさでもなさそうです――

 ただ、お生まれの優雅さや、源氏とのご関係で、世間の信望によってこの上なくご立派に見えるのでした。

「紫の上の御心よせことに、はぐくみきこえ給ひしゆゑ、三の宮は二条の院におはします」
――紫の上が特別愛してお育て申されましたので、匂宮はその旧邸の二条院に住んでおられるのでした――

 今帝と明石中宮は、第一皇子は将来の東宮に、第二皇子も東宮候補にと、大切に内裏でお育てになりますのは勿論ですが、第三皇子の匂宮をもことのほか可愛く、内裏に住むように申されますが(三皇子とも明石中宮腹)、匂宮は、

「なほ心やすきふるさとに、住みよくし給ふなりけり。御元服し給ひては、兵部卿ときこゆ」
――やはり、気楽な馴染み深い邸として、二条院を住み易い所にしておられるのでした。元服の後は、兵部卿と申し上げます――

◆おりゐの帝=譲位の帝、ここでは冷泉院のこと。

ではまた。